旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

オートミールとカナダの友人たち

2017年02月03日 | 旅の風景
 私は好き嫌いと食べ物を残すことが絶対許されない家で育ったおかげで好き嫌いは全くありません。”食べ物を残さない”習慣も自分の中に染み付いていて、目の前に食べ物ののこりがあるとついつい片付けたくなってしまうので、この点については歳をとって基礎代謝の下がった最近では少し気をつけるようにはしています。

 ”好き嫌いがない”という事は、”食べられないものが無い”という利点と同居して”好きなものがあまりない”という結論にも通じていて、これは少し残念なところ。それでもいくつか好きな食べ物はあります。

 その1つに”オートミール”があります。前回の記事に書いた”松茸狩り”に行った頃...1970年代前半には既に我が家にはオートミールやコーンフレークといったちょっと普段の昭和な生活とはイメージの違う食べ物があって、なぜか日曜日の朝食に取り入れられていました。
 
 日曜日、寝坊していて親に起こされて朝食に行くと表面が冷め始めたオートミールが盛り付けられていて、そこにバターを一切れ。表面にバターを置いても冷め始めたオートミールではバターは溶けません。そこで、少しだけスプーンで掬ってまだ温度が残っているオートミールの中央付近に埋めておいて砂糖と牛乳をかけ、かき混ぜると溶けたバターが金色に輝きながら中から流れ出てきて牛乳の中に点々と浮かぶのを見るのも好きでした。もちろん、なんとなくお菓子のような甘い”食事”というのは、お菓子を厳格に制限されていた子供にとって、”堂々と口にできる”素敵な食べ物でした。

 その頃放映されていたアメリカのテレビドラマ、”大草原の小さな家”の中で、主人公のローラはオートミールが嫌いで、お父さんに叱られるシーンがあったのですが、どうしてあんなに美味しいものが嫌いなのかとても不思議に思ったものです。アメリカ人にとっては”まずい食べ物”の代表なのかなと思ったりもしたのです。

 それから年月を経て、自分の食生活に”欠かすことができない存在”ではありませんので、食べたり食べなかったり。”カナダオフロードファンライド”でカナダに行った際、エインズワースホットスプリングスリゾートに宿泊するコースの時は、ホテルの朝食のセットメニューを少し組み替えてもらうように交渉して、オムレツ、オートミール、フレンチトースト、ミルクティの4点にしてもらうようにしていました。

 始めてエインズワースに泊まった際、私がこの交渉をしているのを見た現地ガイドのデイブとダグは”オートミールって何だかわかって注文してるのか?”と私に尋ねたものでした。彼らにとっては日本人はスシやテンプラやシャブシャブばかり食べている人間のはずだったのかもしれません。
 
 ”大草原の小さな家”のシーンを思い出した私は逆に彼らに”みんなはオートミール嫌いなの?”と尋ねましたが、”いや、そんな事ないよ”と。その時に、”オートミールにはブラウンシュガー”という鉄則を教えてもらいましたが、今は私はハチミツを組み合わせています。

 カナダではスーパーでクエーカーオーツの大箱をC$20位で売っているのを見つけて、カナダへ行ってスーパーに寄る時間があると、それを買って帰って来たりもしていました。インターネット通販で大箱を買っていたこともあります。最近のお気に入りは”業務スーパー”で扱っているオートミールです。同じく業務スーパーの”冷凍ブルーベリー”を温かいうちに加えて、ハチミツとバターと無調整豆乳を加えて食べるのが最近のお気に入り。
 
 その”邪道”な食べ方のオートミールを食べながら、”オートミールにはブラウンシュガーなんだよとダグとデイブが口をそろえて言ってたな”とか、そんな記憶が蘇ります。そして、ツアーガイドを引退したデイブは今頃どうしているかなとか、そんな事が脈絡なく頭に浮かんでは消えていくのです。


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