物欲大王

忘れないために。

五十嵐貴久「誘拐」

2010年03月22日 22時14分17秒 | 読書、書評
装丁が格好良くて手に取った作品。
「本年度屈指の傑作~」と帯に書いてあった。
正直、半信半疑だったが見事なまでに傑作だった。

冒頭に主人公が事件を起こすきっかけとなる娘の死が描かれている。
その描写が圧巻。巧い。「死の嘆き」を読者の心にこれでもか!と深く刻む。
冒頭だけでも一見の価値があるだろう。

ストーリーは主人公が総理大臣の孫娘を誘拐する話。
まぁ、よくあるストーリーなのだが、感心したのは犯人が「誰も傷つけない」という事。
犯人の目的は「総理大臣の心を傷つける」ただそれだけ。
ポリシーを感じさせ、「美しい犯罪だ」と感心してしまった。
すげぇ小説だったなぁ。ホント面白かった。
評価6★★★★★★(5段階)

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