どんぴ帳

チョモランマな内容

列車トイレ考(後編)

2010-02-25 01:21:13 | 旅行
かなりお下品な表現がございます、奥様!(笑)

 私とMがあちこちの各駅停車に乗っていた頃、まだまだ電車の中のトイレは汚かった記憶があります。

 トイレの重厚な金属製の扉は、
「ガラガラガラガラ、ドンガッヂャん!」
 と豪快に戸車の音を響かせる引き戸タイプだったし、ドアのロックは取り外して指先に装着すれば、今すぐにでもショッカーの怪人として活躍できそうな『鉄の爪』タイプが基本でした。
 便器は寒々しいステンレス製が大半で、排水口には、
「パタコン…、パタコン…」
 と、なんとも言えない哀れさを誘うゴム製の蓋が装着されている物が多かったです。
 もちろん列車の貯水タンク容量には限りがあるので、足元の金属製ペダルを踏み込むと、恐ろしく濃厚な青色の消臭消毒液が流れ出すタイプが主流で、クレゾールっぽいその臭気は、車のアクセルペダルを小型化したようなペダルを踏み込む度に、
「ああ、俺は今列車のクッさいトイレにいるんだなぁ…」
 と再認識させてくれる程の臭気パワーがありました。

 そしてその中でも最も強烈だったのが、非電化区間を走っていた車輌に多く搭載されていた『列車用ボットン便所』でした。
 この列車用ボットン便所には、排水口の、
「パタコン…、パタコン…」
 とする蓋が無く、代わりにキッチンの排水口にあるような『菊割り』と呼ばれる、中心部に向かって切込みが入ったゴムパーツが採用されていました。
 この菊割りゴム、色は黒が多く、次に濃い茶色が多かったように記憶しています。そしてこのゴムが古ければ古いほど、見えるんですよねぇ、線路が。
 ついでに外の音もよーく聴こえます。
「タトンタトン、タトンタトン、タトンタトン…」
 という音が、便器の真下から!(笑)
 しかも見えますから、しっかりと枕木が!便器の、いや、股間の真下で枕木が、もうビュンビュンと流れて行きます。
 
 非電化区間の列車ですので、エアコンなんて気の利いた装備はありません。夏はトイレで汗ダクダク、冬はトイレで冷えてブルブルです。
 特に真冬の雪国では冷たい空気が排水口から入り込み、お尻の表面と下っ腹が冷え冷えになりますが、排水口から見える白い雪と、黒い枕木、そしてそこに落ちて行く自分の糞尿という景色は非常に趣がありますので、
「いとをかし…」
 と呟いて見るのも旅情があって良いものでした。(嘘です、呟きませんでした…)

「使用中にトンネルに入ると、風圧で糞尿が吹き上がるんだよ!」
 なんて噂もあったみたいですが、それはあくまでも噂だと思います。
 何度か使用中にトンネルに入りましたが、列車の下部に対する気流の変化は微小らしく、せいぜい尿が車体に付着する程度だと思われます。
 もちろん特急みたいに高速だったり、複線化していてトンネル内で列車同士がすれ違った場合は分りませんが、非電化区間のディーゼル車輌はほとんどの場合は単線区間が多く、また速度もさほど出ているとは思えません。特殊な事例を除いては、糞尿が室内にまで逆流することは無かったはずです。

 個人的には、トンネルよりも橋梁上で排便をするのが大好きでした。
 橋梁上で排便をすると、狭い空間に居ながらも、実に雄大な気分になれるからです。
 特に夏場の渓流の上、自分の尻から川面までの距離は十数メートル、エメラルドグリーンの清流にダイブしていく自分の糞尿の雄姿は、とても感動的な光景でした。
 今では許されない状況ですが、当時はそれが非電化区間でのスタンダードなトイレ事情でした。

 そんな素敵な列車のボットン便所でしたが、ただ一点、とても大切なお約束がありました。
 それは、冷静に考えれば当たり前のことです。

『駅に停車中は、トイレを使用しないで下さい』

 列車内ボットン便所の便器の前には、必ずこの文章が大きく掲示されていました。
 もちろん私はきちんとルールを守る好青年でしたので、不覚にも排便中に列車が駅に停車してしまった場合、必死で我慢をしていました。
 まあ、少量のオシッコくらいはチョロチョロとしちゃっていましたけど…(笑)

 ちなみに現在では、線路の枕木が見えるようなトイレは、ほぼ絶滅していると思われます。
 もしこのレッドデータブックに載りそうな『列車用ボットン便所』が生き残っている路線がありましたら、是非ご一報下さい。
 私が『列車用ボットン便所探索隊』を結成し、自分の股間写真と一緒にこのブログにアップしたいと思っております!(笑)
 

列車トイレ考(前編)

2010-02-23 01:53:54 | 旅行
キツイ、キモイ、汚い表現があります!要注意!!

