夜のすすきのは人があふれ、観光客が姿を消した時計台は静寂と闇。
中島公園駅のシャッターの下りた階段の前に、腰を据えるは人でなく猫。
かに本家のカニを照らすけばけばしいネオンは、歩く人の黒い影を、よりいっそう濃くする。
交差点の警察官が持つ赤色灯は、力を持たぬ若者の傘。
夢の色が虹色なら、雨に濡れたアスファルトは何色と呼ぼう。
落雷とライラックのコントラストに、牧歌と札幌ドームを重ねる。
大志を抱かせるのは愚人でも凡人でもなく、偉い肩書きの外国人。
広すぎる道の真ん中では、いつも日本人の小ささばかりが目について。
初めて味わう挫折なら、涙雨を言い訳に。
それをしたくないのはただひとつ、
札幌に負けたとは思いたくないから。