ポーランドからの報告

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ワルシャワ市長選は、野党の女性候補が勝利

2006年12月03日 | 政治・経済

先日11月26日に、ワルシャワ、クラクフ、ポズナニ、ビヤウィストク、など全国の大都市で、市長選の決戦投票が行われました。先月11月の上旬から始まった統一地方選挙選では、日本のようにうるさい選挙カーこそないものの、候補者のポスターが街のそれこそ至るところに張られていて、景観を壊していたのですが、これでやっとこさ、決着がつきました。

注目のワルシャワ市長選は、野党「市民プラットフォーム(PO)」の女性候補、ハンナ・グルンキエヴィチ・ヴァルツ女史が、対抗する与党「法と正義(PiS)」のカジミエジュ・マルチンキエヴィチ現職市長を破って、みごと当選し、昨日、市長就任式が行われました。


ところで先日、テレビのお笑い番組で、こんなコントをやっていました。

 A 「今度、バカンスでローマに行くんだ」
 B 「ローマか。いいなあ。ローマには何があるんだ?」
 A 「そうだな、古代の神殿とか、廃墟となったスタジアムとか。」
 B 「廃墟となったスタジアムだって?そんなのワルシャワにもあるじゃないか」


このワルシャワにある廃墟となったスタジアムとは、ご存知、プラガ地区の巨大なスポーツスタジアムのことで、確かに、長いこと使用されないま、もはや廃墟となっています。いつからか、ベトナム人や中国人などのアジア人をはじめ、ロシア人、ウクライナ人、その他世界各国からの移民・難民などがあつまって、露天市を始め、現在では、中欧最大規模の、露天バザールとなっている場所です。安価で実にさまざまな品物が手に入るため、ワルシャワ市民にも人気の、このバザールですが、基本的にはマフィアが仕切る場所のため治安が悪く、また周辺では発砲事件などもあって、このスタジアム周辺を含む、ワルシャワ・プラガ地区は、残念ながらワルシャワの中で、もっとも治安の悪い地域の一つとなっています。

このプラガ地区に、先日ついに再開発の計画が持ち上がりました。廃墟となっていた巨大スタジアムは、2010年までに、7万人を収容する総合スポーツセンターに生まれ変わることになり、またあわせてプラガ地区全体が再開発されることが決まったのです。


実は今回の統一地方選で焦点の一つとなっていたのが、EUからの莫大な額の補助金の利用方法です。2004年5月にEU加盟国となったポーランドでは、各地の地方自治体へ、EUからの補助金が支給されており、加えて、先日、EU非加盟国であるスイスとノルウェーが、ポーランドに対する金銭援助を決定しています。これらの補助金を使って、インフラ完備や新規雇用の捻出につなげるのか、それとも生活保護や社会保障の充実に当てるのか- 今回の選挙戦では、各候補とも、この補助金の利用方法を公約に掲げての選挙となっていました。ことさら、ワルシャワ市長の職は、次期大統領への控え室ともいわれるほど、とても重要なポジションと言われており(現職のレフ・カチンスキ・ポーランド共和国大統領も、元々ワルシャワ市長から大統領になった人物です)、ワルシャワでの政治の動向が、ゆくゆくは国全体の政治動向となっていく流れも考えらることから、選挙選の結果が、各方面から大いに注目されていました。

今回、みごと市長選を制したグルンキエヴィチ・ヴァルツ女史は、中央銀行総裁の経験もあり、政治・経済など多方面に明るい人物といわれています。ワルシャワの新しい顔となったグルンキエヴィチ・ヴァルツ新市長が、再開発が決まったプラガ地区をはじめ、これからワルシャワをどのように変えていくのか、非常に興味深いところです。


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