 最近列車の旅に出ていない。

 以前は嫌と言うほど列車に乗り、『青春18きっぷ』を使い倒していたものだが、ここの所はすっかりご無沙汰である。
 今で言う『乗り鉄』だ。
 この『乗り鉄』の旅には相方がいて、小学校の時からの腐れ縁の友人Mがいつも一緒だった。

 もっとも二人とも根っからの鉄道マニアと言う訳ではなく、無計画、且つ、
「何となく車窓から景色を眺めるのが好きなんだよ」
 程度のテキトーさ加減だったので、
「次は××線だな、この路線は外せないぜ!」
 なんてこだわりは一切無かった。
 ただひたすらに車窓からの景色を眺め、そしてくだらない話をしながら電車にゆられ、
「なあ、海の景色も飽きたんだけど…」
「そーだな、じゃあここから山に向かうか!」
 などという、まったく計画性のない旅をしていた。

 そんな私とMがローカル線に乗るときは、いつも決まって座る席があった。
 それはトイレの横の箱型の席、いわゆるボックスシート(対面型の四人掛シート)だ。
「え?普通の電車にトイレ?」
 と思う一部の都会人もいるかも知れないが、地方の長い路線を走る各駅停車には、結構トイレがある場合が多いのだ。

 最近ではボックスシートの車輌は急速にその姿を減らしているが、年号が昭和から平成に変わって間もない頃は、まだまだ地方にはボックスシートを備えた車輌がたくさん走っていた。
 基本的にはボックスシートは通路を挟んで均等に配置されているのだが、ただ一箇所だけ、トイレの前のボックスシートだけは独立してポツン存在することが多かった。
 そして私とMは、普通の人なら避けがちなこのトイレ横のボックスシートを、こよなく愛していた。
「お、空いてるぞ、俺たちのスーパーシートが!」
「いいねぇ、まるで予約席みたいだね」
 我々は嬉々としてこのシートに座っていた。なんといってもこのシート、他の席と比較すると圧倒的に競争率が低い。
 それもそうだろう、真横にはお世辞にも衛生的とは言えない、臭気漂う列車専用のトイレが装備されているのだ。
 しかし、それこそが我々の狙い目だった。

 通常、ボックスシートに二人で座る場合、混み合っていなければ対角線に座ることになる。旅番組などでは二人で窓際に座ったりしているが、あれは二人の膝がぶつかって非常に邪魔臭い座り方なのだ。
 対角線に座れば当然二人の足元はゆったりとすることになり、長時間乗る時はその方がとても楽なのだ。
 列車がその路線を進んで行くと乗客が徐々に増えたりもするのだが、そんな時、まずは車両中ほどのボックスシートが埋まり始め、トイレ前のボックスシートが他の乗客で埋まるのは、大概の場合は一番最後になる。
 つまりトイレ横のボックスシートは『トイレの横である』という事実を除けば、もっとも長時間快適に過ごすことが可能で、且つ最も空席率の高い『スーパーシート』と言えることになる。

「さ、さっき買った駅弁を食おうぜ!」
「おお、せっかくだから電車が動き出してからな」
 トイレの真横だが、もちろん我々は一切気にしない。
「ガラガラガラ、ガじゃン!カチャこん…」
 誰かがトイレに入ると、金属製の引き戸がけたたましい音を立てるが、どうせ列車が走り出してしまえば大して気にもならない。
 それどころか一回の乗車が二時間以上にも及ぶ各駅停車を乗り継ぐ旅の場合、トイレに来る人を観察するのは、丁度良い退屈しのぎになるのだ。
「なぁ、今入った人、見た?」
「いや、後姿しか見てないよ」
「ほら、中学校の時に○○っていただろう」
「○○?」
「よくさぁ、ブラックデビルの真似をしてた奴」
「ああ、よく△△でウロウロしてた奴?」
「そうそう」
 と話が始まる。そしてその○○似の人物がトイレから出てくると、
「・・・」
「・・・」
「似てたな…」
「だろ?」
 という話が再開し、止め処なくそれが続いて行くのだ。

 もちろん、時には強烈な異臭や消毒液の様なあの独特のトイレ洗浄液の臭いに襲われたりもするが、私もMもどちらかと言うとそれを(無駄な…)精神力で克服するタイプだったので、
「強烈だな…」
「この駅弁の美味さを崩壊させてくれるねぇ…」
 と言いながら、あえて楽しむことにしていたのだった。

 ちなみにこの(無駄な)精神力は、『死霊のはらわた』というスプラッター映画を見ながら朝食を食べるという訓練を積むと、私とMの様に獲得することが出来ます(笑)
 
※ 私とMは本当にやっていましたが、爽やかな朝日の中、前夜のアルコールが残った状態でこれをやるのは非常なる精神力を必要としますので、実際にやる場合は十分に注意をして、洗面器をご用意の上行って下さい。
 オススメのシーン(メニュー)は、目玉にナイフが刺さるシーン(確かあった…)で、半熟の目玉焼きを食べるのが一番効きます(笑)

 



ショボい巨塔(その14)

2010-02-18 04:11:22 | 病院

 ここでアレほど注意しているにも関わらず(笑)、相変わらず深夜に、病院にコンビニエンスな電話を掛けてくる人がいます。

 しかも大半は風邪…。
「あの、風邪なんですけど、今から診てもらえませんか?」
「・・・」
 なぜ深夜三時に、自分で『風邪』だと申告する、いかにも体力がありそうな二十代の若者を診察する必要があるのでしょうか。
 これが肺炎を併発しそうな高齢者ならまだ分かるのですが、電話の向こうの『患者様』は咳一つせず、正常そうな呼吸で、淡々と話されています。
「風邪、なんですよね…、今は深夜三時、あと六時間もすれば通常の診察が開始されます。通常の診察を受けて頂く訳にはいきませんか?」
 無条件にそう言う患者さんを受け入れるのもどうかと思い、たまにはこちらから『お願い』してみました。
「やっぱりダメですかね?普段は仕事があってなかなか病院に行けないんですよねぇ…」
「・・・・・・・(怒!)」

