旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

化学調味料と旨味調味料

2008年03月13日 | ライフスタイル
旨味調味料と呼ばれる調味料がありますが、あれは私が子供の頃は化学調味料とよばれていました。

おそらく、あの頃は食品に”化学”とつけることにあまり抵抗を感じなかった時代、あるいは”化学”という言葉に少し近未来的な洒落たイメージを持っていたのではないかと思います。ところが、この言葉は”自然食”などとは相対する方向を向いていて、”自然”を信奉する時代になって、化学調味料は受け入れられなくなったのでしょうね。そこで現れた新しい呼び方が旨味調味料という事でしょうか。

ところが、化学調味料時代に生まれた誤解はまだ解けていない部分もあって、”石油”でできているという噂話も出てきます。もしこれが事実なら、石油を食品として利用する革命的な技術だと思えるのですが、意外と信じている人もいるようですね。

塩は岩塩という鉱物から採るか、あるいは海水から塩化ナトリウムを抽出して作りますから、甜菜などから抽出する旨味調味料と同じレベルで化学調味料であるとも呼べますし、だいたい、料理という作業の多くが食材に熱を加えたり、冷却したりして、成分の化学変化を促している場合が多いので、全て”化学的”であるとも言える事から考えると、旨味調味料が受ける批判は少し不当な差別のようにも思えるわけですが、私は旨味調味料を弁護する立場でもないので、その辺りはメーカーさんに任せます。

化学という言葉は少し洒落た印象を抱いたかと思えば、時代が変わると逆に非常に人体に悪影響がある物体を思わせる印象となったり、単純に石油を連想させたり、言葉というものは時代によって異なった印象を抱かせるものですね。多くの場合、1つの言葉に対して抱く印象は世代によっても異なるでしょうし、各個人によっても異なります。

言葉に対する抽象的な印象が様々な偏見の元となっているケースというのも多々みられます。だから、時々、”化学調味料”を”旨味調味料”と呼び換えたように、印象が自分達に染み付いていない言葉に置き換えてみると、違った姿が見えてくるかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