どんぴ帳

チョモランマな内容

くみたてんちゅ(その35)

2009-08-31 05:17:21 | 組立人
飲食・喫煙・音読不可!読めばアナタも嫌になる!

 万里の長城コースターは、意外にもアメリカ人に一番反応が良かった。


車輌基地
 降車場の脇には、大量のコースターの車輌が置かれています。


陳列状態
 とにかく大量の車輌があります。

 ブレーキのゴムの臭いが誘ったのか、ここで私は急激にトイレに行きたくなりました。
「ま、『熊楽園』って施設なんだから、トイレくらいはすぐにあるだろう」
 と私は楽観視して、慌てずに土産物屋のオバサンに英語で問いかけます。
「トイレはどこですか?」
「下だよ」
 愛想はありませんが、とりあえずは答えてくれます。
「下ってどこだ?」
 左右の土産物屋を確認しながら歩きますが、トイレは見当たりません。
「ん?あれか?」
 左斜め前方に、簡易トイレらしき白い箱が見えています。私はやや早足でそのトイレらしき箱に近づきます。
「…『不能使用』、使えないってことか?」
 いくら中国語でも、さすがにこの貼り紙の意味は理解できます。私の中に若干の焦りが生まれます。
「いかん、こんな異国の地で漏らすわけにはいかん、大を…」
 日本男児として、それは許されない行為です。


やたらと長いキュウリ?を食べているカップル
 トイレ探しに奔走する私の横を、美味しそうに食べながら歩いて行きます。

「トイレはどこにありますか?」
 今度は別の土産物屋の男性に質問します。
「下だよ、向こうだ!」
 彼は下の方向を指差します。
「…どういう意味だ?つまりあの使えないトイレじゃ無くて、他にトイレがあるのか?」
 迷っている暇はありません。私は下り坂になっている『熊楽園』の中を、ズンズンと歩いて行きます。
「お、あれか?」
 一瞬、コンクリート製の建物に走り寄りそうになりますが、それは単なる熊の檻です。
「本当かよ?このままじゃ出口なんじゃねぇのか?」
 すでに熊楽園の出口ゲートが見えています。
「もしも上にトイレがあるとしたら、マジでヤバいぞ」
 すでに中国に来てから一週間以上が経過し、私の下痢は達人の域に達しています。
「このままじゃ俺は…」
 嫌なイメージが頭を過ります。
 その時でした、
「おおっ、トイレじゃん!」
 ふと視線を左に移すと、そこには綺麗そうなトイレがあります。
「ヤッタぁー!」
 私は『HEROES』の『ヒロ・ナカムラ』のように叫びそうになりましたが、とにかく腸に振動を与えないように、なるべく早足で歩きます。


トイレだっ!
 立派なトイレです。しかも小さい電光掲示板まで装備されています。
「ん、有料?五角(約75円)か、もちろん払うよ」
 むしろ有料トイレの方がありがたいです。きっと綺麗に違いないから…。
 幸いにもティッシュペーパーは新品を持っているので、紙の心配も要りません。
 私は逸る肛門に自制を促し、そそくさとトイレに入りました。


あ、あれ?
 何かが足りない気がします。
「…あれ?お?いや、あれ?」
 壁はあります、隣との仕切り壁は…。


蝶番もある…
 だが何度見ても、肝心の板が無い。
「おいっ、ドアは!扉はどこに行った!?」
 ふと左端の開放的な個室を見ると、オジサンがお尻をこちらに向けて踏ん張っています。
「マジかよ、これが噂の『ニーハオトイレ(厳密には横の壁も低く、しゃがんだ状態で会話が出来るようなトイレを意味する)』かよぉ!!!」
 だが私には躊躇っている暇は無い。すでに私の肛門波動砲には、エネルギーが120パーセントまで充填されている。迷っている暇は無いのだ。
「くっそー、もうこなったらヤケクソじゃぁあああ!」
 私はズボンを下ろすと、日本男児として潔く便器の上にしゃがんだのだった…。

 十分後、私がトイレの外に出ると、タイミングよく携帯電話が鳴った。
「もしもし」
「おお、キーちゃん、どこにおる?」
 佐野からだ。
「今、出口手前のトイレから出たところです」
「あ、トイレに行ってたんだ」
「ええ、素敵なトイレでしたよ」
「何だ、ニーハオトイレか?」
「ええ、まさか体験できるとは思ってませんでしたよ」
「わははははは!とりあえずそこで待っててくれる?すぐに行くから」
「はい…」
 私の前では、海外からの観光客が、次々とこの有料トイレに吸い込まれて行きます。