 じゃあなんですかね、今日も朝から仕事があるから、深夜三時に仮眠している医師を叩き起して、ギリギリの人数で回している病棟の看護師を一人外来に呼び出して、今からカルテを用意して診察しろと、そう言うことなんでしょうか。
「このままでは倒れて意識を失いそうだ!」
 とか、
「脱水症状で苦しい!」
 とか、
「熱で意識が朦朧として来ました!」
 とか言うのならまだ分かります。
 が、大変失礼ながら、あなたは今日の朝から仕事をするつもりなんですよね…。車を運転して会社に行くんですよね…。それだけの体力があるんですよね…。それなら深夜三時(なんでこんな時間なんだ!?)に病院にわざわざ来て、医師の診察を受ける必要は無いですよね。
 ちなみに、深夜の診察料金は高いです。これは保険の点数がそうなっているので、別にボッている訳ではありません。そしてその内の七割は、皆さんが支払った健康保険から拠出されます。

 病院に行く、行かないは、個人の自由です。
 どんな会社に就職するかも個人の自由です。
 病気で仕事を休むかどうかも個人の自由です。
 もし病気でも仕事を休ませてくれないのなら、それはその会社が悪いと思います。その会社が変なんだと思います。
 で、その変な会社を選択して入社したのは、あなたです。つまりあなた本人の責任なんです。
「昼間は仕事で病院に行けないから…」
 と言う理由だけで、あなたの好きな時間(しかもそれが深夜二時とか三時とか!)に病院に電話をして、無理やり診察を受けてもイイという理屈は通りません。
「じゃあ、俺は(私は)いつ病院に行けばイイんだよっ!」
 と思われた方、それは自分の会社の上司とか、社長にブツけて下さい。いや、本当に。元凶はそこだし…。

 さて、この体力バリバリっぽい患者さんですが、やはりどうしても深夜三時に診察が受けたいみたいです。
「とりあえず診てもらえませんか?」
「…分かりました。現在当直の医師は耳鼻科の医師ですがよろしいですか?お薬は基本的に一日分になります」
「…薬、一日分なんですか?」
「ええ、あくまでも時間外の診察になりますので」
「じゃあ、イイです」
「…診察は希望されないとうことですか?」
「はい」
「・・・・・・・・(じゃあ何で電話して来たんだよ!)」

 かと思えば、非常に自立心(?)の高い患者様もいらっしゃいます。
 深夜二時過ぎ、けたたましく鳴る外線を取ると、怪しい息遣いが聞こえてきます。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…、あの、そちらでいつもお世話になっている、△△です」
 私が若い女性なら即座にガチャ切りですが、ここは病院なのできちんと応対します。
「はい、どうされました?」
「息が、く、苦しくて…」
「先にお名前と生年月日を教えて下さい」
「△△☆☆、ハァ、ハァ…、昭和○年○月○日です」
 六十代の男性です。
「きょ、今日は内科の先生ですか?」
「はい、そうですよ」
「今からハァハァ…」
「分かりました、医師に確認しますのでお待ち下さい」
 当然、診察しますとの返事です。
「すぐに診察させて頂きます。付き添いの方はいらっしゃいますか?」
「一人です、今から車で行きます」
「い、いや、ご自分で運転されるのは危ないと思いますので、せめてタクシーか、何なら救急車を呼んで下さい、受け入れますので」
「ハァ、ハァ、分かりました」
 さっそく病棟の看護師に連絡を入れますが、病棟は病棟で先ほど入院患者さんが亡くなったらしく、人手が足りなさそうです。
「あ、お疲れ様です」
 深夜二時半だと言うのに、看護師長が呼び出されて応援に来ました。
「霊安室、開けてもらえます?」
「了解です」
 バタバタとして来ます。
「ピンポーン」
「ん?」
 インターホンのモニターを覗くと、電話のあった患者さんらしき人が…。
「あれ?タクシーですか?」
「ハァハァ、自分で…、う、運転して来ました、ハァハア…」
「・・・・・(おいおい、ダメでしょ…。あなたはそれで良くても、万が一事故を起こしたら、無関係な他人に迷惑がかかるでしょうが…)」
 この男性、自力で歩くのも怪しく、ついに動けなくなってしまいました。
「入院ですね!」
 看護師が私に告げます。

 思ったよりも重症のこの男性、処置には当直医師一名と、二名の病棟の看護師が掛かり切りです。もちろん病棟では主治医も呼び出され、亡くなられた患者さんの処置も行われています。慌てて駆けつけた親族の方も次々とお見えになります。ナースコールが鳴りまくる病棟は、スタッフが全然足りません。
 そしてそれを見計らったように、またしても若い男性から外線が入ります。
 時間は深夜三時。
「あのぉ、風邪みたいなんですけど、今から診てもらえませんか?」
「・・・・・・・・・・(怒!!)」

