昨日、ある講演会に参加した(ちなみに、当日の論題はこのブログ記事のタイトルとは別であることを断っておく)。
話の内容に関する詳細な言及はここでは避けるが、初めて知った事項がいくつかあったのでメモとしてのこしておきたい。
扱われていたのはターナー。
美術史的には「ロマン派」に区分されることの多い画家ではあるが、実際には、その範疇にとどまりきらない複雑な要素が彼のカンヴァスを構成している。
英国のアカデミーでは1798年にある制度改革が起こった。
展覧会場で配布されていたカタログは、それ以前は無料だったのだが、1798年から有料(6ペンス)になった。
この制度改革に伴い、それまでは味気ない内容だったカタログに、画家自身が解説文を寄せられるようになった。
こうした解説には、もちろん単純に技法や主題が説明されている場合もあったが、画家によっては作品の着想源となった詩作品からの引用をそのまま載せる者もいた。
ターナーはもちろん、のちのラファエル前派の画家たちもしばしば詩を着想源として絵画作品を制作し、その詩行を作品に付した。
引用した詩行を明示する慣習のできた背景には、こうした1798年の制度改革があったのだ。
もう一点、作品のタイトルについて。
有名な話だが、たとえばルネサンス期には絵画作品にタイトルをつけるという習慣がなかった。
現在多くの人々に認知されている絵画であっても、そのタイトルは、画家の死後に、便宜的につけられたものであることは少なくない。
当時はあくまで注文を受けて作品を制作するというスタイルが一般的だったため、注文主の期待にさえ沿ったものであれば、特にタイトルをつける必然性がなかったのである。
では、作品にタイトルをつけるようになったのはいつごろからか。
それは、展覧会を開くようになってから。
すなわち、イギリスでいえば、アカデミーのできた18世紀半ばごろからということになる。
さすがに展覧会を開くとなると、作品名がつけられていなければ批評のしようもないため、不便なのは明らかだ。
初めて知った。
興味深かった。
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