ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

ハラス(終わり)

2008年12月27日 23時24分54秒 | 未分類
「ハラス」とはアラビア語で、終わりという意味。何かをしている相手にそれを止めさせようとする時、両手を横に広げて、こういう。

金曜深夜過ぎのドバイ発関空行きEK316便と関空発羽田行きEK6252便を乗り継ぎ、妻と娘が待つ羽田空港に無事到着したのは20時半だった。

ドバイ空港に向かうタクシーの運転手に聞かれた。仕事が終わって故郷に帰るのか、と。いや、ただ休暇で帰るだけさ、と答える。金融危機以降、プロジェクトが中止になったり、職を失いドバイを去る外国人が増えているのだろう。私もその一人にみえたようだ。

所長交代の挨拶回りをしていて「ご帰任で」と聞かれると、答に詰まる。次の職場が、日本ではないからだ。ビザの申請もドバイからするので、年末年始の休暇が終われば、いったんドバイに戻らねばならない。

ドバイに赴任したのが2月だから、2年足らずの滞在ということになる。短かったなというのが実感だ。

このブログを始めた時のことを、よく覚えている。ドバイにはまだ出張で来ていた頃で、当地には知人も少なく、宿だったアスコット・ホテルでアザーンを聞きながら一人煮詰まってしまっていた。何か書きたい、人に読んでほしい、という衝動に駆られたのはおそらく生まれて初めてのことだ。

もともと家族と親しい友人に読んでもらえればと思っていたが、現在は毎日平均200人ほどの人がこのブログにアクセスしている。半分以上は私が会ったことがない人だろう。ブログを始める時に心配した、悪意ある書き込みや「荒らし」をほとんど経験しなかったのは幸いだった。

(最近読んでいないが)日本にいながらガルフ・ニュースの記事を翻訳しているブログがあるくらいだし、私はドバイにはまだしばらくいることになるので、このブログを続けることはできなくもない。だが、自分の関心はすでに他に移ってしまっている。

新任地で新たなブログをと言ってくれる友人もいるが、現時点ではどうするか決めかねている。匿名でも誰が書いているかは大方察しがついてしまうことはわかった。私の意見が組織のそれと誤解されるのは避けたい。一方で、単純な新聞記事の翻訳や中立的で当たり障りのないことばかり書くのは私の趣味ではない。

始まりがあれば終わりがある。このブログをどう終わらせようかとずっと考えていた。このあたりが潮時と思う。

最後に、このブログを継続して読んで下さった方、コメントくださった方、ありがとうございました。勇気づけられました。

2009年が、ドバイ、そして世界にとって、平和な年でありますように。

ハラス。

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