旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

趣味VS趣味の愚劣なせめぎあい

2017年05月07日 | ライフスタイル
 しばらく前に”東京トレッキング”というイベントを開催していた事があります。ちなみにこのイベントは近いうちに、少しひねった形で再開することを考えていますのでお楽しみに。
 
 さて、話を戻して。

 ある時のルートで、日比谷公園をゴールに設定したことがあります。大手町から皇居沿いを歩いて日比谷公園へ向かうわけですが、所謂”皇居ランナー”の皆様方とは逆回りで歩道を”歩く”事となります。開催日は日曜日。ゴールは夕方なので多くの皇居ランナーが走っておられて、皆さんの”邪魔をする”形.....になりました。

 私はルートの最終チェックをしながら先頭を歩いていたのですが皇居沿いを歩いている間にランナーの皆様方からあからさまな敵意を感じました。”逆回りしてるんじゃねーよ”という事なのでしょう。後続のお客様の何人かも同じ印象を受けたと述べておられました。

 最近、山歩きを始めた私ですが、どうやら山でもトレールランナーとハイカーの間のトラブルがあるようですね。

 私は少しハイペースなハイキングを好むのでトレールランナーとハイカーの中間的なペースで移動していることになります。多くのハイカーに道を譲ってもらいますので、”蹴散らして行った”というムードを出さないためにとても気を遣います。

 つまるところ”気さくさ”を演出しながら歩いているのです。軽く”今日は暑いですねぇ”とか、”どこまでですか?”等と話しかけながら進みます。多くの場合”こんにちは””暑いですね”等と気持ち良い返事が返ってくるのですが、それでも”こんなところに来てまで人と会いたくなかった”という事なのか、あからさまに無視を決め込もうとされたり、敵意を感じる事も多々あります。

 私の正直な印象はトレールランナーの人達の方がハイカーよりはずっとマナーは良いのです。ほとんどの人が追い越す前にペースを落として、追い越しやすいところで、こちらが譲るのを待ってから徒歩ペースにペースダウンしてから追い越していきます。一言二言会話をかわしていく方も多いのです。

ハイカーとトレールランナーを隔てるのは、少しナンセンスな”歩行者優先”意識。これが山の中まで行き渡っているという事でしょうか。そして最もマナーが悪い”ハイカー”に軍配があがるという事なのでしょうか。


 以前、オフロードバイクで遊んでいた時にはハイカーに”こんなところまで来て排気ガスの匂いを嗅がせやがって”とハイカーに怒号を浴びせられた事は何度もあります。もちろん、危険な追い越しをしたり、空ぶかしを繰り返したわけでもなく、”こんにちは”と声をかけて返ってきたのが怒号だったという顛末。

 私はオフロードバイクにも乗りますし、山歩きもします。なおかつ、ランニングもしますから、これら全ての趣味に跨って遊んでいるわけです。山を歩いているときも、気持ち良い稜線を歩いていると、ついついバイクで走っている場合をイメージしたりもします。
追い越していくトレールランナーを見て、”自分も次は走ってみるかな”と思うこともありますし、逆に”ここを走ってるんだから凄いな”と思うこともあります。

 だから思うのです。正直、日本の趣味の世界は了見が狭いのです。

 最初にあげた皇居ランナーは一つの例。自分たちの世界を築き上げてその中で楽しむのは趣味としては良いのですが、その世界の外の人を排他的に捉えるような遊び方をすれば、いずれどこかで摩擦を生じて行き着く先は”皇居ランニング禁止”という話だと思います。

 バイクの世界は昔からそんな感じ。

 ”オフロード派”とか”ロード派”とか、”ツーリング派”に”レース派”、はたまた”カワサキ党””ハーレー党””BMW党”と、派閥形成に余念がありません。

 そして、その先にあるものは自分の属する派閥に入らない人達に対する攻撃。

 トレールランナーとハイカーの関係で言えば、正直、出会いはあっという間に過ぎてしまいますからハイカー側の感情的な批判、ひいては”山を駆け抜けるべきではない”みたいな少し自分本位な価値観に起因すると思います。こういう事が大騒ぎに結びついて、結局”○○禁止”という結論に至った遊びがどれだけあることか。

 やっぱり了見が狭すぎなのです。

 同じフィールド違うアプローチで楽しもうとする人を敵視する意味がどこにあるのか。結局は自分の価値観だけが絶対という了見の狭さにすぎないと思うのです。


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