 本当にお願いします。
 明日仕事に行けるだけの気力と体力があり、ご自身で『単なる風邪』だとおっしゃる様な状況で、深夜に病院に電話を掛けないで下さい。
 冬真っ只中に風邪を引いている日本国民は、ごまんといらっしゃいます。その全員が思い思い好きな時間に病院に押し寄せたら、それこそ数日で日本の医療体制は崩壊しますから…。

 それから、本当に具合が悪い人は命がけで車を運転せずに、素直に救急車を呼んで下さい。
 この六十代男性の車は数日経った今でも、病院の真ん前の駐車場で斜めに歪んで止められたまま、二台分のスペースを占有し続けています。

 今週の目標: 車はまっすぐに駐車しましょー!いや、本気で違うな(笑) 
 


雑食王(その27)

2010-02-16 15:23:14 | 何でも食べちゃう

 今回は懐かしの飲み物を飲んでみたいと思います。

 と言っても、この飲料を知っているのは東海地方在住の、ある年齢層(三十歳以上?)の方々だけです(笑)


オリエンタル グァバ
 正直な感想は、
「ま、まだ存在したの?ホントに?」
 という感じです。
 またしてもとあるSAで発見しましたが、昔は普通に路上の自販機で売られていました。


果汁20%の本格派(笑)


裏面
 このジュース、株式会社オリエンタルという、名古屋の会社が作っています。
 しかも未だに250ml缶で継続中…。


缶上部
 さすがに開栓部はプルタブ方式になっています。


一歩間違うと危険なデザイン
 以前はもっと写真っぽい女性が印刷されていましたが、最近(いつからなんだ?)のグァバは『のっぺら坊』の女性です…。


グァバらしい
 女性の胸元にはグァバの果実らしき物が描かれています。


缶測面
 グァバについての説明が長々と、マジメに書かれています。


試飲前
 非常に健全な(笑)色合いと香りです。
「んぐっ」
 一口飲んでみます。
「おお、こんな味だったっかな…」
 なにせ、少なくともここ二十数年程は飲んだ記憶がありません。
「うん、リンゴっぽい甘味と、ほんのりとした酸味のバランスがイイねぇ」
 どちらかと言うとやや濃厚な味わいですが、酸味があるのでそれなりに飲めます。
「ネクターは濃すぎて飲めない!」
 と言う人には無理かもしれませんが。
「そー言えば、なんかテレビCMも流れてたよなぁ、『オリエンタルぅ グァバぁああー』って感じのが…」

 早速探してみると、ありましたねぇ、さすがネット社会(笑)


昔は「グァバー」って伸ばしてます。

 ちなみにこの会社、このマークでお馴染みですが、


オリエンタル坊や
 というキャラらしい。

 オリエンタルと言えば、東海地方の人間にはやはりカレーです。


オリエンタル 即席カレー
私も愛用(笑)、冷蔵庫にいつも入ってます。中身は粉末状のカレールウです。

 そしてこんなCMもありました。


登場する兄ちゃんが、若い頃の『大橋巨泉』っぽい気がします(笑)
 ちなみにナレーションは『市原悦子』、『家政婦は見た!』の女優さんですね。

 なんか勘違いをして、上記二人のうち一人くらいは、
「あれ?死んでたよね?」
 と言う人がたまに居ますが、二人とも存命中です(笑)
 勝手に脳内で鬼籍に入れないよーにして下さい。

 オリエンタルの他のCMも、会社の正規サイトで閲覧できますので、思い出に耽りたい方は以下のアドレスで。
http://www.oriental-curry.co.jp/more/cm.html

 ところで、オリエンタルの自販機ってまだ存在するのでしょうか?
 私は高校二年生の時に、とある国道沿いで見かけて以来、一度も見た記憶がありません。

 と思っていたら、こんなにも残っていた(過去の話)らしい。
http://www.geocities.jp/abiruman/guava3.html
 しかも全国の東急ハンズにも?(でも全部未確認なので、ご自身で調べて下さい)

 意外としぶといな、オリエンタルって…(笑)

ショボい巨塔(その13)

2010-02-12 21:47:37 | 病院

 今回の『ショボい巨塔』は第13回という記念すべき不吉な回(笑)なので、病院に憑き物の、いやいや付き物のお話です。

怖い話が嫌いな人は読まないで下さい!(そんなに怖くないけど…)

 医師や看護師さんと付き合いのある方々なら、一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか?
 病院に纏わる例の、いやいや霊のお話を…。

「使われていない○○科の部屋に、深夜真っ白な服を着た女の人が入って行った…」
 とか、
「昔、深夜の職員更衣室に見知らぬ髪の長い女性が立っていて、フッと消えた…」
 とか、
「誰も居ないはずの部屋から子供の声がした…」
 とか、数え上げたらきりがありません。

 そうです、それなりに歴史のある病院には、この手のお話が大なり小なり必ず存在し、スタッフの間で語り継がれているものです。

「居るよ、この病院には絶対に居るからね!」
 そう断言する看護師さんもいます。
「霊感のある子に訊いたら、ここのロビーにはよく座ってるらしいよ」
「誰がですか?」
「決まってるでしょ」
「・・・」
「しかも一人じゃないってさ」
「・・・・・・・」
 なんて会話もあります。
 勘弁してもらいたいものです。なんと言っても深夜1時からは、事務当直は一階の当直室にたった一人です。
 ロビーの椅子に、そんなあらぬ世界の人たちが座っていたら、こっちも気が休まりません。
 だって当直室はロビーの前にあるんだし…。

