旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

旅の荷物

2018年12月10日 | 旅行一般
 先日、"スーパーカブで旅するタイ北部"からの帰国の際、成田空港のターンテーブルで受託手荷物が出てくるのを待っていた時の事。何度か一緒に旅したことのあるお客様と二人でターンテーブルに出てくる荷物を眺めながら”やっぱりスーツケースを使う人って相変わらず多いんですね。”と話していました。いや、以前より多くなったという印象でもあり、もしかすると逆にバックパックなんかで旅する人が減ったという事なのかもしれません。

 海外旅行と言えばスーツケースと考える方の中には誤解されている方もおられるようです。特に航空便の利用に際して...

1.ハードケースでないと受託手荷物として預けられない
2.ハードケースでないと受託手荷物にした際に中身が壊れる
3.ハードケースでないと盗難に遭いやすい。

 1は単純な誤解で、ソフトバッグでも、段ボール箱でも、受託手荷物として預かってもらえます。ただ、今風なバックパックのように複雑にストラップが装備されている物は積み込みや積み下ろしの際に引っ掛かりやすいので少しばかり迷惑なバッグではあると思います。私は最近は欧米のバックパッカーを見習って、受託手荷物として預ける際にはレインカバーをかけて、その中にストラップ類を極力押し込んでおくようにしています。

 2と3は微妙なところ。もちろんソフトバッグだと中身が壊れやすいとは思いますが、受託手荷物として預けるものに壊れ物を入れる事自体がもともと間違っていると思います。私はビン入りのものなどを預ける場合もありますが、着替えを緩衝材代わりに巻き付けたりして保護するようにしています。それでもこぼれていた事はあります。逆にハードケースなら防げたのかどうかはハードケースを使った事のない自分には判りません。

 3は...正直、受託手荷物はハードケースだろうがソフトバッグだろうが盗難に遭う可能性があると思った方が良いと思います。ターンテーブルの前で荷物を待っている時に注意深く見ていればわかりますが、空港によっては、ハードケースでもいくつかは蓋が開いた状態で出てきます。保安上の理由でこじ開けられていることもあるかもしれませんし、単純に積み下ろしの際に壊れたのかもしれません、あるいは盗難被害..。

 積み下ろしの際に壊れると言えば、スーツケースのローラー部分の破損は案外起こります。重量のある荷物を楽に運ぶためにせっかくローラー付きのスーツケースやキャリーバッグを用意したのに、いざ使う段になってそれが壊れてしまうと、一気に不便な鞄に変貌してしまいます。

 ソフトケースなら単純に蓋を開けて中身を抜かれるくらいで済みますが、ハードケースだと鍵を壊されてしまうので厄介です。出発便で発生すると旅行期間中ずっとベルトでバッグを閉める必要が発生します。そういう意味では逆に誰でも開けられるソフトバッグの方が安全な気もします。

 私は受託手荷物には着替えの他、機内持ち込みにできないファーストエイドキット類や刃物類しか入れていないので小型の南京錠などで防犯対策をすることもありません。盗難にあうと少し面倒にはなりますが、現地で買い足せば済む事です。逆に防犯対策をした結果、バッグを切られたりするとその先の移動で少し困ったことになりかねません。

 スーツケースやキャリーバッグのようなタイプの鞄は我々のような旅の場合、たとえ"スーパーカブで旅するタイ北部"のような団体旅行であっても基本的にとても不向きです。ホテルの車寄せまでバスで乗り付けるわけでもありませんし、到着した宿にはエレベーターがあるわけでもありません。車輪がついていて押したり引いたりして動かせるメリットはチェンマイの宿でいきなり崩壊。狭い階段を3階まで担ぎ上げるとなるとかなりの腕力を必要とすることになります。

 現地で自分が利用する施設のファシリティが不明な自由旅行では自分の側が柔軟に対応できるように機動力のある荷造りが欠かせません。バックパックやショルダーバッグのようなソフトバッグの方がより自由度は高いと思います。


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