旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

旅と英語

2013年12月20日 | 旅のノウハウ
"英語ができないんですが何とかなりますか。”..この質問について過去にも触れたことがありますが、それでも未だに質問される永遠のテーマです。

 実際に海外で出会う人の中には英語は全然できないけれども上手くコミュニケーションをとって何とか旅している人もいますが、同時に言葉ができないばかりに、どうにもならなくなっている人も沢山います。

 とても厳しい話をあえてするならば、旅行会社に”英語ができないんですが何とかなりますか。”と質問する人は正直なところ後者に分類される可能性が非常に高いと見ています。だから私にそういった質問をして”何とでもなりますよ”という期待通りの返事がもらえた人は多分居ないはずだといます。

 どういう事かというと、”英語ができない”という不安を”何とでもなります”と勇気づけて欲しいという気持ちから出ている質問で、なおかつ、旅行商品を売ろうとしている旅行会社だから、”英語ができない人は無理です”と言って自分で販売の邪魔をするような事はしないだろうという少しズルい読みも含まれている感じがするからです。言葉ができないまま何とかしている人たちは最初から自分で何とかするつもりで腹を括っていますから、そういう質問は出てこないと思うのです。

 それからもう一つ。”英語なんてできなくても何とでもなるよ”と豪語している旅行者の中には”何とかしてもらった”だけの人も結構含まれていて、いずれ何ともならなくなる時がやってくる場合もあるのです。

 英語ができなくても何とかしている人が居るとはいえ、やっぱり英語はできた方が旅は楽しくなりますし、現地でいろいろな人と知り合いになったり情報交換をして自由に旅するためには最低限英語はある程度できた方が良いです。

 昔触れた事がありますが、実際には英語を母国語として話している国はそう多くありません。スーパーカブで旅するタイ北部で訪れる地域では参加された方々はご存じのとおり英語が全く通じない場所も沢山通ります。そういう所では”空気を読む”という作業になるわけですが、もう少し高度なコミュニケーションの技としては”漢字かな混じり文”ならぬ”英語空気交じり文”での会話となります。

 英語が言語として全く通じない場所でも単語としては通じる場合があるのが英語が日本語とは違う点です。具体的には”ハロー”、”オーケー”、”イエス”、”ノー”あたりは通じる事が多いです。これらをはじめとする相手と自分が共通して知っている英単語を”空気を読んで”探り出したら、それを身振り手振りと上手く組み合わせて自分の言いたいことを相手に伝えるわけです。相手も同じ方法で伝えようとしますから、今度は自分にわかる英単語と相手の身振りから”空気を読んで”コミュニケーションが成立するわけです。

 こういうコミュニケーションの方法の場合、流暢で正しい英語を話すより、相手が知っているだろう英単語を殊更強調して話した方が伝わりやすいので、見た目たどたどしい英語になってしまう事も多いのですが、英会話の試験ではないですし、流暢に話す事よりも通じ合える事が目的ですから、相手に分かりやすく話すことが合理的なわけです。

 相手の反応を見ながらいくつかの単語を並べてみて相手が判る単語を探り、今度はそれを相手が判りやすいであろうと推測される通りに身振り手振りと組み合わせて、それに対する相手からの反応も言葉と身振り全てに注意を払いながら推測を重ねていく、こういうコミュニケーションはとても時間も労力もかかりますが、そういうやり取りは旅の思い出の大きな位置を占めること請け合いです。それから、そんな事を繰り返しているうちに、今度は英語が普通に通じる人と話す時にはとても”楽だ”と感じたり、リラックスして話せたりするようにもなります。たまたま同じ宿に泊まっていた他の国の旅行者と話すことが”苦痛”ではなくなる時がやってきます。

 ”英語空気交じり文”でのコミュニケーションにもある程度の英語力は必要になります。いや、むしろ英語ができた上で成立するコミュニケーション方法という事もできます。

 だから是非、これから海外へ出かけようと考えている人は少しくらいは英語を勉強して行かれる事をお勧めします。その方が絶対楽しいですよ。


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