旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

価値の高い時間の過ごし方

2019年04月08日 | 旅行一般
 前回は旅の価値はどんな時間を過ごしたかで決まるという記事を書きました。

 今回は価値ある時間の過ごし方について触れてみたいと思います。

 旅をして、非日常の中に身を置いてみる事のすばらしさは、一つには自分の固定された価値観を一度取り払ってみる機会を得る事です。その結果、新しいものの見方をできるようになる事もあります。

 例えば、スーパーカブで旅するタイ北部で私自身も実感し、参加された方からも話が出るのは..。

 ”こいつで充分なんだよなぁ”という事です。

 バイク関連のメディアでは”ツーリング向き”とは絶対評価されないスーパーカブですが、実際に1週間の旅の足としてみると、旅先で出会う人に妙な威圧感を与える事が無い点が旅マシンとしての高いパフォーマンスとして感じられます。ワインディングや未舗装路もそれなりに楽しんで走る事もできますし、結論、思いのほか旅に向いている事に気づかされます。

 旅に適したバイクや装備を真剣に考えていた自分の愚かさに気づかされるともいえます。道具は結局は使い方次第。そして使う人間の考え方次第です。
 
 私はここに時間の過ごし方に関する重大なヒントがあります。

 先に、カブでもワインディングをそれなりに楽しんで走ることができると書きましたが、もちろん、スポーツバイクのようには走れません。サスペンションも貧弱ですし、タイヤも細い。見方によってはスポーツバイクよりもコントロールは難しいと言えます。

 そうなってくると、"もっと排気量の大きいスポーツバイクの方が良い”という平凡な結論が頭をよぎります。

 でも、ライダーであれば同意してもらえるでしょうが、コントロールがある程度難しいからこそライディングが楽しいという側面もあるわけです。その楽しさに気づけば”カブで充分なんだよな”となるわけです。

 そこにある現実を受け入れて楽しむのか、そこにある現実を評価する立場で眺めるのかによって感じ方が変わってくるのだと思うのです。

 旅先では観察者や傍観者の立場ではなくて、むしろそこでの非日常にどっぷりつかってみる事が価値ある時の過ごし方への近道だと強く感じます。

 アジアの国々を旅していると、”こういうところがまだまだ遅れている”という『評価』を耳にすることがあります。これはまだまだ傍観者の立ち位置からの視点だと思うのです。とりあえず一時的にその土地のライフスタイルを受け入れてどっぷりその中で過ごしてみれば、”我々の日常はいろいろ過剰に便利だけれど、これで充分なんだよな”という視点が持てるようになるかもしれません。そんな視点が持てるような体験ができれば、それは価値ある時間を過ごしたと言えるのではないでしょうか。

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2019年3月のスーパーカブで旅するタイ北部の模様を動画で公開しています。

https://youtu.be/ZVdfsPb6cCE



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