大盛況!ニーハオトイレで外貨獲得!
 正直、世界遺産のお膝元で、このようなトイレはいかがな物かと思います。
 観光客を通じて世界中に、
「中国のトイレ事情は、世界から大きく遅れております!」
 と宣言しているような物です。

 当局の方、是非とも『扉』を復旧して下さい(笑)
 

 


くみたてんちゅ(その34)

2009-08-29 00:09:12 | 組立人

 万里の長城はまだまだ続いていますが、とりあえず休憩です。


佐野、新垣、清水
 彼らの背後、ずっと彼方まで長城は続いています。


レッド、デューク、ジェイク、マーティ、ウォルター
 アメリカ人技術者五人衆。


レンガから見える山々
 ふと下を見ると、謎の人影が…。


元の侵攻(笑)
 謎の若者たちです。こんな山の中、切り立った崖を下からよじ登って来たらしい。この先はどうするつもりなんだろう。


足の裏が真っ黒な女性
 万里の長城にハイヒールやミュールで来てはいけません。歩き難くて非常に危険です。この女性のように開き直って、脱いじゃうのが一番安全です(笑)
 ちなみに雨の日に行かれる方は、絶対にスニーカーがオススメです。床石の表面は多くの観光客が歩くので、本当にツルツルになっていて、濡れると確実に滑ります。

 休憩が終わると、この先に進むかどうかの議論が交わされる。
「あそこにテントみたいなのが見えるだろ?確かあそこでビールが飲めるはずなんだよ」
 佐野が遠くの山肌の青色のテントを指差す。
「いいですね、それ」
「あそこまでなら行けるよね」
「クールビア イン ゼア?イティズ グゥッド!」
 日本人チームとジェイクは非常に乗り気だ。
「ダメだ、ダメだ、俺はここで帰る」
「俺もだ、もう歩きたくない」
 体重が十二分にあるデュークとマーティは、これ以上の進行を拒否している。
「ヘイ、デューク、一緒にあそこで冷えたビールを飲もうぜ!」
 私は誘ってみますが、デュークは苦笑いをして、
「ノォオオオオ…」
 と答える。
 しかも先ほどから、二人の目線は長城の下にあるカラフルな物体に注がれており、これ以上歩く気は1ミリも無いように見える。
「あははは、やっぱりあいつらに『アレ』を見せちゃったらこうなりますよね」
「だよな、俺もそう思ったよ」
 佐野が笑いながら諦めの表情を浮かべる。
 我々が立っている長城の真下には、遊園地のジェットコースターのような乗り物が見えており、金属製のレールが木々の中を縫うように走っていた。
「あれで一気に降りられるんですよね、どこに着くんですか?」
「確か『熊楽園』の上に出るはずなんだよ」
「ああ、万里の長城の手前にあった施設?」
「そうそう、確かそうだよ」
 私と佐野が話している間に、アメリカ人たちの話し合いは終了したようだった。
「で?結論は?」
「あのコースターに乗って降りるそうです」
 アメリカ人の話し合いに加わっていた新垣が答える。
「じゃ、中国製のコースターに乗ってみますか」
 これはこれで面白いし、何よりも楽そうだったので、十人全員で万里の長城の階段を下り、乗場に向かった。

 チケット売り場で30元(約450円)を支払うと、我々は英語が通じない中国人の指示に従い、コンクリート製の細いプラットホームに並んだ。


コースター登場
 手動です(笑)


ワクワクしているジェイクとレッド


先頭は運転手
 しかも減速は手動ブレーキ!つまりこの運転手に命を預けます。安全装置なんて当然ありません…。


着座
 一応セーフティバーのような物があります。でも先頭が人力なので、気休めです。

 いよいよ出発。


 走行時には「キュルキュルキュル」という音がひたすらしています。
 運転手が使用している手動ブレーキは、最初から最後までゴムの焼ける臭いを漂わせており、なんとなく不安な気持ちにさせてくれます(笑)

 三分後、我々は無事に『熊楽園』まで到着出来ました。


くみたてんちゅ(その33)

2009-08-27 16:00:09 | 組立人

 いよいよ万里の長城に入りましたが、中国の観光地はどこでもいきなり土産物屋があります。


土産物店
 しっかりと外貨獲得。


長城
 凄いです。正直、こんな物を数千キロも作る発想が凄いです。
 もちろん端の方はこんなに立派な物ではなく、単なる土塁みたいな物もあるそうですが、最近の発表では総延長は8,851.8kmにも及ぶそうです。


