intoxicated life

『戦うやだもん』がお送りする、画日記とエッセイの広場。最近はライブレビュー中心です。

両毛線

2005-11-08 | railway
カテゴリーを増やしてみた。鉄道とはこれからも長く付き合うことになるが故、「自分が乗ってきた路線について纏めるということをやっておくがよかろう」と判断した。今日は栃木県と群馬県を東西に横断する両毛線を取り上げる。


宇都宮から20分ほどで到着する小山駅は宇都宮線(東北本線)の他に水戸線とこの両毛線が発着する。JR東日本の東京近郊路線図でも最も北に位置する路線で、そばやラーメンなど「めん」を売りとしているローカル線である。


小山を出ると視界にすぐ広がるのは次の駅名にもなっている思川である。延々と盆地を行く両毛線の魅力は、その河川の多さにある。路線全体で大小問わず20本あまりの川が流れており、おすすめは桐生~岩宿間の渡良瀬川だ。話を思川に戻すと、思川駅から川まではかなりの距離があり地元の人でもなかなか足を踏み入れないという。しかし付近には古墳などもありスーパーのおばちゃんは「子供ンときはハニワがごろごろころがってたんだー」と言っていた。なおこの思川駅の駅舎は関東の駅100選に入っている。景色もここが最大の見所、といってもよい。まっすぐの線路に田んぼが転がり、東北本線沿いの都市の喧騒から5分で離れることが出来るという面では、非常に視覚的に訴えるものがある。


この後、岩舟あたりまでは典型的な田園風景が続く。ここがわずか40%の食料自給率の一端を担っているが、アムトラックから覗いたカリフォルニアとの差は歴然だ。


ここは佐賀県か、とばかりにヘルメットをかぶった小中学生を多く目撃できるのもローカルならではだ。夕方には富田辺あたりから学生がぐっと増えてくる。


この路線には歴史上重要な地名が多く登場する。1949年に相沢忠洋が石器を発見した岩宿、高校野球でも有名な桐生からはわたらせ渓谷鉄道が発着し、終点は田中正造の天皇直訴で知られる足尾である。


高崎寄りの各駅は住宅街が広がっているため、ローカル線としての見所は小山から岩舟あたりの無人駅地帯に限定されるだろう。観光で行く場合は伊勢崎や佐野に寄って麺類に興じるのもいいが、景色の変化は乏しい。


しかし、一番強調しなければならないのは、上越線などと同じ緑とオレンジの115系ならばボックス席があり1時間半に渡る車窓の旅も楽しめるが、通勤用の107系(日光線、信越線など。白地に緑とピンク)や高崎線などでも見られる比較的新しい211系(しかしやはり通勤用)を昼間に平気で走らせていることである。飯田線などローカル線にもロングシートの波が押し寄せているというが、この路線にもその傾向は色濃い。


ともかく、乗ってみたいと興味を持たれた方は、時間がなければ小山から思川で一度下車し、近くの田んぼや学校を覗いてみてほしい。それで引き返してもそこまで支障はない。


写真:思川駅陸橋より