
そんなこんなで、久しぶりにタバコを吸いに喫茶店「ねずみのこと」に行ってきた。別に美味しいコーヒーを期待して行ったわけではなく、ただ椅子に座ってゆっくりとタバコを吸いたかっただけなのだ。
「今日は寒いね!」と開口一番に言うと、店主の娘(娘?実はもう50歳くらいになっている。なぜ娘なのか?この喫茶店、オヤジの方が印象が強いから、その娘だから「娘」なのだ。) まあ、良いか?
「半纏って良いよね!」と唐突に話を出して、コーヒーを入れている「娘」を改めて見ると、来ているのは半纏じゃなかった。半纏をイメージするような色柄のセーターの上にエプロンを着けていたのだった。「着ているのは半纏じゃなかったんだ。ごめん」と私。
「半纏のような色柄だからね。でも、家では半纏来ているよ。暖かいからね」と返事を返してきた。
そこから、話題は「喫茶店」の話に移って行った。
「喫茶店、本当に少なくなってきたね?」
「そうですね。昔はこの街にも、80を超える喫茶店があった。でも、今は、どんどん廃業してしまって残っているのは本当に少なくなった。料理を出す店は、結構生き残っている。技術があるからね。でも、喫茶店は特に技術というものじゃないから、大手は別にしても、生き残れない。喫茶店やりたいという人はたまにいる。でも、金を掛けて開店しても、潰れてしまうから、辞めた方が良いよって話しているんですよ!」と「娘」は言う。
「そうだね!店舗を借りて開店しても採算合わないでしょう!ジムの近くに店舗があるんだけどね。そこの店舗は色々な店が開店しているんだけど、一年も経たないうちに潰れている。それが何度も続いている。あんな人通りのないところは無理だと思うんだけどね。」と私。
「表の方ならまだ良いけど、あそこは無理でしょうね!」と「娘」。
そう言えば、この店も、客は私しかいない。来た時、誰もいなかったし、それから誰も入って来ない。この店は、暗く、寒い。とても、快適な空間とは言えない。普通の人ならば、こんな店に入る人はいないだろう!でも、まあ、自己所有の店舗だから、昼飯時に、昼食を食べに来る客がいれば、何とかやっていけるのだろう。が、果たしていつまで店をやって行けるものか・・・・
大学生のころ、最初の授業を受け、授業時間が空くと、喫茶店に行き、友達を探す。そして、授業あれば、授業を受けに大学に戻るが、また、喫茶店に戻って来て、また、別の友達と話をして時間を過ごす。当時、喫茶店は、言わば、大学生活の拠点にしていた私には、喫茶店は懐かしく、廃れてなくなるのは、とても寂しいことだ。
喫茶店の思いでは
苦い珈琲の味がわからぬまま
砂糖いっぱいで飲んでいましたっけ
その喫茶店は今も軽食と共に生き延びているようです
喫茶店と言う響きが女学生時代はあこがれで
でもね グレゴリーペックみたいな好い男は現れなかったわ (爆笑)