長城に連なる人
 城も凄いけど、人も凄いです。山の向こうまで延々と人の列が続いています。


レンガ
 しっかりと組まれています。貧しい地域では、万里の長城を破壊して家を作っちゃう人が多いらしい。


急勾配
 見た目以上に勾配はキツく、運動不足の人は確実に息を切らせます。


One World One Dream
 北京オリンピックの時に作ったと思われる看板。

 B社中国人社員トミーの案内で歩き始めた我々だが、健脚な佐野が先行し、徐々に列が長く伸び始める。
「はぁはぁ…」
 軽く息を切らせながら、所々にある城の見張り台の様な場所で休憩する。
「ホーぅ…」
 次に現れたのは、アメリカ人の中で最も老体なジェイクだ。すでに還暦を越えているが、アメリカ人の中で最も元気だ。
「ジェイク、疲れた?」
「いやいや、まだまだ大丈夫だ。私は『リアルマン』だからな」
「リアルマン?」
「ああ、トミーがさっき言っていたんだ。この城を造った男たちは『リアルメン(真の男たち)』だと」
「なるほどね。ところでデュークたちは?」
「まだかなり後だ」
「彼は『リアルマン』かな?」
「ハッハハハ、答えはノーだ」
「じゃあデュークは『ルーザー(敗者)』だね」
「ハハハハ、イエェース、イエース!」
 そこへレッドとウォルター、そして清水が現れる。
「いやぁ、結構キツイねぇ、勾配が」
「大丈夫ですか?膝は」
「ああ、大丈夫だよ、今のところは」
 清水の膝は、今日はまだ大丈夫な様だ。
「ハァ、ハァ、ハァ…」
 そこへ息の荒いマーティと、さらに息を切らしたデュークが現れる。
「ジェイク、『ルーザー』のデュークが現れたよ」
「ハハハっ、さぁ、進むぞデューク!」
「ハァー、ハァー、ハァー、ノォオオオオオウ、ちょっと待ってくれ…」
 六十代の上司に急かされ、四十代の部下が息を切らせて苦笑いをしている。
「デューク、我々は『リアルメン』だ。そして君は『ルーザー』だよ」
「ハァー、ハァー、フハハハハ…」
 デュークは苦笑いをしている。
「さあ、休憩は終わりだ!行くぞ『真の男たち』!」
 ジェイクが声をかけ、デュークとマーティも最後尾からノロノロと歩き始める。


さらに急勾配
 当然ながら、山の稜線に沿って造ってあるので、山頂が近づくとどんどん勾配がキツクなります。


狭い階段
 もう人がワシャワシャになっています。


上って来るメンバー
 階段を上がるジェイク、トミー、ウォルター、新垣。


最後尾
 声を掛けると苦笑いで答えるデュークとレッド。


仮ゴール(笑)
 まだまだ万里の長城は続いていますが、とりあえず全員で休憩。
 水を飲むアメリカ人。そして「面倒臭いから」という理由で下で待っている二人の中国人社員のダンとマイケルに、携帯で連絡を入れるトミー。

 この後、先に進むかどうかで、各人の意見が別れます(笑)


くみたてんちゅ(その32)

2009-08-25 05:07:08 | 組立人
 有名な観光地である『万里の長城』は、実は現在ではあちこちでブツ切れになっています。

 造られた当時の姿そのままに残っている場所もあれば、跡形も無く消滅している場所もたくさんあります。
 我々が向かった『八達嶺長城(はったつれい-ちょうじょう)』は、北京近郊の最も有名な長城で、十分な補修工事が行われ、完全に観光地化されている場所です。


駐車場前の売店
 ここから舗装された山道を歩きます。


中国の白バイ
 写真を撮ったら、チロリと睨まれました。


入口?
 思わずチケットを買いそうになりましたが、これは『熊楽園』の入口…。万里の長城の入口はさらに上にあります。


とにかく山道を歩く…
 観光客は全員ゾロゾロと歩きます。時折クラクションを鳴らしながら車が上がって行きます。

 広場のような場所にたどり着くと、何かイベントをやっています。

おおっ!ミニスカ!!
 まるで誘蛾灯に吸い寄せられる蛾のように、我々はステージに近づいて行きます。


ミニスカ、生足…


そしてピンヒール!
 まさか世界遺産の万里の長城で、こんな光景に出会うとは思いませんでした。
「ウヒヒヒヒ!」
「ベリィ ナァアアアアイス!」
「フハハハハ!いいねぇ」
 中国人、アメリカ人、日本人、共にリアクションは同じです。この生足を前にして、世界の意識が一つになろうとしています。


