高齢者医療制度の「廃止」に関する動きは、連日のように報じられているが、同じくマニフェストに「廃止」が掲げられている障害者自立支援法に関する動きは、ここしばらく何も報じられなかった。
毎日新聞が、久々に「障がい者制度改革推進本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)の動きを報じている。「制度改革推進委員会」を設置すること、メンバー20人のうち11人を障害者や障害者団体の幹部とすること、制度・政策の議論に当事者が参加することなどを基本的な方針とするとのこと。これまで、制度・政策を検討するにあたっての障害当事者の関わりは限定的で、せいぜい「ヒアリング対象」だった(しかもアリバイづくり的に)。そのため、障害者自立支援法の成立時には何が決められたのかわからず、制度施行の直前になって抗議行動をおこさざるを得なかった。その反省から、制度設計の最初から障害当事者が参加できるようにし「政策決定のエンジン役」を担ってもらおうというものである。
この考え方は素晴らしいものだが、これから先は大変になるだろう。「障害当事者」といっても「一枚岩」ではない。制度改正の考え方に賛成の団体があると思えば、反対の団体もある。それぞれの団体がそれぞれの理念を掲げて活動しており、その理念に照らし合わせて賛成や反対の論理が組み立てられる。どちらが正しく、どちらが誤っているというものでもない(どちらも正しいというべきか)。そのため、論点によっては、妥協点を見出すことができないこともある。委員会のメンバーの意見が必ずしも「障害当事者」全員の意見を代表しているものではないということが最後の最後になってわかるかもしれない。
多くの困難は予想されるが、従前と比べれば、当事者が議論に参加できることだけでも、とても大きな前進である。この機会を逃すことなく、委員会などから示される「考え方」から何がどうなるのかを誰もがわかるように現実に照らし合わせて咀嚼し、当事者が真の意味の政策決定の「主体」となれるように支援すること(当事者のための制度・政策なのだから、当事者が決定するのは当然のこと)、委員会に賛成や反対の声、実現してほしいことなどの声を届けることが必要である。
<障害者>制度改革へ自ら政策立案 新組織のメンバーに
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091207-00000002-mai-pol
もちろん、障害当事者には、「政策決定のエンジン」の経験も知識もない。このブログでも書いているように、何かを実現しようと思うと、そのための財源を確保しなければならないし、そうするためには誰かが何かを諦めざるを得なくなる。訴えたことがそのまま通らないことも、理念的には納得できないとしても、現実解を受けいれざるを得ないこともある。これまで「障害当事者」は「厚生労働省」と何から何まで敵対したり、一方的な制度の押し付けと一方的な要求といった、良好とはいえない関係にあった。今回の「制度改正推進委員会」をきっかけに、すべての利害関係者が協力して推進できるような関係、対等に話し合えるような関係を目指していただきたい。
また、障害者自立支援法の「廃止」の考え方についても明らかになった。
具体的には、
・現行の応益負担を廃止し、所得に応じた応能負担とする
・制度利用の谷間が生じないように、対象に発達障害や難病、内部障害などを含める
・現行の障害程度区分を見直し、障害者の個々のニーズを反映する新たな認定方法とする
であり、廃止後の法律名は「障がい者総合福祉法」、合わせて「障害者虐待防止法」の成立と「障害者基本法」の改正を目指すというものである。
毎日新聞が、久々に「障がい者制度改革推進本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)の動きを報じている。「制度改革推進委員会」を設置すること、メンバー20人のうち11人を障害者や障害者団体の幹部とすること、制度・政策の議論に当事者が参加することなどを基本的な方針とするとのこと。これまで、制度・政策を検討するにあたっての障害当事者の関わりは限定的で、せいぜい「ヒアリング対象」だった(しかもアリバイづくり的に)。そのため、障害者自立支援法の成立時には何が決められたのかわからず、制度施行の直前になって抗議行動をおこさざるを得なかった。その反省から、制度設計の最初から障害当事者が参加できるようにし「政策決定のエンジン役」を担ってもらおうというものである。
この考え方は素晴らしいものだが、これから先は大変になるだろう。「障害当事者」といっても「一枚岩」ではない。制度改正の考え方に賛成の団体があると思えば、反対の団体もある。それぞれの団体がそれぞれの理念を掲げて活動しており、その理念に照らし合わせて賛成や反対の論理が組み立てられる。どちらが正しく、どちらが誤っているというものでもない(どちらも正しいというべきか)。そのため、論点によっては、妥協点を見出すことができないこともある。委員会のメンバーの意見が必ずしも「障害当事者」全員の意見を代表しているものではないということが最後の最後になってわかるかもしれない。
多くの困難は予想されるが、従前と比べれば、当事者が議論に参加できることだけでも、とても大きな前進である。この機会を逃すことなく、委員会などから示される「考え方」から何がどうなるのかを誰もがわかるように現実に照らし合わせて咀嚼し、当事者が真の意味の政策決定の「主体」となれるように支援すること(当事者のための制度・政策なのだから、当事者が決定するのは当然のこと)、委員会に賛成や反対の声、実現してほしいことなどの声を届けることが必要である。
<障害者>制度改革へ自ら政策立案 新組織のメンバーに
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091207-00000002-mai-pol
もちろん、障害当事者には、「政策決定のエンジン」の経験も知識もない。このブログでも書いているように、何かを実現しようと思うと、そのための財源を確保しなければならないし、そうするためには誰かが何かを諦めざるを得なくなる。訴えたことがそのまま通らないことも、理念的には納得できないとしても、現実解を受けいれざるを得ないこともある。これまで「障害当事者」は「厚生労働省」と何から何まで敵対したり、一方的な制度の押し付けと一方的な要求といった、良好とはいえない関係にあった。今回の「制度改正推進委員会」をきっかけに、すべての利害関係者が協力して推進できるような関係、対等に話し合えるような関係を目指していただきたい。
また、障害者自立支援法の「廃止」の考え方についても明らかになった。
具体的には、
・現行の応益負担を廃止し、所得に応じた応能負担とする
・制度利用の谷間が生じないように、対象に発達障害や難病、内部障害などを含める
・現行の障害程度区分を見直し、障害者の個々のニーズを反映する新たな認定方法とする
であり、廃止後の法律名は「障がい者総合福祉法」、合わせて「障害者虐待防止法」の成立と「障害者基本法」の改正を目指すというものである。