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leonardo24

西洋美術関連ブログ 思索の断片
―Thoughts, Chiefly Vague

美しい本とは、―ウィリアム・モリスと私家版印刷工房の時代

2014-04-17 23:26:18 | 企画(イベント)

美しい本とは、―ウィリアム・モリスと私家版印刷工房の時代
(早稲田大学総合学術情報センター2階展示室 2014年3月24日~4月24日)

O! The multifaceted Victorian,

Renowned once as a poet,

Nowadays as a designer or a socialist;

At once disgusting the vulgar taste of the age,

And profoundly admiring the medieval era,

Thy later years were largely devoted

To printing books whose value of beauty,

All over the world, is still quite favoured.

(leonardo24 'Ode to Morris')

早稲田大学図書館でいまも会期中のモリス展。
展覧会の趣旨は、デザイナーや社会主義者としてのモリスではなく、彼が晩年に力を注いだ印刷業における業績を振り返るというもの。

モリスの工房で印刷された書物のみならず、彼の同時代人の手による印刷物、また印刷技術揺籃期の書物(インキュナブラ)も展示されている。
いくつかはこちらのwebページでも観られるようだ。

入場料は無料で、会場には早稲田の学生・教職員でなくとも入ることができる。
パンフレットも丁寧に作ってあり、そして〈美しい〉。


丸善丸の内美術館―美をめぐるつぶやき展―

2014-01-12 21:07:32 | 企画(イベント)


「丸善丸の内美術館―美をめぐるつぶやき展―」
(丸善丸の内本店3F 2013年12月26日~2014年2月9日)

丸の内本店の丸善に行ったのは初めてだ。

ビジネス街の中心にそびえるビル。
連休の中日ということもあり、1階から4階まで、多くの人で賑わう。

書店は、顧客層によって、その構成が大きく様変わりする。

オフィスひしめく都心。
1階は当然、ビジネス書が中心となる。

2階は新書や文庫、雑誌が並び、3階は芸術や科学などの書籍がそろう。
一般的な意味で「実用的でない」商品が上階に陳列される。

4階は洋書コーナー。
文具や小物も販売されている。

今回わざわざ足を運んだのは、「Tak(たけ)」氏のブログ(「弐代目・青い日記帳」)がきっかけだった。

Tak氏のブログでは、ご覧になった方はお分かりのように、きわめて幅広い美術情報がまとめられている。
もはや一種の「キュレーター」だ。

洋の東西を問わず、現代アートに関連した情報も含めて、丁寧に拾っておられる。
私のように「西洋」、「19世紀頃まで」などと限定しているのとは大違いだ。

一昨日(2014年1月10日)の記事で、Tak氏は「丸善丸の内美術館―美をめぐるつぶやき展―」の感想を綴っておられる。
(http://bluediary2.jugem.jp/?eid=3481)

この企画の情報は初耳だった。
氏の絶賛のコメントもあって、興味をもった。

Tak氏はブログで次のように述べておられる。

「もっとこじんまりとしたフェアと思いこみ、店内あちこち探してしまいましたが、書店エスカレーター脇の絶好のポジションにどどーーんと場所を取り開催していてびっくり!
嬉しいですよね美術書にこれだけ注目が集まるのって。」
2014年1月10日の記事

今日私は実際に書店を訪れてみたが、展示をみて抱いた感想は、Tak氏とは正反対のものであった。
私が勝手に期待を膨らませすぎていた部分も多分にあるのだろうが、正直、「なんだ、この程度か」と思った。

美術書が特集されることは喜ばしいことだと個人的に感じているし、企画としては非常に面白いと思う。
しかし、なんというか、(そこまで)「いうほどの」量と質を備えた展示とは私には思えなかった。

むしろ、新しさがあるとすれば、Twitterと連動しているという点だろう。
(もっとも、どのくらい反響があるのかはわからないが)

これを言っていいのかどうかはわからないが、あくまでビジネス街の書店である以上、美術書に関して大規模なフェアをやろうとしても、やはり「限界」があるのだろう。

その一方で、「ビジネス街」という縛りから解放されたのかどうかわからないが、4階の洋書コーナーは充実していたように個人的に思う。
新宿や池袋の大きな書店を覗いても、あれほど丁寧に西洋絵画の画集をそろえている洋書コーナーはみたことがない。

もちろん入ってすぐのところにはビジネスに関する洋書が並んでいたが、和書の場合と異なり、それほど存在感を「誇示」している感はなかった。
むしろビジネス書以外の文芸書がマジョリティーを占めているように感じさせる陳列棚の構成だった。

定期的に、各地の書店で、美術書フェアが開催されると嬉しい。