ステージへ
 彼女たちはいきなりステージの中央へ。


踊ってます。
 世界遺産である万里の長城とは合わない気もしますが、私は大好きです(笑)
 この後トイレから戻ってみると、白いスーツを着た三波春夫っぽいオジサンが、中国民謡みたいな唄を歌っていました。

 広場のイベントはほどほどにして、いよいよ万里の長城に突入です。

またしても『ICカード型入場券』45元(約680円)
 驚きですが、カードにはきちんと『IC CARD』の表記があります。まさかこんな観光地までICカード化されているとは思いませんでした。


入口
 世界中から観光客がやって来ています。


入場!
 って、あれ?ICカードなんじゃないの?なぜか自動改札機に投入…。


???
 そしてなぜか出て来たカードは裏側のみ薄皮が一枚剥がされ、デザインが変わっている…。
「これ、本当にICカード?」
 非常に謎です…。

 ちなみにアメリカ人たちは、
「領収書、領収書!」
 と皆で騒いでいました。
 ご安心下さい。チケット売り場で『紙チケット』を購入すれば、きちんと領収書として使用出来ます。
 でも、万里の長城の入場料が、会社の経費で落ちるかどうかは知りません(笑)


くみたてんちゅ(その31)

2009-08-23 00:45:25 | 組立人

 日曜日、遠く離れた中国まで来ているのに、二日連続で休日だ。

 もっとも休みとは言え、朝の集合時間は決定している。なぜなら今日はB社及びW社全員で、万里の長城に観光に行くからだ。
「グッドモーニング!」
 ホテルのロビーに集合したアメリカ人に挨拶をする。
「バスはもう来ていますから、乗っちゃって下さい」
 幹事の新垣が、通りに停まっているバスを指差す。
「おお、激安だって言うから期待していなかったけど、ベンツのバスじゃん」
「いいねぇ、あれは五十人乗りだね」
 清水が嬉しそうな顔をする。
 今回のメンバーは、アメリカ人五人、中国人三人、そして日本人四人の合計十二人だ。

 バスは外観も中も非常に綺麗で、全員が満足げな表情を浮かべている。
「トミー、グッドジョブ!」
 みんなで今回バスをチャーターしたB社中国人社員のトミーを賞賛する。
「いやぁ、日本の旅行代理店に交渉したら、結構な金額でしたからね」
 新垣も予想以上に綺麗なバスだったので、安堵の表情を浮かべている。
「日本の旅行代理店は、確かガイド付きで一人550元(約8,250円)とかでしたっけ?」
「え、そんなに高かったの?じゃあ今日は?」
「ガイドは居ないけど、一人120元(約1,800円)です」
 私と清水の質問に、新垣は自信を持って答える。
「おお、50人乗りのバスを運転手付きで一日チャーターして、高速代、燃料代も含めて一人120元?それなら安いよなぁ」
「やっぱり中国のことは中国の人間に任せるのが一番だな」
 佐野も納得して頷く。
「じゃ、全員居ますね、出発しますよ!」
 新垣がトミーに英語で指示を出すと、トミーは中国人の運転手に中国語で指示を出し、バスはゆっくりと道路を走り始めた。

 バスはいつもの高速道路を走り始めるが、すぐに別のルートを進み始める。
「お、いつもと違うね、当たり前だけど」
 清水が嬉しそうに車窓を眺める。
「おっしゃぁ!ついにゲットぉおおお!」
 私は思わず喜びの声を上げた。
「何々、どうしたの?」
 ゆったりと最後尾の五人掛けのシートに座っていた佐野が、私の声に驚く。
「いやぁ、ついに撮影に成功しましたよ、高速道路の掃除人!」
 私は佐野にデジカメの液晶モニターを見せる。
「あははは、コレを狙ってたのか」
「ええ、ずっとカメラを構えていないと撮影できませんからね」
 私は得意げな顔をする。


高速道路の掃除人
 ついに撮影に成功!
 この人たち、普通に中央分離帯(しかも車道のアスファルトの上)を歩いて掃除しています。
 多いときは高速道路上を500m間隔で、七、八人が歩いて清掃をしています。そしてその脇を一般車が100km以上のスピードでビュンビュンと走ってい行きます。
 日本でも高速道路会社の委託を受けた業者がパトロールをして、落下物を片付けたりすることはありますが、中国では、まるで街角を清掃するような感覚で高速道路を清掃しています。
 しかも驚くべきことに、これらの人員はすごい方法で輸送(搬送?)されています。

