フリーターが語る渡り奉公人事情

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NEETを保護せよ!ーー人の住む場所を守るためにーー

2004-09-18 18:30:17 | その他
 TBSのラジオコラムで鳥越俊太郎さんが、NEETという言葉を説明していた。そして、NEETは文明病だと共演者のパーソナリティとともに叩いていた。
 
 その話を聞いたわたしは、やるせない気分になった。かなーり濃く憂鬱になったのだった。

 しかし、数時間の睡眠ののち、反撃に出ることにした。昨日、終電に乗り遅れて一夜をすごしたインターネットカフェで読んだ金子勝さんのインタビューで「勝ちに行け」「根拠のない自信が大事なんだよ」と発破をかけられたのも効いているのだろう。(MUSIC MAGAZINE 2004年2月号)

 人は多彩であり、生きるのにさまざまな環境が必要だ。たとえば熱帯の川にも木陰や川の深さで守られた涼しい水域がある。そこに暑さに弱い魚が棲んでしる。や激しい暑さから一時避難した魚たちもやってくる。また、エコト-ンの領域もある。たとえば水と陸の間にある葦原地帯などだ。そこで魚が卵を産む。あるいは、渡り鳥が休息をとる。葦原は水質の浄化にも役に立っている。

 同じような環境が人間にも必要だ。資本主義の中であまり競争が熾烈でない世界。また、会社と社会の緩衝地帯。就業と非就業の緩衝地帯。
 いいかえれば、会社での競争が暑いすぎる人、会社での生活が窮屈な人の住める領域が社会環境にも必要なのだ。
 
 NEETは棲んでいる。今まさに破壊されんとする市場化されていない領域に住んでいる。雇用、教育、および訓練。それらのない地帯に住んでいる。人は一生を雇用や教育や訓練のために生きるのではない。時にそれらから離れることも必要だ。とりわけ破壊的なタイプの雇用や教育や訓練を受けた後にはかなり長い間、体と心をそれらから離して自律性を取り戻させてやらなければならない。いつも監視され処罰され自分で自分を道徳的に断罪してばかりではうつから自殺に至るばかりだ。
 
 そのことを理解してかせずか、政策担当者はただ年金対策の視点からNEETを罪悪視し、殲滅せんとする。NEETのほか失業者・ひきこもり・野宿者などが住む熱帯の中の涼しい水域のような環境はどんどん奪われている。合理主義や単線的進歩主義など人の独自性を常に経済的な価値に換算して
人を選別しハイアラ-キ-化してゆくのとは違う原理の世界--市場の外--が、次々と壊されつつある。
 あえて言おう。NEETを守れ。その生息域とともに。NEETの棲むところとは、人を会社の所属だけで評価しないコミュニティの別称でもある。人が人として生きられるところ。二宮金次郎ばりの勤勉道徳を絶対視しないところ。障害者を排除しないところ。
 
 それはそこかしこにある。作ることもできる。あなたがひとりの失業者を道徳的に断罪しないだけでNEETの住むところは確保できる。

 なお、働きたくてもまともな職・雇用・労働環境がないために働けない人たちのためには、とりわけ中小零細下請け企業群の労働環境整備が求められる。たとえば、有給休暇がとれること、不潔なところで働かなくてもいいこと。休憩時間にはちゃんとトイレには行けること。アルバイトでも社員食堂が使えること。
 それを整えずに「病気だ」「親が甘やかすからだ」「失業手当など福祉があるからだ」と叫ぶのは、事実誤認と誹謗中傷にほかならない。



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