旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

旅先で不便と感じる事柄

2013年12月05日 | 旅行一般
 普段の生活を抜け出して旅に出ると、何かと不便を感じる事が起こってきます。スーパーカブで旅するタイ北部を開催するようになってからよく耳にするようになったのはトイレの違いの話で、タイではトイレットペーパーを使わずに水で洗い流す(日本のように温水が自動で洗ってくれるような装置があるわけではありません)習慣に最初とても抵抗を感じたと告白する方は多いです。

 そのほかにも、食事の違いなどについては訴える人が多い旅先で感じる不便かもしれません。”梅干しが欲しい”とか、”お米が食べたい”というような事柄です。

 こういった不便は大きく2種類に分類できると思います。前にあげた2点はいずれも同じ種類。旅先では習慣が違うけれども根本的に目的が達成できないわけではない種類の不便、”違い”がある不便です。
 
 たとえば食事の違いについて考えてみると、”一切食事を摂るという習慣が無い”地域があるわけではありません。米を食べる習慣が無いだけで、食事そのものは摂ります。トイレについても同じで、”汚れっぱなし”の習慣の所は無くて、きれいにする方法が違うだけです。

 風俗や習慣の違いを肌で感じることが旅の”面白み”の一部であることを考えれば、視点を変えて、これら”違い”によって発生する不便は、”違い”として興味を持って捉えるべきだという事ができます。どうして習慣の違いが発生したのかを想像してみるのも良い刺激になります。そして、”違い”はあるけれど、本質的には同じ欲求を持っている事に気がつけば、旅先に暮らす人々との親近感もグッと深まるというものでしょう。

 習慣の違いは、ともすれば苦痛となってしまいがちですが、思い切って自分の普段の習慣を一度捨てて旅先の習慣に合わせてみるのは間違いなくとても良い体験になるものです。

 もう一つの不便に、日常的な習慣なのに旅に出ると実現できなくなる事から発生する不便があります。たとえば電化製品などは、国によっては電気が24時間絶えずホテルや家庭に届くわけではないので充電できなくなり、使用できないケースも出てきます。携帯電話が手放せない人などは日常的な習慣が実現できなくなるケースでしょう。通信環境が悪いところではSNSで常に人との絆を確認する事はできなくなりますから、一旦SNSの絆確認はお休みして、旅先でのリアルで新しい絆づくりをすると割り切った方がよいでしょう。

 こういったタイプの不便は見方を変えると生活習慣の違う所では”必要とはいえない事”に我々がいつの間にか依存してしまっている事の現れなのだと思います。不便を感じ、苛立ちを覚えるのではなくて、自分の生活を複雑にしているこれらの事柄が本当に自分にとって役に立っているのかどうかを一度見直す良い機会として旅をとらえてみても良いかもしれません。

 我々の生活は便利になっている一方でとても複雑になっている面もあります。旅はこれらを見直してシンプルな視点に立ち戻る良い機会ともなるのです。


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