旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

支配者となり自由となる

2014年02月03日 | ライフスタイル
 私のライフスタイルにおいて比較的重要度の高いテーマに”できるだけ自分の支配下に置けるレベルで生活する”という事があります。

 我々の生活は知らず知らずのうちに色々な事に支配されていて、その事を”便利”と勘違いしている事が沢山あると思うのです。例えば、行政サービスとしてのごみ収集はとても便利で、人が暮らしていくうえで絶対必要なサービスだと思います。ただし、これに自分の生活が全面的に依存していると、自分の自由を失う面もあります。

 たとえば、以前触れたように、私は生ごみを植木鉢コンポストに埋める事で処理していますが、きっかけはゴミを減らさなければならないというエコに関する強い意識が動機ではなくて、私個人が”自由に魚を食べたい”という事でした。

 切り身でない魚を買ってきて料理するとどうしてもエラや内臓はゴミとして発生してきます。私の住んでいるエリアで生ごみの回収は週2回。水曜日に魚を捌いたりすると、2日間はこの内臓やエラを何とかしなければなりません。冷蔵庫や冷凍庫でゴミの日まで保管するという手もありますが、暫く食糧とゴミが冷蔵庫に同居する事になります。あるいは海外に出かける前にはゴミの日と、出発日と、魚を食べる日について綿密に予定を立てねばなりません。

 ゴミの日という制約に支配された食生活と引き換えに、ごみ収集という行政サービスを受ける事になります。

 それじゃあ、魚は切り身だけにするとか、内臓を抜いた”調理済み”の物を買えば良いと思った人は、それは”自由に魚を食べる”事ではなくて、既に世の中に”支配され慣れている”という事だと思います。

 *何もゴミ収集を批判しているわけではないので勘違いされないように**
 それなら、自分にとって便利な部分のみ行政サービスを利用して、不便な部分は自分なりに工夫することで食生活を自分の支配下に置こうと考えた結果、”腐る”ものは自分で処理するという生活スタイルにたどり着きました。私にとっては観葉植物の土を買わなくてよくなったという意味では一石二鳥。行政側にとってもゴミが少しだけですが減って行政サービスの負担も減少。いい事づくめだと思います。

 その他にも、何気なく使っているコンビニ、あるいはインターネットの情報にしても結局それらを自分なりに上手く使いこなしていかないと結局、知らず知らずのうちに支配され慣れてしまう面があると思います。おそらく日本で生活し続けていく限り支配され慣れたまま一生を送れる可能性は高いですが、一歩旅に出てしまうとそうはいきません。どこの国でもコンビニが24時間空いているわけではありませんし、スマートフォンでインターネットに接続しようと思ってもWiFi環境は無いかもしれません。あるいはどこでもいつでも充電できるほどライフラインが充実しているとも限らないわけです。

 そういう所へは行かないという”支配され慣れた”人生を受け入れるか、自分のライフスタイルや旅のスタイルをより汎用性の高い、自分の支配下に置けるレベルの便利さに押さえて置くのかを考えてみる機会があっても良いと思います。そして、旅に出ることは普段自分が意外なことに”依存”している事に気づかされる良い機会にもなるものです。


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