どんぴ帳

チョモランマな内容

ショボい巨塔(その12)

2010-01-27 16:28:15 | 病院

 テレビで皆さんが見る大病院、カッコいいですよねぇ。

「うーん、これは○○先生に診てもらわないと…」
 などと救命救急のドクターが呟き、PHSでコールをすると、大体五分以内に専門のドクターが到着します。
 そして数名のドクター同士で症状の検証が行われ、緊急オペをするかどうかを決定し、オペならすぐに手術の準備が開始されます。
 夜中のはずなのに、スタッフがワラワラと居ますねぇ、大きな病院は。
(それでもスタッフは足りていないのが現状らしいけど…、つまり総数が足りないので、当直回数が異常に多いとか、休みが無いとかです)

 それに対して、地方の病院なんて悲惨なモノです。
 当直医師一名、看護師一名、事務当直一名!総勢三名というオールスタッフでコンビニエンスな患者さんたちに対応しております(笑)
 この段階で判りますよね。
 そーです、当直の医師は一名ですので、その医師が対応出来る診療科は基本的には一つです。
 例えば内科、あるいは外科、もしくは整形外科など、どの医師も普段はその道の専門医として勤務しています。

 これに対して夜中に電話を掛けてくる患者さんたちの症状は千差万別、あらゆる診療科での対応を希望されています。
「あのね、どーも心臓かなぁ、動悸が激しい気がするんだよね、変な汗も出てきてるし、内科の先生はいますかね?」
「すみません、本日の当直医師は『外科』の医師となっております」
「じゃあ内科の先生を呼び出して下さい」
「・・・・・・」
 こんなやり取りは日常茶飯事です。
「ああ?先月までお宅の病院に入院していたんだぞ、ウチの爺さんは!呼び出してくれないってのか!?」
 と大声で叫ぶ方もいらっしゃいますが、それは無理な相談です。
 勤務医は、昼間は通常通りに外来診察と入院患者の治療に対応し、入院患者の容態が急変すれば深夜に呼び出される生活をしています。時間外の外来患者にまで対応していたら確実に過労死します。

 にも関わらず、夜中に電話を掛けてくる患者さんは、
「お宅に毎月通院している患者の具合が悪くても、診ないってのか!」
 と恫喝されます。
 お言葉ではございますが、毎月通院されている患者さんなら千人単位でいらっしゃいます。その人たちの具合が悪くなったら昼間と同じ医師を夜中に呼び出せと?そんなことを本気でやったらマジで医療現場は崩壊します。
「整形外科の医師でよろしければ診察致しますが?」
 と言っても、
「内科の医師を出せ!」
 と叫ぶ人も居ます。
 そーでなくても、先月、先々月、一年前、二年前、三年前、ひどいと五年前に退院され、その後一度も通院していなくても、
「あ、△△良三です(って誰よ?)、お宅に『かかりつけ』の。今から○○科で診てもらえませんか?」
 とおっしゃる方、もう大量にいらっしゃいます。

 当直の医師がその症状に整合する科の医師なら、大概の場合はきちんと診察します。
 しかし当直の医師が『外科』や『整形外科』、『耳鼻咽喉科』、『泌尿器科』、果ては『皮膚科』の医師なんて場合もあり得ます。
 もちろん風邪程度なら、どの科の医師でも診察します。
 それから、
「ん?別に何科の先生でもイイけど?(ほ、本当にイイのか?って場合も多々あり)」
 という患者さんの場合も、もちろん診察します。
※最初から手に負えないと医師が判断した場合は、他の病院を勧めます。
 
 ある時の当直医師は『耳鼻科』の医師でした。
「そちらに『かかりつけ』なんですけど、お婆さんが大量に血を吐いたんです!」
 と夜中に電話がありました。
 当直の耳鼻科医を内線で叩き起こすと、
「大量吐血って、そりゃぁ無理だわ…。救急車で内科の先生がいる病院に行ってもらって!」
 と言います。
 そりゃそーです。場合によっては内視鏡を使って止血をしなきゃいけない時もあるし、耳鼻科医が得意なのは『耳』と『鼻』と『喉』です。少なくとも内科の医師なら他の病院に当直しているはずです。
「申し訳ありません、本日当直の耳鼻科の医師が、救急車で内科の医師がいる病院へ行って頂きたいと申しております」
 と伝えました。

 翌朝、家族の方から電話がありました。
「他の病院に入院することになりました」
「そうですか…(良かったじゃん、ちゃんと内科の先生に診てもらえて)」
「これまでの診療情報の書類を頂きたいんですけど」
「はい、そのように伝えます」
「お宅に断られたんで」
「・・・(じゃあ耳鼻科の医師の診察でも良かったの?)」
 テレビで見るような大病院や、本土の大病院がきっちりとバックアップしている離島の診療所なら、まずは患者を受け入れることが出来るかも知れません。
 一番孤立して、誰からのバックアップも受けることが出来ない体勢なのが、実は地方の中規模の病院なのです。

 ちなみに私が居住している自治体には、高度な救命救急を行っている病院は一軒もありません。
「こ、これはマズいぞ!」
 って患者さんは、全部左隣のA市か、右隣のB市の大病院に『転院搬送』という必殺技で送られて行きます。
 医師の間では、
「□□市って、医療のブラックホール地帯だよね…」
 と言われているらしいです(何気に笑えない話です)

 もしも皆さんが新居を購入する場合、その地域、あるいは近隣にどんな『機能』を持った病院があるかどうかを、きちんと調べてから居住することをオススメします。
 ちなみに病院は外見の大きさで判断しちゃダメです、中身が大切です(笑)
 例)子供のことを一番に考えちゃう人:NICU(新生児集中治療室)、PICU(小児集中治療室)
   重度の喘息を持っている人:RCU(呼吸器疾患集中治療室)
   とにかく何かがあった時に助かりたい、我欲が強い人(笑):高度救命救急センター

 ちなみに『かかりつけ』という単語は、もはや魔法の言葉ではありません。
 端末を叩けば通院履歴は一発で判りますし、あまりにも多くの人が使うので病院側には耐性がついてしまい、攻撃力はほぼゼロだと思って下さい(笑)



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3 コメント

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ひらりん (カミヤミ)
2010-01-29 08:28:50
東京アンナでダムに入ってたと思うのですが…なんでですかね。
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新作? (どんぴ)
2010-01-30 01:26:41
 最後まできちんとみなかったけど、二番途中までは踊るシーンとかは全然ありませんでした。
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そっくり (どんぴ)
2010-02-09 23:08:45
 そー言えば『東京アンナ』と氷川きよしの『ときめきのルンバ』、サビがメチャメチャ似ています。

東京アンナ
http://www.youtube.com/watch?v=-JfcnIOxSMg

ときめきのルンバ
http://www.youtube.com/watch?v=Y6dX8s_DBUs
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