旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

スケールメリット

2001年08月09日 | 旅行一般
 旅行会社や航空会社に限らず、日本の経済全体にいえることかもしれませんが、とにかく”数、数、数。”スケールを追い求める構造は、”不景気”が叫ばれ始めてからも収まるどころか、加速しているようですね。
 資源もなく土地もない日本がココまで経済的発展を遂げたのは”安かろう,悪かろう”の日本製品イメージを何とか”信頼性の高い良い製品”に世界各国でのイメージに変えていこうとがんばった日本人技術者たちの”良いものをつくろう”とする努力があったのだと思いますが、イメージ改革に成功したあとを引き継いだ人たちは、”イッパイ売ろう”と思っているだけで、製品のリコールを隠してでも販売を続けようとするような自動車メーカーも現れたりします。
 ちょっと脱線しました。
 イッパイ売る人が偉いのは旅行業界も同じ。だからイッパイ売る人はそれだけ安い仕入れもできます。これはちょっと不思議な部分で、製品メーカーであれば、大量発注はコストダウンにつながると思いますが、別に元々存在する航空機の空席やホテルの残室を販売するのにイッパイ売ってもコストダウンに直結しないと思うけど・・・。その変どうなんですかね。航空会社やホテル業界の方???
 まあ、それが現実なんで、その中でがんばりますが、このような根拠もあって、正直な話、E&Gは日本一安い安売り王ではありません。なにぶんスタッフ2名で運営している旅行会社なんで、年間の取扱量はたかが知れています。ただし、だからこそお客様一人一人の予約記録を諳んじられる位知っているし、第一自分たちも旅行好きなので、一味違う情報提供ができますよ。
 でも、このスケールメリットを追い求める考え方が旅行業界のガンになっていないかと危惧せざるを得ません。千差万別なお客様のご要望に”同じ”商品でこたえようとしたら、やっぱり”パッケージツアーと自由旅行”のところで述べた”フリータイム主体”の謎なツアーしか売りようがありません。実はこういう商品は作る側にとっても楽なもので、一番安く仕入れられる航空券と、一番安く仕入れられる宿泊を組み合わせれば出来上がり。旅行経験も何にもない人でも作れます。
 これではそれぞれの旅行会社の特色を活かした商品なんて造るだけムダだし、逆に企画力や旅行経験なんて無くても大安売りしてイッパイ売れば航空会社やホテルに認められてそれだけ安い仕入れができて儲かるという流れになりますね。実際そうなって来ています。
 でも、結局実際に旅行に行くのはお客様方なので、各旅行会社の企画担当者が丹精込めて創った企画がだんだん”スケールが稼げない商品”という理由で淘汰されていって、お客様の選択肢に加えることができなくなっていくとしたら、結局お客様の”不利益”につながっていくと思うんですが、こういう社会構造って何とかならないものですかね。
 まあ、もしかしたらヤッカミかもしれませんが、お客様に本当に喜んでいただける企画を真剣に考えている企画者や、”売れるもの”でなく、”良い物”を造ろうと努力しているメーカーがもっと評価されるようになったほうが正常な世の中だと思うんですが。

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