フリーターが語る渡り奉公人事情

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貧しさは道徳的な悪か?--ネオコンの道徳的説教を超えて

2004-11-03 23:08:23 | 哲学・思想
オルタナテイブ大学on blog より転載。
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貧しさは道徳的な悪か?

開発・貧困 / 2004年10月27日 01時58分50秒

貧しいから悪いのか? 難しい問題だ。

一口に貧しさといってもいろいろある。
自分の意思によって選んだ貧しであれば、あまり苦痛ではないし、周りの軽蔑も少ない。そうでなければ耐えがたい。
また、時代や地域によって、貧しさへの見方は星の数ほどある。
それが罪悪視されるようになったのは、勤勉道徳が一般的になる近代以降だろう。

貧しさが一律に罪悪視され、断罪され、侮辱される文化環境はマトモなのか?

インドの行者への尊敬、四国88箇所のお遍路さんへの地元の歓待を見るに、それはたいへん精神的に貧困な、物質崇拝の激しい世界ではないだろうか?

もちろん、餓死すれすれとか、水もなくて「干からびる(神保)」状態では、こんなことは言えない。それでも、節度のある生活を送り、カネやモノ中心ではない心や関係というものを愛する世界は、貧しさを忌み嫌い、遠ざけ、隔離さえする世界に比べて豊かではないだろうか? 中産階級中心の文化と距離をとれるかどうか。それが、たとえばホームレス排除やアメリカの要塞都市といった殺伐とした行為に賛成するかどうかのメルクマールである。

Shiro さんは信仰により「貧しきものは幸い」と主張している。
それが悲惨さの隠蔽に当たらないかぎりは、わたしはこの主張に賛成する。
人類は、これまで貧しい中を生きてきた。時に食料に欠きながら、歌い・踊り・家を作り、暮らしてきた。それを、現在の大量消費・大量生産文明の先進国の中産階級の基準を持って侮辱してはならないと思う。河原乞食の伝えた歌舞伎を、その他の文化をあなどってはならない。

岡倉天心が「東洋の理想」で紹介しているのだが、唐の太宗皇帝は、民が餓えているのを知って食を断った。高倉天皇(一説には安徳天皇)は、民が寒さに餓えているのを知って着物をお脱ぎになられた。昔ヴィデオで見たのだが、アフリカの採集狩猟民ピグミー(ムブティ)は、食料が手に入らないときに、みなで平等に餓えに対峙する。それゆえのストレスで暴れる人がいても、大目に見ていた。
こうした弱者へのいたわり、餓えるときにはともに餓えようという強い絆、それらを失って世界の富を独り占めするのが果たして道徳的に正しいと言えるのか? 貧しい他者をあわれんだり見下したりする資格があるのか? 答えはNOだ。

フリーターや引きこもりやNEETを罪悪視し、清潔な社会のなかの「ケガレ」扱いする憎しみに満ちた論説は、まともではない。労働者階級や中世以前や第三世界や各先住民の文化に学びながら、もう一度、貧しさは絶対にいけないのかどうかを、検討することは重要な論点である。


ブレッド&ローズーー下層労働者の権利のための行動

2004-11-03 21:58:41 | 映画&本
今ネカフェからです。諸事情により、家のPC回復が大幅に遅れています。
あまり間をあけすぎるのも寂しいので、ブックマークに入れてある失業者の権利MLより転載します。とても勉強になって、しかも笑って泣けるいい映画ですので、一人でも多くの方に知ってもらいたくて。点線以下転載。

※後ろの注も必ずお読みください。大事な情報を加えました。(2004.11.9.)

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Date: 2004年5月12日(水) 午前8時19分
Subject: 5/9 ブレッド&ロ-ズ上映会@茨木




ブレッド&ロ-ズ(2000年・イギリス=ドイツ=スペイン合作
 110分 カンヌ映画祭正式招待作品 配給:シネカノン)
 
 大阪の茨木市(茨城県ではない)で開かれたブレッド&ロ-
ズ上映会に行って参りました。原題はBRED&ROSES;パン(生
きること)とバラ(誇りや尊厳)の意味です。
 映画のスト-リ-を全部しゃべってしまうと後のお楽しみが
なくなるので、かいつまんだ紹介を。

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 ロサンゼルスのヒスパニック系移民たち。水商売か清掃会社
で働くしか選択肢はない。日本で言えばパ-トかバイトのよう
に気まぐれにクビにされる。賃金も少ない。そこに組合の活動
家が入り込む。
 大手の組合が、成功の見込みの小さそうな争議を見捨てるこ
と。本当にひどく抑圧され、ジェンダ-や民族に階級・階層、
移民してきたタイミングのちがい、故郷での生活事情などによ
り、今のままでも幸せだと思い込むしかない人。あまりにひど
い目にあいすぎて、抵抗する意思を完全にくじかれ、「生きる
ため」だと割り切って従ってしまう人。自らは奨学金を得て、
法科大学院に通いながらも組合活動にかかわる人。その中の友
情・恋愛・裏切り……。
 この映画は、様々な人間模様を通じて今日の下層労働者の
苦しみと喜びと希望を描いている。ただの組合礼賛、観念的な
労働者賛美とは明らかに一線を画している。誰もこの映画の監
督ケン・ロ-チを「弱者おたく」よわばりできない。
 9/11のテロの背景を知る上でも、人間の尊厳やジェンダ-の
問題を考える上でも大変優れた記録である。労働や失業の問題
、あるいはテロや戦争のない世界を望むすべての人にお勧めし
たい。

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 なお、映画の後の交流会にも出てみました。世代や職種を超
えた人の集まりでした。
 なかまユニオンという組合の主催でしたが、上の言うことに
みながいっせいに従うという所ではありませんでした。まるで
ネイティブ・アメリカンのミ-ティングのように、一人一人の
語りをみなが静かに聞いていました。とても上品で民主的な会
合でした。

 以上、報告おわり。


※注:なかまユニオンという組合は、その後ググると、ある社会主義系の思想団体と密接な関係にあることが判明しました。
 わたしは、この記事をMLとこのブログに投稿した時点では、そのことを知りませんでした。
 ML上でも会話や議論ができない傾向があり、また上映会のあとの交流会でもマルクス主義系のイデオロギー注入と大衆操作の話が多いので、おかしいと感じてはいたのです。
 また、オルグといった特殊な用語が飛び交い、意味を尋ねると教えない、といった排外的な秘密主義が横行していました。
 権威主義的で家父長的な雰囲気のもと、アルバイトや派遣をあからさまに侮辱するような言葉や態度も目立ち、傷つけられて途中で講義するように退席した派遣の方もいらっしゃったほどです。 わたし自身、あまりの無理解と失礼さに感覚が凍ってしまい、なおかつ「ほかに理解者はいない」といった閉塞感に支配された状況で、この記事をはじめに書いたのも事実でした。
 ただし、映画自体は学習用として使い方によっては大きな効果を発揮すると思います。なので、あえてこの情報をいじらないで、注をつけることにしました。(2004.11.9)