 でもそんなことを言われつつも、私が仕事を継続しているのは、単に霊感が無いからです。
 そうです、見えないんです!なんにも。
「キレてなーい!」
 でおなじみの『シック プロテクター3』が如く、
「ミエてなーい!」
 状態ですので、もう全然気楽です。
 見えない以上、気にする必要も無く、そして意識もしない。いちいち見えていたら、恐ろしくて病院で仕事なんか出来ません。

 が、それでも見えちゃう看護師さんや、時には患者さんもいるらしく、
「深夜、ベッドの中に誰かこの世の人じゃない奴が潜り込んできた」
 とか、
「仮眠中に背中側で勝手に添い寝された」
 なんて話や、
「毎晩、部屋に飾ってある絵の額縁から、誰かが覗いている…」
 とか、数え上げたらどんどん出てきちゃいます。
 
 探せばいくらでもそんな話が出てくるのに、私は長州力の、
キレてないですよ!
 が如く、
「ミエてないですよ!」
 な状態ですので、気楽なものです。
 ある時期などは、私が当直業務に入る度に、毎回(五回連続で)誰か(もちろん入院患者や救急患者)が亡くなり、
「うーん、事務当直じゃなくて、霊安室マスターになっちまうなぁ…」
 などと思っていた程でしたが、やはり私には何も見えませんでした。
 
 それよりも深夜二時半のコンビニ受診の方が、余程恐ろしいと思っていた程です(笑)

 しかし、そんな私でも一度だけ不思議な体験をしました。

 それは深夜一時のことでした。
 この時間になると外来の担当看護師はお仕事が終了となり、着替えて帰ってしまいます。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様!」
 受付の前で挨拶をして、私は当直室へ、看護師は着替えに更衣室に行こうとしたその時でした。
「ピンポーン!」
 聞き慣れた音が、真っ暗な一階に響きました。
「ん?」
「は?」
 二人で顔を見合わせます。
「聞こえました?」
「…うん、聞こえた」
「あれ、受付のチャイムの音ですよね」
「うん、間違いないよ、でも内科じゃないよね?」
「内科って、今僕らから見えてるじゃないですか…、そっちから聞こえた気がするんですけど…」
「放射線科だよ…」
「ありましたっけ?これと同じチャイム」
「う、うん…、ここと、内科と放射線科だけ…」
 目の前の受付カウンターには、受付が不在の時に押してもらう室内用のチャイムが置いてあります。
「外かな?」
「って、インターホン?」
 しかし自分たちが立っている位置からは、ガラス扉を通してインターホンの付近が見えますが、人影は一切見えません。
「ちょっと待って」
 数歩歩けば、インターホンが押されたかどうかは、モニター画面で確認出来ます。
「いや、押されてないですよ、インターホンは…、モニター点いてないし…、それに音が違いますから」
「やっぱりこの一階の中だよね」
「・・・」

 すでに病院の建物出入口は完全に施錠してあり、一階には私と看護師一名、他には誰もいないはずです。
「調べましょうか…」
 私はダッシュで放射線科に向かいますが、薄暗い廊下には当然誰もいません。そのまま内科の前を経由して、受付に戻ります。
「確かに放射線科と内科に受付と同じチャイムがあるけど、誰もいませんよ」
「嘘…、私今もずっとここから見てたけど、誰も見てないよ」
「ですよね、チャイムが鳴ってから、この目の前の廊下は誰も通ってないですよね、この廊下を通らない限り、二階には上がれないですよね」
 私はブルッと背中を震わせます。
「このままここに居てもらってイイですか?一階を完全に調べますから!」
 私は一階の照明を全灯すると、あらゆる通路、診察室の扉の施錠確認、トイレの個室、そして機械室の中まで調べ上げました。
「ふぅ、やっぱり誰もいませんでしたよ」
「うわぁ、やっぱり?」
「ここで見ててもらったけど、当然誰も通ってないですよね」
「うん…、どーしよー、聞いたよね、二人で」
「ええ、間違いなく二人で聞きましたよね、チャイムの音…」
 背筋がゾワゾワとします。
「もしかしてさぁ…」
「何ですか?心当たりが?」
 看護師は目を見開きます。
「夕方勤務に入った時、救急患者が一人入ってたでしょ」
「ああ、亡くなった男性がいましたよね。霊安室は僕が閉めたんだっけ」
「あの人さぁ、急性心不全だったんだよねぇ、しかもご遺体は放射線科の前を通って霊安室に運んだからね、ストレッチャーで…」
「本当ですか?」
「うん、たぶんあの男性だと思う…、いきなりだったし、まだ若かったからね」
「・・・・・・うわーい、僕、今から当直室で寝るんですけど、一人で…」
「うん、私は着替えて急いで帰るからさ、着替え終わるまでここで待っててくれる?」
「え、マジですか?自分は帰るまでここに僕を居させて、後はススッと帰っちゃうんでしょ?」
「当たり前じゃない、だって怖いでしょ!」
「うわぁあああー、僕なんか一階に一人で放置プレイ状態ですよ?」
「大変だよねぇ、事務当直って、でも取りあえず私が帰るまではここに居てね、よろしくぅ!」
「・・・・・・・・」

