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ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション

2014-05-03 13:30:13 | 美術展

ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション
[英題:Collection of Museo Poldi Pezzoli: The Aristocratic Palace and its Beauty―Milano, the Magnificent Collection of the Nobleman
Bunkamura ザ・ミュージアム
2014年4月4日~5月25日

本展覧会の特集番組と横顔肖像画の大まかな歴史については、以前のブログ記事にまとめた。
今回は実際に展覧会を訪れた感想を書いておきたい。

武器や甲冑のコレクションから始まったポルディ・ペッツォーリ美術館の蒐集は、その後、イタリア美術が隆盛を極めたルネサンス期の作品を中心とした絵画の分野にも及んだ。
こうした絵画蒐集の背景には、当時国内が統一運動(リソルジメント)のさなかにあり、国家のアイデンティティの拠り所を求めていたことと深く関係している。

ルネサンス期イタリアの絵画というと、しばしばフィレンツェやヴェネツィアを想起するが、ミラノもなかなか興味深い。
理由のひとつは、一時期レオナルド・ダ・ヴィンチが現地に滞在していたこと。
当時にあってもやはり彼の影響力は大きかった。

もうひとつ理由を挙げるならば、地理的要因だろう。
イタリア北部に位置するミラノは、ある意味、国内のルネサンス絵画とドイツやネーデルラントの北方絵画の影響力のちょうど〈潮境〉にあたる。


それゆえ、展覧会場内の解説にもあったように、ミラノの絵画には、「地元と中世以来の様式に、ヴェネツィア絵画や北方絵画の影響を加味」した、非常に味わい深いものが多い。


では最後に、出展作品のうちの一点を挙げておこう。
ボッティチェリの《死せるキリストへの哀悼》である。


ピエロ・デル・ポッライウォーロの《貴婦人の肖像》と並ぶ本展の目玉であるこの作品では、支えていたものがぷっつんと切れ、画面上部から人々が崩れ落ちていくかのような情景が印象的である。

晩年のボッティチェリはドメニコ会修道士のサヴォナローラに傾倒していた。
その宗教的情熱の影響が、この作品にあらわれているという。
ボッティチェリとサヴォナローラの影響関係については、また機会のあるときに調べてみたい。

華麗なる貴族コレクション。

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