「木田君、木田君、運んでるよ、トラックで!」
 いきなり清水が大声を出す。
「え?」
 なんと隣の車線には工事用のトラックが走っており、その荷台にはオレンジ色の作業着を着た清掃員が大勢座っている。
「おおおぉ…」
 私は思わず絶句した。


清掃員と資材を運搬しているトラック
 荷台前部にカラーコーン、後部に八人ほどの清掃員が載っています。
 『後部座席シートベルト着用!』とかそんなレベルの話じゃありません。

 私は日本と似てはいるが、どこか日本と異なる車窓からの風景を、じっくりと観察します。


『特殊警察部隊』
 何のために出動しているのかは不明。気合の入ったマニアの(?)『中国特警』ホームページはコチラです(笑)
 特に下段の銃を構えている人の顔が最高です。

 北京から高速道路を走り続けると、どんどん景色が田舎の風景になって行きます。


とある村の風景
 ビルは一切無くなり、レンガ造りの家が並びます。


遠くに見える万里の長城
 山の頂にチラチラと万里の長城の一部が見え始めます。


女性の料金収受員
 意外にも高速道路の料金所では、多くの女性が働いています。


ミニ万里の長城
 道路の縁石も万里の長城の形をしています。

 いよいよ我々が目指す『万里の長城』が近づいて来ました。


くみたてんちゅ(その30)

2009-08-21 00:44:57 | 組立人
 昼飯の『なんちゃって日本食』を食べて人心地が付いた我々は、帰途に着きます。


工事中の歩道
 なんの警告看板も、歩行者誘導路も一切有りません。唐突にアスファルトを剥がし、そして穿り返しています。


中国の水やり
 ここまでビチョビチョにする価値があるようには思えませんが、確かにこの時期の北京は乾燥していました。


今日も活躍、三輪自転車
 

適当に頼んだ麺
 今夜も夕食は市場のフードコートです。米の麺をチョイスして、適当にメニューを指差して見ました。やや酸味を感じるスープですが、とても食べやすい味です。

 市場に入る直前、偶然にも我々はジェイクとデュークに通りで会った。正確にはジェイクとデューク、プラス三人のアメリカ人だ。
「おおジェイク、偶然だね!」
「そう言えば電気関係の技術者が三人来るって言ってたな」
「この三人みたいだね」
 私と佐野と清水は、新しい三人を見て納得する。
「丁度良かった、明日から一緒に行動する三人を紹介しよう」
 ジェイクが歩道の真ん中で三人を紹介する。
「彼がマーティー、そしてレッド、こっちがウォルターだ」
「よろしく!」
 笑顔で三人と握手を交わす。
「そうだ、彼はマイク・マイヤーズに似ているだろう!」
 いきなりジェイクは私を指差し、新顔の三人に同意を求める。
「ははは、また言ってるよ」
 私は軽く苦笑いをする。

 ここ数日、ジェイクは頻りに私のことを『ジャパニーズ・マイク・マイヤーズ』と言っている。
「誰だっけ?」
「コメディアンで俳優だ。ウェインズ・ワールドという映画に出ているぞ」
 ジェイクは嬉しそうに答え、一人で納得している。
「誰だっけな…、聞いたことがあるような気がするけど」
 私が思い出したのは別の映画だった。
「ああ、もしかして『オースティン・パワーズ』の?」
「そうだ、それもマイク・マイヤーズだ」
 とても似ているとは思えないが、アメリカ人のジェイクからすると似ているらしい。

「ハハハ、そうだね」
「ああ、確かに似ているね」
「うん、マイク・マイヤーズだ」
 ジェイクが彼らの親分だからだろう。三人のアメリカ人は納得したような顔で笑っている。
「ジェイク、晩飯は食べたの?」
「今ドイツ料理の店に行った所だ。お前たちは今夜も『チャイニーズ・フード』を食べるのか?」
「オフコース!」
 私は米軍基地で習得した、親指を突き立てて軽く拳を揺らすポーズをして見せた。
「オオゥ…」
 ジェイクはやはり理解出来ないという顔をして、仲間とホテルに戻って行った。

 どうやら日本人は、世界で最も食に対する防波堤が低い民族らしい。

くみたてんちゅ(その29)

2009-08-19 12:05:31 | 組立人
 紫禁城の出口を出た我々は、再び入口に戻る事にしました。

 再入場はチケットを見せれば無料です。

歩きやすい通路を選択
 今度は門を回避して左端の通路をひたすら直進して行きます。
「お、なんかコーヒーショップがありますよ!」
「休憩、休憩しよう…」
 とにかく座りたい一心です。紫禁城の中にはたくさんの椅子が設置されているのですが、雨でビチョビチョで座れません。