 この日以来、私は突然霊が見えるようになってしまいました…。

 えー、冗談です(笑)

 相変わらず何も見えませんが、誰もいないはずのロビーで、突然『尿』の臭いを感じたりすることはあります。
 きっと成人用オムツ『ラ○フリー』なんかを着用したお爺ちゃんの霊が座っているのかも知れませんが、相変わらず私には何も見えていません。

 ただ、病院側はこれらの問題を重大視しており、新たに専門の職員を雇用するそうです。
 その名も、『霊務当直』!
 病院内の一切の霊障を解決する、除霊のエキスパート職員です。
 結界や護符を使いこなせたり、魔法陣を使える方に対しては、資格手当や特殊能力手当も充実しておりますので、ドシドシご応募下さい!
 何かに取り憑かれてしまった場合は労災も使えますし、リフレッシュ休暇も充実しているそーです。

※ くれぐれも本気にしないで下さい、お願いしますね(笑)


ギャンブルin名古屋(後編)

2010-02-09 01:02:48 | 長七郎観察日記
 ちっとも馬券は当たりませんが、お馬さんたちは元気に走ってます。


ラチ(柵)の下のカメラマン
 ゴールシーンを狙います。


ゴール


ゴール反対側
 この塔で判定するらしい。


誘導馬
 白馬が多いみたいです。

 さて、最終レース前におやつの時間です。


ホルモンうどん
 Y氏のオススメ!
「おやつなのか?」
 という疑問は捨てましょう。
 味の染みたホルモンを噛み締めうどんを啜ると、体が芯から温まります。


最終レース前のスタンド
 最終レース前に他場のレースが入るので、みんな帰ってしまいます。


夕日に染まる馬場
 この時間帯の競馬場が一番綺麗だと、私は思います。


あら?
 居なくなったと思っていたら、いきなりレース前に復活(笑)


夕日の中のゴール直前


勝利!
 ようやく3連複を取りました。

「えーと、配当は…」
「520円だね」
「・・・」

 ま、イイんです、楽しかったから。

 次回は生活を掛けてやってみたいと思います。

 いや、生活は掛けないけどね…(笑)
 

ギャンブルin名古屋(前編)

2010-02-08 01:54:11 | 長七郎観察日記

 前回、笠松競馬がなんとなく面白かったので、今回もY氏の案内で名古屋競馬に行ってみました(昨年12月です)。


入口は自動改札方式、入場料は100円。
 笠松ですらあるのに、なぜか携帯のオンラインクーポンはありません。
 名古屋競馬のホームページからクーポンを印刷して持参する必要があります。
 しかも『お一人様一枚で、一回入場無料』というあんまりエコじゃない設定(笑)


お出迎え
 カワイイ馬形プランターケースがほのぼのと迎えてくれます。


大人のメリーゴーラウンド
 単なる円形の休憩所ですが、立って食事をする人、競馬新聞を読みふける人、数人で雑談する人、それぞれが思い思いの時間を過ごしています。


やはり飲食店がズラリと並ぶ


うなぎ屋さんもある


まだまだズラリと続く


今回はこの店でカキフライに決定!


店内でレース放映中
 名古屋競馬の飲食店は、場内のレースがテレビで流されています。


どてめし(貝汁付き)、670円
 残念ながらカキフライは売り切れでした。
 こちらの『どてめし』は豚バラ肉を使用していて、なかなか美味です。


焼きそば自動製造機
 オバチャンの前にある円筒形のマシーンは、半自動(笑)焼きそば製造機です。
 具材と麺を投入すると加熱しながらグルグルと回転し、ソースを注ぎ込めば焼きそばが完成します。


スタンドは大盛況
 平日なのにこの人出。
「仕事しろよ!」
 長さんの出番ですね。
 いや、俺も該当者だ…(笑)


オジサン・ワンダーランド
 もうワラワラ居ます、オジサンが!


パドック
 名古屋競馬のパドックは当然コース外にありますので、とっても近くで馬を見られます。

 この後、騎手が走り寄って騎乗する馬に乗ります。
「こらぁ、7番、落ちて死んじまえ!」
 騎手に罵声を浴びせるオッサンがいます。どうやら7番の騎手に個人的な恨み(要は前のレースで馬券が外れた・笑)がある様子です。
「7番、落馬しろぉおおお!」
 中年のオッサンがまた叫びます。
「・・・」
 何せ馬とフェンスの距離は数メートルですので、騎手には非常に辛い状況です。
 あちこちで冷笑が起こりますが、オッサンは叫びます。
「死ね、7番!」
「・・・」
 当然ですが、騎手は無言のままです。
 ギャンブルをやるのは結構ですが、生活や人生を掛けたらお終いです。


名古屋はイエロー
 マークカードに記入、名古屋競馬の鉛筆は黄色です。


自動発券機
 この辺はどこの競馬場も同じらしい。


そして負けます(笑)


ハトとマークカード
 勝てないと動物愛護精神が湧き上がります(嘘)

 ちなみにほとんどの競馬ファンは馬を愛していて、例えどんなレースをしようとも、馬を悪く言う人は居ないそうです。
 騎手?騎手はまあ人間ですので、当然批判の対象になるそーです。


