ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

テディベアにつけてはいけない名前とは

2007年12月05日 00時13分28秒 | 文化・宗教
テディベアにイスラム教預言者の名、有罪英女性に恩赦(読売新聞) - goo ニュース

アパートのジムのトレッドミルの上を走りながら、BBCワールドのニュースをみていると、スーダンで宗教侮辱罪で禁固刑の判決を受けた英国人女性教師が、無事釈放され英国に帰国した映像が流れている。ナイフを突き出して、死刑を要求する群集の姿が映し出されて、緊迫した時期があったことがわかる。

この英国人教師が小学校の授業で7才の子供達にテディベアに好きな名前をつけるように指示したところ、投票の結果、クラスで一番人気の男の子の名前ムハンマドが選ばれたという。

イスラム社会で、男子に預言者にちなんでムハンマドという名前をつけるのはよくあることで、最近その傾向は強まっていると何かで読んだ。同じクラスに何人のムハンマド君がいたのか定かでないが、人気投票でムハンマドという名前が選ばれるのは不思議ではない。

我々にとってわかりにくいのは、それのどこが宗教を侮辱したことになるかだ。この点について、12月4日付ガルフ・ニュースにリンダ・ハードという中東専門家が寄稿した論評が示唆に富んでいる。それによれば、女性教師の行為は全く無邪気な過ちであるとしつつ、イスラム社会では物(inanimate object)に預言者と同じ名前をつけるのは(イスラム教に対する)攻撃または偶像崇拝(idolatory)であると解されかねないという。

ぬいぐるみが駄目なら、生きた動物ならいいのか。たとえば犬や猫なら許されるのか、という疑問も湧いてくる。

不幸なのは、今回の事件が、西側社会にイスラム教が理不尽かつ不寛容であるとの印象を与えてしまったことだろう。以前、新聞が預言者ムハンマドの漫画を掲載し、テロを引き起こしたのは記憶に新しい。今回はそれと明らかに異なる。英国政府との関係がぎくしゃくしているスーダン政府が交渉材料として利用したという観測もある。

いずれにせよ、イスラム社会に住む異教徒に、預言者の名前を使うことには慎重であるべしという教訓を与えてくれる事件だ。

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