アイスグリーンティー
 注文した後に気付きました。
「あ、氷…」
 氷には気を付けろと言われていましたが、疲れると忘れます。
「うん、甘いね」
 だんだん緑茶が甘いことに慣れて来ています。


喫茶スペース…だと思う…
 画廊なのか、物置なのか、喫茶スペースなのか、判別が付きません。
 疲れ果てた我々はここで二十分ほど休憩すると、再び入口を目指します。


また木端が、しかも梯子の片側だけ…
「だからダメだってんだろ!」
 と思いますが、ここは中国です。


ホワイトベースの武装『メガ粒子砲』
 に似ていますが、単なるライトアップ用の照明です。


天火器箱
 消火栓は『消火栓』でしたが、消火器は『天火器』です。
 消防署は『火警』で、番号は同じく『119』。


バスケットゴール
 行きには気付きませんでしたが、なぜかバスケットゴールが設置されています。だれが使うのかは不明。


どこでも立哨
 なかなかハードな仕事です。


売店バス


警察車輌
 警察も『警察』、全く同じ漢字です。さすがに天安門の前の通りだけあって、警察官がワサワサと居ます。パトライトは赤と青。


『城管』の車輌
 都市部で法令の順守状況を監視する、警察組織とは異なる治安維持組織。近年ではかなり評判が悪く、一部では『公的暴力団組織』とまで揶揄されているらしい。
 黄色と青色のパトライトが目印。


地下鉄入口
 たかが地下鉄の出入口でこの有様です。いったい一つの入口にどれだけの警備要員を配置しているのか…。


北京鉄路博物館
 唯一オタク心をそそる施設でしたが、なぜか閉館中…。

 空腹でかなり辛くなってきた中、佐野の案内でこの施設の裏側まで歩いて行きましたが、
「あ、無くなってる…」
 という佐野の一言で撃沈。目の前には更地になった空間が広がっています。
「おかしいなぁ、三ヶ月前にはここで飯を食べたんだけどなぁ」
 さすが中国、首都の開発スピードは尋常ではありません。
「もういいよ、昨日飲んだ店に行こうよ、あの周辺なら確実に飲食店があるでしょ」
 膝の悪い清水は非常に不機嫌になっています。
「さっきの通りの中華屋はどうですか?」
「ああ、あの特級だか一級だか、高そうな店が並んでいるところ?」
「ええ」
「中国で高い金を払って飯を喰うのは嫌だな」
「・・・」
 すでに貨幣価値が中国の庶民に近づいているので、日本円で五千円や一万円もするような飯は断じて食べたくないモードになっています。
「じゃ、行きますか…」
 再び地下鉄に乗って、ホテル方面に移動します。

 着いた先で我々が選択したのは、まさかの『日本食レストラン』です。
「やっぱり一度は『なんちゃって日本食』を食べなきゃダメだろう」
 という意味不明な理由から、とあるレストランに突入。


まずはビールから
 ラベルの漢字は少し異なりますが、間違いなくキリンの『一番搾り』です。でもやっぱり微妙に味わいが違う気が…。

 ここで私は、あのアイスグリーンティの氷がいけなかったのか、トイレに向かいます。

うーん、ジャパニーズ…
 なんちゃって日本食レストランですが、まさかこういう自動水栓に出会うとは思いませんでした。
「なんか日本でも見た事が無いくらい『和』の空気が漂ってましたよ、トイレに」
 私の報告を受けて、清水もトイレに向かいます。
「いやぁ、なんか微妙に間違ってるよねぇ」
 清水も同感みたいです。


まずはサラダ登場
 すごく普通です。


明太ポテトフライ
 ビールのお供にと思っていたが、飲み終わった頃に登場。
「うーん、全然明太子との一体感が無いね」
「ただ単に、ほぐした明太子と一緒に揚げただけ?」
「なんか油っぽいね」
 今一の評価です。


天ぷら・刺身定食登場!
 私が注文した最も標準的で、最もチャレンジャーなメニュー。
「あれ?佐野さんと清水さんには付いて来た、味噌汁用の巨大レンゲが無いですよ?」
「ご飯の盛りはサービスなのか?」
「この刺身、本当に大丈夫かなぁ…」
「うっ、天ぷらの衣が薄いし、油っぽい!」
「必ずスイカが付いて来るな…」
 勝手な事を言いながら、なんちゃって日本食を楽しみます。
「キーちゃん、結論は?」
 佐野が笑いながら訊いてきます。
「うーん、あんまり美味しくないかも」
「そうか、俺の頼んだ『牛タン照り焼き丼』は結構アリだったぞ」
「牛タンと照り焼きソースって、意外にも合うんですね」
「うん、新発見だな」

