どんぴ帳

チョモランマな内容

疾病王(その1)

2010-06-15 15:45:10 | 長七郎治療日記

 それがいつから始まっていたのかは定かでは無いが、私がはっきりとその症状を認識したのは、今年の二月中旬のことだった。

「あれ?」
 些細なことだった。日常生活を行う中で、自分が異様に疲れやすいことに気づいた。
「運動不足かな?」
 初めはそう思った。
 階段の上り下りに始まり、ちょっとした軽作業でも筋肉が疲労することに気づいた。
「たるんでるのかな?いや、歳なのか?」
 そう思っていたが、徐々にそうでは無い気がしてきた。
「あれ、歯磨きってこんなに腕の筋肉が疲れたっけ?」
 磨き始めるまでは何とも無いのだが、歯磨きを始めて数十秒、すぐに腕の筋肉が疲労し、何度も休憩を入れないと最後まで歯を磨けなくなった。
「どうやら腕の筋肉が鈍っているみたいだな…」
 私は本気でそう思っていた。しかしすぐに幼児でさえ、『歯磨きで腕が疲れる』なんてことは無いことに気づいた。
「・・・」
 まったく原因が思い浮かばない。 

 そうこうしているうちに、睡眠時、全身に異常が現れ始めた。気づくと全身が痺れているのだ。
「う、うわ、まただよ…」
 何度も深夜に目が覚め、身体が痺れていることに気づく。収まるまでは10分から20分近い時間が必要だった。
 そして朝目覚めると、またしても身体が痺れているのだ。
「何か熟睡できないなぁ…」
 そのせいなのだろうか、自分の顔がやけに眠そうなのが気になった。
「なんか瞼が下がってる気がする…」
 周りからも、
「疲れた顔をしてるねぇ」
 と言われるようになった。

 しばらくすると、自分の言いたいことが上手く話せないことに気づいた。
 ろれつが回っていないのだ。おまけに舌の横を何度も噛むようになっていた。

 さらに時間が経過すると、食事を噛むこと自体が苦痛になってきていた。
 顎の筋肉なのか、こめかみ周辺の筋肉が張り、食物を噛むと痛みが走るようになった。
「おお、これが顎関節症って奴なのか?」
 顎関節症と言えば、私の中では『森高千里』だ。
「私がオバさんになっても…」
 食事の度に顎やこめかみが痛くなると、私の頭の中で森高千里がミニスカート姿で、『私がオバさんになっても』を歌い続ける。
「いや、オバさんじゃない、オジさんだな…」
 毎回不毛なツッコミを自分に入れる。
 徐々に食事を完食できなくなり、次第に残すようになっていった。
「にも拘らず、この数値はなんなんだ?」
 食事量は減ったはずなのに、体重は増加を始めていた。心なしか顔も浮腫んでいる。

「うーん、何かに似てるな…」
 鏡の前で考えてみた。
「あ、ドラゴンボールの『魔人ブウ』じゃん!」
 あまり嬉しくない発見だった…。



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