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政府税制調査会、取りまとめ難航 特定扶養控除の縮減を再協議

2009年12月15日 10時03分36秒 | ベーシックインカム
政府税制調査会は、「特定扶養控除(16~22歳)」を縮減しないという方針を見直し、高校生のいる世帯(16~18歳)に限って、国税の所得税を63万円から38万円に、地方税の住民税の45万円を33万円にする案が文部科学省から出されていたことを明らかにした。8日の現行制度の維持の合意は「なくなった」として、再協議に入る模様。

特定扶養控除は、高校から大学に通う子どもがいる世帯の経済的な負担を軽減するためのもの。同じくマニフェストに掲げる高校無償化と目的が一致するために二重取りとの批判があった。また、必要な財源4500億円を確保しなければならないために、18歳で区切って控除額を縮減しようとの考えだろう。
高校無償化に所得制限を設けるべきとの意見が財務省などから出されているため、文部科学省が先手を打ってきたとも考えられる。

特定扶養控除の縮減提案 文科相、高校無償化に伴い
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009120401000730.html

高校無償化は、公立高校に通う子どもがいる世帯には11万8800円、私立高校に通っていて所得が500万円以下の世帯には23万7600円を支給するというもの。民主党案では、手当を世帯に直接支給する方法だったが、市町村の事務負担が重くなることから、高校への間接支給に切り替える方向で検討が進んでいる。所得制限を設けるとなると、高校に親の所得を伝えなければならなくなり、プライバシーの観点からも子どもの成長の観点からも望ましくない。それならば、学生の数に応じて高校に授業料相当額を交付するようにし、私立高校に通う子どもがいる世帯で所得が500万円以下ならば、市町村窓口などに在学中であることと所得を証明するものを添えて申請すれば、約12万円が支給されるようにすればよい。このようなシンプルな仕組みにすれば、事務経費も抑えられる。

既に低所得層向けの支援制度があるため、新たに始まる高校無償化の恩恵がない。ゆえに所得制限を設けて給付にまわすべきとの意見もある。例えば、高校の授業料免除は、公立高校の10%、私立高校の18%の約43万人が対象となっている。さらに、所得が350万円以下の世帯を対象に入学金などにあてる給付型の奨学金の予算として約120億円、修学旅行費などにあてる予算として455億円が予算計上されている。つまり、低所得層の世帯においては実質的に高校無償化が実現されており、今回の政策によって恩恵がある世帯は、中所得層よりも上。それならば、裕福な世帯には、授業料を負担してもらって、その分を低所得層への給付にあてたほうがよいとも考えられる。
子ども手当にも所得制限を設けるべきとの議論があった。しかし、所得を正確かつ効率的に捕捉する方法がない現時点では、市町村の事務負担が大きくなりすぎ、事務経費が膨大になるとの理由から見送られている(現時点では。決定ではないので注意)。高校無償化に伴う低所得層への直接支給を手厚くすると、同じような問題に直面することになる。

低所得層には、授業料免除に加えて様々な目的で使えるように手当を支給する、中所得層は、授業料免除のみで、教科書代などは自己負担。高所得層は、これまでどおりに全てを自己負担していただく。このようなプラス・マイナスの傾斜をつけると「給付付き税額控除」的になる。このような意味で「所得制限」という言葉を使ってみてはいかがだろうか。