雑食王(その26)

2010-02-05 22:04:27 | 何でも食べちゃう
 セット販売されていた最後の一本はコイツです。


『カレーラムネ』
 以前にも一度、雑食王(その5)でレポしました。


今回気付いた点
 キャップシールにターバンが印刷されている。
「・・・」
 温かい視線で見守りましょう。


セット商品(三本)


セット商品(二本)
 五本セットのうち四本は『ハタ鉱泉株式会社』の製品でしたが、なぜかこの一本だけは『木村飲料株式会社』の商品となっています。
「別に全部ハタ鉱泉でも良かったんじゃないの?」
 と誰もが思いそうですが、やはり色合い的に黄色が欲しかったのではないでしょうか。

 さて、同じ商品をそのままレポしても面白くないので、今回は新たなる試行にチャレンジです。

「我々は、カレーラムネを美味しく飲めるのか!?」

 ハイ、素晴らしい企画ですね、もう四流以下です(笑)


驚愕の企画(笑)

 さて、これが企画の全容です。


「・・・・」
 内容:マルチャンの『黒い豚カレーうどん』を食べ、カレーラムネを一緒に飲む…。

 一瞬、中止にしようかと思いましたが、やります(笑)


お湯を入れて五分待つ
 その間にまずは一杯。

「おっ?」
 正直、驚きました。
「あれっ?前よりも美味しく感じる…、なぜ?」
 確かに鼻をくすぐるカレー臭は若干不快ですが、味はまともです。
「うーん、ハタ鉱泉は香り(臭気?)優先、味は今一だけど、木村飲料はあくまでも味が優先、香りはオマケって感じだなぁ…」
 意外にも二社のキワモノラムネに対する開発スタンスの違いが、ハッキリと判ります。


黒い豚カレーうどん完成
 いよいよ挑戦です。

 まずはカレーうどんを啜ります。
「ズルズルズル…」
 そしてカレーラムネを口に含みます。
「!!!」
 驚きです。
「普通の美味しい炭酸飲料だぁ!」


合うんだな、これが…
 違和感ほぼゼロ、カレーラムネは香りを除けば意外と美味しいことが判明。


もう、ゴクゴクとイケます!


完食
 所要時間11分なり。
 前回、カレーラムネを飲み干すのに40分もの時間を必要としたことを考えると、驚異的なスピードです。

 ちなみに食後数時間に渡り発生する怪しいカレー臭のゲップは、カレーラムネをそのまま飲んだ場合となんら変わりありません。
 気持ち良く怪しいゲップを垂れ流し、地球温暖化に貢献して下さい(笑)




キャリーバッグ・ライダー

2010-02-02 22:39:12 | 長七郎観察日記

 最近、キャリーバッグによる事故が増えているらしい。

駅利用者は警戒せよ!キャリーバッグ衝突事故多発の訳

 記事によると、いきなり立ち止まった人のキャリーバッグにつまづいて転倒する人が多いみたいだ。

 私も何度かキャリーバッグを引いた人にいきなり立ち止まられ、正直、
「何だよ、邪魔だなぁ…」
 と思ったことがある。
 せめてキャリーバッグを手元に引き寄せて立ち止まってくれれば良いのだが、後ろを一切気にせずにバッグを引きずった状態のまま立ち止まられると、そういう気持ちが湧き上がって来ます。

 でもまあ、それは私がキャリーバッグを引いた人間の後ろを歩く時、そういう危険性をきちんと認知していれば防げる話である。

 だが世の中には不運な人もいます。
 数年前、私が名古屋駅で見かけたある女性もそうでした。白い高級そうなスーツを着た、パッと見は女優の『佐久間良子』みたいな綺麗な熟女様でした。

 その日、私は東京に新幹線で向かうために、名古屋駅に隣接しているショッピングビル兼バスセンターで、いつもの高速バスを降りた。
 まだ人通りの少ないショッピングモール内の通路を曲がった、その時のことだった。
「ドドドどどどどっ、どッゴバぉあああああん!」
 という轟音が響き、同時に女性の、
「ヒィぎぃえぁあああああああ!」
 という悲鳴が聞こえた。
 最初は、
「おお、おお、配送トラックの女性ドライバーが、積荷のプラコン(プラスチックコンテナ)を全段ひっくり返したか?」
 と思ったほどの轟音だった。
 だが、音がしたのは私の真後ろの方向だ。私はなんだか気になり、ふと足を止めて180度回頭し、曲がったばかりの通路を数歩戻った。
「おお?おおおっ!?」
 見ると通路に白いスーツ姿の熟女がブッ倒れ、そしてその脇に巨大なポリカーボネート製のキャリーバッグが転がっている。
「ゴウン、ゴウン、ゴウン、ゴウン…」
 倒れている熟女の足先約1.5メートルでは、黄色く縁どられた金属製のステップ、つまりエスカレーターのステップが、通路の中に一定のリズムで吸い込まれている。
「あー…」
 私が熟女に声をかけようとしたその瞬間、一人の若い女性がエスカレーターを駆け下りて来た。
「あ、あの、大丈夫ですか…?」
 蚊の鳴きそうな声で熟女に話しかける。
「う、ァああ…」
 唸りながら熟女は地べたから、綺麗にセットされた髪の毛と一緒に頭を持ち上げた。
「だ、だ、大丈夫なワケないじゃなイっ…!」
 ごもっともです。と言うか大丈夫なのか?
「△美…」
 もう一人、二十代前半の女の子が、エスカレーターから青ざめた表情で下りて来る。
 彼女も困惑した顔で、まだ地べたに転がっていらっしゃる熟女様を眺めており、その彼女の手には大きなキャリーバッグがしっかりと握られている。どうやら若い女性二人は友人同士で、これから海外旅行に向かうような気配だ。

