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社会保障調査で「食料が買えないことがあった」が15.6%、暮らし向き悪化

2009年12月25日 09時53分55秒 | ベーシックインカム
国立社会保障・人口問題研究所が2007年に実施した「社会保障調査」の結果が明らかになった。調査結果は、以下のURLから探せるので、参照していただきたい。

国立社会保障・人口問題研究所(更新履歴)
http://www.ipss.go.jp/site-ad/updated/j/whatsnew.html

社会保障実態調査のページ(調査の概要)
http://www.ipss.go.jp/ss-seikatsu/j/jittai2007/gaiyou.html

調査は、2007年7月に実施され、1万7466人から回答が得られた。「過去1年間にお金が足りなくて家族が必要とする食料が買えないことがあったか」との問いに、よくあったが2.5%、ときどきあったが4.5%、まれにあったが8.6%の合計15.6%。「7人に1人」が食料が買えない経験をしていることが明らかになった。このブログでも取り上げているが、母子家庭など「ひとり親世帯」に限って算出すると、38.4%と倍以上に跳ね上がる。「衣服が買えないことがあったか」との問いには20.5%、ひとり親世帯では46.8%と「5人に1人」や「2人に1人」となる。病気になっても医療機関に行かない人も多く、11.5%に達している。自己負担が高くて払えない、医療保険に未加入だからなど、病院に「行きたくても行けない」実態が明らかになった。

15%の世帯、食費足りぬ経験=「10年で暮らし悪化」3割-厚労省
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/nation/jiji-091224X230.html

また、生活水準を聞いたところ、37.3%が大変苦しい、やや苦しいと回答。10年間で暮らし向きがどのように変化したのかを聞いたところ、31.5%が悪化と回答。よくなったの12.4%を上回っている。


内閣府が公表した「高齢者の生活実態に関する調査」も同じような結果となっている。高齢者3398人に現在の暮らし向きを聞いたところ、「4人に1人」の26.4%が苦しい、ひとり暮らしに限って算出すると32.3%と「3人に1人」が苦しいと回答している。また、大変苦しいと答えた人に「必要な衣類が買えないことがあったか」ときいたところ、19.3%がある、「食料が買えないことがあったか」には15.6%があると答えている。
また、「病気など困ったときに頼ることができる人がいるか」にいないと答えた人は、全体の3.3%だったが、ひとり暮らし世帯に限って算出すると、男性が24.4%、女性が9.3%と大きく上回る。なかでも「ひとり人暮らしの高齢者(男性)」に社会的に孤立している人が多いことが明らかになった。

独居老人男性の24%孤立際立つ 内閣府調査
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/m20091223026.html

高齢者の4人に1人「暮らし向き苦しい」 内閣府調査
http://www.asahi.com/national/update/1223/TKY200912230104.html?ref=goo


これらの数値は、厚生労働省が公開した相対的貧困率の数値15.7%とほぼ一致する。3つの調査は別のことを聞いており、結果を単純に比較して評価できるものではないが、国民の「7人に1人」が生活に困窮した経験があり、ひとり暮らしやひとり親などの社会的に弱い立場にある人たちにおいては「3~4人に1人」が経験している。生活の苦しさが統計的にも裏付けられたこれらの結果からは、もはや、個人の責任に帰することはできない水準であり、社会的に弱い立場にある人たちを支える何らかの仕組みが必要だとわかる。