子ども手当の財源確保が難航している。鳩山首相が「全額、国が負担するのは当たり前」と援護したにも関わらず、長妻大臣が全額国費が理想だが、「現行(児童手当)の範囲を超えない金額で地方負担に協力いただく選択肢もある」と発言したことから、暗雲が漂い始めた。
原口総務大臣は、児童手当の地方負担分がなくなる代わりに、子育て環境の充実にその分を充てるとの考え方をかねてから明らかにしていただけに、話し合いは平行線のままで調整はついていない。10日には、全国知事会などの地方6団体が、これまでの方針どおり、国が全額負担すべきだとの緊急声明を原口大臣と長浜副大臣(厚生労働)に提出した。全国町村会(山本添田町長)は「地方負担を求められた場合には、支給事務をボイコットする構えだ」や「事務はやらない、皆で拒否する。自分たちで配ればいい」などと述べ、全国知事会(麻生福岡県知事)も「地方負担が一方的に決められれば、国と地方の信頼関係は非常に深刻な事態に陥る」と述べるなど、事前の調整・協議なしの長妻大臣の発言への批判が高まっている。
子ども手当事務ボイコットも=一部財源負担に反発-町村会長
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-091210X828.html
子ども手当、地方負担に反対の緊急声明 全国知事会
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2009120804190.html
子ども手当、国が全額負担を 6団体が緊急声明提出
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121001000543.html
ここ1~2週間ほどの長妻大臣と厚生労働省の動き方には、疑問を感じる。大臣をサポートしなければならない厚生労働省の役人は、事前の調整・協議なしに地方負担を求めると関係が拗れて、かえって調整が難しくなることぐらいわかっていたはずである。長妻大臣は厚生労働省のトップ=顔なのだから「面従腹背」と決め込まずに、四方八方に手をまわして事態の収拾を図り、多忙を極める大臣を支えるべきである(それとも、政策を実現する力がそこまで低下したのか...)。
このブログで書いたように、子ども手当の実現には財源の確保が必要であり、事業主と地方の負担なしには目処が立たない。マニフェストの実現を優先させるべきと財務省と調整して(国債を発行して)何とか来年度の予算編成を乗り切ったとしても、その翌年度からは、支給額が半額の1万3千円から2万6千円になるため、財源の確保はさらに難航することになる。子どものために借金し、その返済を子どもに付けまわすことはできない。国民の理解を得られないだろう。とはいえ、財源の確保にいくら奔走したとしても、そう簡単には「兆」の単位のお金は出てこない。
国債発行枠「44兆円」明記せず 官房長官、増発を容認
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2009121003860.html
恒久的な財源を確保できないと制度を存続できなくなることは、支援費制度からも学んでいるはずである。マニフェストを実現したいならば、政策の優先順位を考え、何かを諦めたり手放したりしなければならなくなる。そうしないと、厚生労働省の予算は膨れる一方になってしまう。民間企業とは違い、制度・政策の「選択と集中」は簡単ではないが、いずれは批判と抵抗を覚悟の上で踏み切る勇気が必要になるだろう。
原口総務大臣は、児童手当の地方負担分がなくなる代わりに、子育て環境の充実にその分を充てるとの考え方をかねてから明らかにしていただけに、話し合いは平行線のままで調整はついていない。10日には、全国知事会などの地方6団体が、これまでの方針どおり、国が全額負担すべきだとの緊急声明を原口大臣と長浜副大臣(厚生労働)に提出した。全国町村会(山本添田町長)は「地方負担を求められた場合には、支給事務をボイコットする構えだ」や「事務はやらない、皆で拒否する。自分たちで配ればいい」などと述べ、全国知事会(麻生福岡県知事)も「地方負担が一方的に決められれば、国と地方の信頼関係は非常に深刻な事態に陥る」と述べるなど、事前の調整・協議なしの長妻大臣の発言への批判が高まっている。
子ども手当事務ボイコットも=一部財源負担に反発-町村会長
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-091210X828.html
子ども手当、地方負担に反対の緊急声明 全国知事会
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2009120804190.html
子ども手当、国が全額負担を 6団体が緊急声明提出
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121001000543.html
ここ1~2週間ほどの長妻大臣と厚生労働省の動き方には、疑問を感じる。大臣をサポートしなければならない厚生労働省の役人は、事前の調整・協議なしに地方負担を求めると関係が拗れて、かえって調整が難しくなることぐらいわかっていたはずである。長妻大臣は厚生労働省のトップ=顔なのだから「面従腹背」と決め込まずに、四方八方に手をまわして事態の収拾を図り、多忙を極める大臣を支えるべきである(それとも、政策を実現する力がそこまで低下したのか...)。
このブログで書いたように、子ども手当の実現には財源の確保が必要であり、事業主と地方の負担なしには目処が立たない。マニフェストの実現を優先させるべきと財務省と調整して(国債を発行して)何とか来年度の予算編成を乗り切ったとしても、その翌年度からは、支給額が半額の1万3千円から2万6千円になるため、財源の確保はさらに難航することになる。子どものために借金し、その返済を子どもに付けまわすことはできない。国民の理解を得られないだろう。とはいえ、財源の確保にいくら奔走したとしても、そう簡単には「兆」の単位のお金は出てこない。
国債発行枠「44兆円」明記せず 官房長官、増発を容認
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2009121003860.html
恒久的な財源を確保できないと制度を存続できなくなることは、支援費制度からも学んでいるはずである。マニフェストを実現したいならば、政策の優先順位を考え、何かを諦めたり手放したりしなければならなくなる。そうしないと、厚生労働省の予算は膨れる一方になってしまう。民間企業とは違い、制度・政策の「選択と集中」は簡単ではないが、いずれは批判と抵抗を覚悟の上で踏み切る勇気が必要になるだろう。