「こ、これは一体どういうことなのっ!」
 熟女様はよろよろと上半身を起こし、まだ混乱している頭で、自分の脇で自分を助け起こそうともせずにボーッとしている若い二人の女性を睨んでいる。
「す、スミマセン、私のキャリーバッグが倒れて…」
 駆け下りてきた女の子が、必死に弁明する。
「た、倒れてって、あなたが倒したんでしょッ!」
 熟女様は女の子と、自分のさらに先に転がっている巨大なキャリーバッグとを交互に眺め、そして瞬時に激昂した。
 この状況で相手の日本語の使い方の間違いと、責任逃れの弁明を追求するとは、中々頭の切れる女性のようだ。
「おいおい、酷いことをするよなぁ…」
 三人の女性の脇を、スーツ姿の中年サラリーマンが通り過ぎて行く。きっと事件の全容を見ていたのだろう。
「立てますか?」
 女の子が熟女様に、形だけ近寄ろうとする。
「さっ、触らないでっ!ハァハァハァ…」
 再び熟女様は瞬時に沸騰する。
 白いスーツ姿で上半身を起こして横たわる熟女様は、まるで傷ついた熟年(なぜ白いまま?)ゴマちゃん(ゴマフアザラシの子供)みたいだ。

 ちょっとだけ冷静になった熟女様は、自分の被害状況を確認し始めた。
「ああ…、ああ…、どうすれば…」
 柄物の高級そうな黒いストッキングは無残に裂け、わずかだがフクラハギ周辺に血が滲んでいるみたいだ。
「あの、病院に…」
「当然ですわっ!」
 再び熟女様は激昂します。
「ああ、どうしましょう…、ちょっと…、あなた達、一体どうしてくれるのよ、こんな酷いこと…」
 ここで『あなた達』という単語を使い、有無を言わさず当事者の友人も巻き込みます。さすがにデキる女は抜かりがありません。
 でもまあ、確かにそう言いたくなる状況です。

 このバスセンターのエスカレーターは、隣接するショッピングフロア二階分をぶち抜いた高さがあります、つまり高いし長い(加速度抜群!)。
 しかも轟音の長さから判断すると、かなり最上部に近い位置から、巨大なキャリーバッグを倒したことが推測出来ます(破壊力MAX!)。
 おまけに頼みもしないのに、熟女様はそのキャリーバッグに無理やり搭乗させられ、『キャリーバッグ・ライダー』に変身して着地に失敗(成功する訳ないけど…)、ショッピングビルの一階通路にキャリーバッグと一緒に放り出されたのです(ある意味通り魔的攻撃…)。

 当の若い女の子二人は、ただただ熟女様を眺め、そして立ち尽くすだけです。
「あの、とりあえず病院に一緒に…」
 再び女の子が声をかけます。
「…それよりもアナタ、一体どうしてくれるの!?私は今日この後、講演の予定が入っているのよ!こ、こんな有り様じゃ講演に行けないじゃないのよっ!ああっ…、どうしたらイイの、本当に…」
 佐久間良子のような上品なお顔が、講演に大穴を空けてしまうことを想像し、苦悶に歪みます。
 むしろソッチの方が大きなダメージのようにさえ見えます。
「どうされましたぁ?」
 このショッピングビルのガードマンでしょう、騒ぎを聞きつけて駆け寄って来ます。
「聞いてくださる?この人たちがスーツケースを落として、私にこんな仕打ちを…」
 もはや当事者の友人も完全に犯罪者扱いですが、まあやむを得ない雰囲気です。
「どうしますか、とりあえず救急車を呼びますか?」
 ガードマンが二人の女の子と、通路に転がっているキャリーバッグをジロジロと見ながら、熟女様に声をかけます。

 熟女様の講演がどうなってしまうのか!?
 そして女の子二人の処遇はどうなってしまうのか!?
 二人は海外旅行に行けるのか?(行けないよね、普通は…)

 非常に興味はありましたが私にも講演の時間が、いや、新幹線の時間が迫っていましたので、私はその場を離れることにしました。
 まかりまちがって声など掛けてしまうと、きっとこのタイプの熟女様は、
「ちょっとアナタ、見ていたんでしょ?警察まで一緒に行って証言して下さらない?」
 なんて言われかねません。それに事故の瞬間は見ていないし…。

 ちょっとした不注意、いや、絶対にやっちゃイケない不注意で、合計三人もの女性、いやいや、講演を楽しみにしていたその他大勢のみなさんを含めて、大変なトラブルに発展してしまいました。
 皆さんもキャリーバッグを使用するときは、十分に注意しましょう。

 このお話の結論: 『個人賠償責任保険』にきちんと加入しましょう!いや、なんか違うなぁ…(笑)