intoxicated life

『戦うやだもん』がお送りする、画日記とエッセイの広場。最近はライブレビュー中心です。

TOUR 2008 "Encyclopedia" FINAL/安藤裕子

2009-02-01 | music
演奏している風景が頭に浮かぶというのは、いい音楽(CD)の条件のひとつだと思う。ライブ版はそれをダイレクトに伝えるものだが、そういう頭の中のイメージを追体験するのも楽しみ方のひとつだろう。


安藤裕子を含むソロアーティストは、アルバムごと、曲ごとにサポートミュージシャンが変わる。ライブ中にギタリストやドラマーを何人も交代させるわけにもいかないから、多種多様な演奏者のクセないしニュアンスを取り込みつつ、ライブというひとつの舞台に落とし込んでいかねばならない。これはたいそう難しい。


それは、百戦錬磨のドラマー・沼澤尚にもあてはまる。序盤だけを見ても、“再生”“Hilly Hilly Hilly”(佐野康夫)、“水玉”(河村カースケ智康。椎名林檎初期のサポートなど)など、ひとクセもふたクセもある叩き手が原曲を手掛けているだけに、ノリが変わってしまっているケースもある。アップテンポは不得手、というか彼のスタイルではないが、そういう曲も安藤裕子の場合少なくないのだ。


ただ、それでもやはり「さすが」と思わせるところが沼澤氏。ニュアンスこそ違えど、彼ならではのソフトなタッチで演奏を盛り立てている。また実際のライブではあまり意識していなかったが、よくよく見てみると身体全体でノリを作る人だというのがわかる(昔、コピバンの女子高生が身体を上下させて叩くのを見て非常にダサいと感じてから、そういうノリ方を否定してきたのだ)。特に横ノリの取り方は、自分では真似できないぶん、食い入るように見てしまう。


今月15日には安藤裕子・初の小樽ライブもある。ドラマー目線のマニアックな発見を楽しみつつ、じっくり鑑賞していきたいDVDだ。



安藤裕子 TOUR 2008 "Encyclopedia" FINAL
カッティングエッジ(2009/1/7)