 まさか遠く離れた異国の地で、日本食の新たなる可能性に出会うとは思いませんでした(笑)



くみたてんちゅ(その28)

2009-08-17 11:21:03 | 組立人
 飽きようが何だろうが、とりあえず雨の中を我々は進んで行きます。



 千年。


亀(正確には玄武)
 万年。「鶴は千年、亀は万年」という言葉は、中国から伝わったみたいです。


取っ手
 巨大香炉みたいな入れ物。


妙に立派な階段と通路
 この辺りまで来ると、かなり疲れて来て、誰も脇に逸れません。


黄金色の獅子
 ひたすら門と広場なので、これくらいしか撮る物がありません…。


売店が…
「せ、世界遺産…、だよね…」
 思いっきり門の内部に売店が作られています。


アイス用フリーザー?
 なにやらアイスじゃ無い物、しかも食べられそうに無い物が入ってます。


反対側にも売店が…
「ほ、本当にこの状態で認可が下りたんですか?」
 大いなる疑問です。


工事中
 所々では補修作業が行われています。


ベースプレート…
「おいおい、ベースプレート(足場の最下部に使用する、足場を安定させる為の部品)はどーした!?」
「木っ端がベースかよ」
「日本なら出入り禁止だな…」
 床を保護する目的かも知れませんが、どう考えても木っ端はダメです。
 

何やら人が集まっています。
 ちょっと近づいてみると…。


盲目の猫
 眼は見えませんが、みんなに餌を貰えるのでしっかりと生きています。


紫禁城専用車(勝手にそう思ってます)
 色と言い、デザインと言い、かなり革新的です。


最後の門
「おおっ、ついに出た!」
「いやぁ、あったねぇ、距離が…」
「帰りも歩きだよ」
「は?」
「はぁ?」
 私と清水には寝耳に水、佐野は当たり前のように言い放ちます。
「電車は?」
「無いよ、こっち側には」
「バスは?」
「あるけど行き先が分らないでしょ、ダンとかマイケルが一緒なら大丈夫だけど」
「マジですか?軽く1km以上はありましたよね」
「・・・」
 膝が悪い清水は、完全にぐったりとしている。


紫禁城のお堀
 また同じような景色を見ながら戻るのかと思うと、完全にダメダメな気持ちになります。

 そろそろ腹が減って来ました…。

くみたてんちゅ(その27)

2009-08-15 15:52:27 | 組立人

 現場での作業が予定よりも進んだ事もあり、我々には思いもしなかった休日が与えられた。

 さっそく地下鉄に乗り込み、最もポピュラーな観光地を目指します。メンバーは私と佐野と清水。


地下鉄1号線
 東京の丸の内線みたいな感じです。最も古い路線なので、ホームドアも設置されていません。


天安門に到着
 残念ながら雨。


街路樹
 んー…、これは何?支えてるのか?分かりません。


地下道
 道路が広いので、地下道が整備されています。


観光客
 雨でも観光客がモリモリ居ます。


雨でも立哨
 観光客に負けず、警官もたくさん居ます。こんな立哨があちこちに居ますので。不審な人は要注意です(笑)


毛沢東の肖像画
 テレビでは何度も見ましたが、この肖像画は巨大です。


チケット売場
 お金を払うと門に上がれます。雨も降っていたのでスルー。


世界中から集まって来る観光客
 欧米はもちろん、中東からの観光客も団体で来ています。


土産物屋
 中国人は商魂がたくましいです。雨が降ればカッパや傘をしきりに売り歩いています。

 この先は入場料が発生し、60元(約900円)という中国にしては非常にリーズナブルじゃないお値段です。
 ちなみに、『天安門』も『紫禁城』も『故宮博物院』も、全部同じ場所だと思って下さい。厳密には違うのかも知れませんが、そんな事は観光客には関係ありません。同じ場所だと思いましょう(笑)



 最初は感動します。
「おお!」
 何度も言いますが、最初は感動します。


狛犬?
 獅子でしょうか?結構デカいです。


門の裏側
 結構のっぺりとしています。


ラブラブ…
 いや、そっちじゃなくて、奥には巨大なモニターが設置されています。
「せ、世界遺産じゃなかった?」
 確か北海道の知床では、観光バスが上がれる山頂にも、一台の自販機すら置いてありませんでしたけど…。


広場と門
 なんだか似たような景色です。広場と門の繰り返し?


ラストエンペラーが使ったゴミ箱


ラストエンペラーを護った消火栓
 驚いたことに、いや、ある意味当たり前ですが、日本も中国も同じ漢字です。看板には漢字で『地下消火栓』と記されています。


ラストエンペラーに注意を促した『トラテープ』
 階段は要注意です(笑)


また同じ風景
 門から見る次の広場と門…。

 正直、だんだん飽きて来ました。



雑食王(その15)

2009-08-13 08:06:44 | 何でも食べちゃう

 以前、『パイン大福』なる物を紹介いたしました。
 だが、世の中には大福に色々な物を入れたくなる菓子職人が、まだまだ居るらしい。
 そして私はこういう食べ物を扱っている店の前を、どうも偶然通りかかってしまうらしい。


デジカメなのに、ちょっとピンボケ…
 外見は普通の大福、商品名は『ももちゃん』です。


えー…
 なんと言いましょうか…、小さくカットされたモモがそのまま入ってます。食べる前から嫌な予感がします…。
 ここはその嫌な予感を脳内から消去して、クリーンなイメージで食べてみようと思います。
「…ダメじゃん…、やっぱりな…」
 季節は夏、いくら何でも生のモモは無謀です。(これは購入直後に車内で食べた感想で、運搬時間はありません。画像は持ち帰った物を撮影しました。)
「うーん、微妙にモモが臭いな…」
 そうです、夏場に傷があってその部分だけが痛み始めたモモの、あの臭いです。(別に腐ってはないけどね…)
「これならモモの缶詰の方がマシか?それにモモを薄く包んでいる白餡(本当は桃餡らしい)が甘すぎて舌に残るなぁ…」
 
 だが、ここで立ち止まってはいけません。

次もフルーツ入り


め、メロンであります…
 商品名『メロンちゃん』、店の外には『完熟メロン大福』とも書かれていました。
「ぬぅううう、こいつも白餡(本当はメロン餡らしい)の中に生のメロンか…」
 モモの臭いをお茶で洗い流して、第二段を口の中に放り込みます。
「ふんふん、なるほど…。ま、モモよりはマシかな…」
 モモのような臭さはありませんが、やはり水分を多量に含んでいるので、生々しい感じがします。
「やっぱり白餡(メロン餡)の甘さがキツイなぁ」
 餡子が甘いのは当たり前なのですが、白餡(桃餡やメロン餡)が果物の甘さを抑え込んでしまうので、果物の水っぽさを口の中で強く感じてしまいます。

 フルーツ系の大福の最大の問題点は、やはり入れる果物の水分量にあると思います。
 特にカットされた果物は、壊れた細胞や餡との浸透圧の関係で、どんどん水分が外へ出て行ってしまいます。こちらの店では独自の工夫で水分の漏出を防いでいるみたいですが、やはりカットしたての果物の新鮮さを保つことは不可能です。
 『いちご大福』に関しては、いちご自体の水分量は多いのですが、一個丸ごとを餡子で包み込めるので、食べる直前まで水分の漏出の心配をする必要がほとんどありません。こちらの店のいちご大福も、本で紹介されるほど美味しいそうです。(店内に本が置いてあったので・笑)
 他にも『ぶどうちゃん』とか『いちじくちゃん』などの大福があるらしいが、売り切れだったのが非常に残念です(笑)

 で、代わりにこんなのも買ってみました。

マンゴーわらび餅


Uhoooooo、マンゴぉおおおお!
 ハイ、食べなきゃ始まりません。
「えーと、何を食べるんだっけ?ああ、わらび餅か…」
 あまりにも色合いが鮮烈なので、何を食べるのかを失念してしまいました。
「おおぉう…、マンゴーソースが強烈だな…、で、今俺は何を食べてるんだっけ?」
 濃厚なマンゴーソースが『わらび餅』の存在を忘れさせてくれます。
 昔の彼女を忘れられないのが苦痛で、あえてアバズレ女と付き合ってみた様な食感でしょうか。
「きな粉や黒蜜の甘味を受け止める、わらび餅のあの奥ゆかしい食感はどこへ行ったんだ!?」
 もはや何も言うことはありません。
「今夜は帰ってくれないか?」
 私はドアを開けて、アバズレ女を追い出します。

 そうです、今夜は一人で呑みたい気分になりました(笑)