真夏の手入れが十分ではないせいだろう、うちの秋バラはあまり期待できない。
比較的咲いているのは、半日陰に植わっている、ホワイトメイディランド。
朝日だけが当たる場所にて、そこそこ咲く。
左下の紫のは、トリカブト。
バラとトリカブトの間にあるのは、ホトトギスだが、まだ咲いていない。
トリカブトもホトトギスも、ガンガンの日向よりは、明るい日陰の方が性に合っているようだ。
特にトリカブトは水が好きなんじゃないかと思う。
トリカブトは英名Monk's Hoodと言うだけあって、よくよく見ると、マントについているフードの形をしている。
その英名からブラザーカドフェルを連想し、中世ヨーロッパの修道院の薬草園を想像し、毒殺事件やら少量を使った治療やら、考えるだけなら自由自在。
ブラザーカドフェルは、ありとあらゆる薬草の知識を持つ修道士。
ミステリー小説の中で、薬草の知識を駆使して謎を解明する。
トリカブトに毒があるのは知っているが、園芸用だから大したことはないだろうとタカをくくっていた。
それがそうでもないらしい。
素手で触らない方がよさそうだ。
野生種のヤマトリカブトあたりのことだと思うが、全草、特に根にアルカロイド系の猛毒があり、解毒剤はないらしい。
蜜や花粉も毒で、蜂蜜に混ざらないように注意しなけりゃならないらしい。
ドクウツギ、ドクゼリとともに、日本三大有毒植物に数えられるのだとか。
ニリンソウと間違えて食べると、数十秒で死ぬこともあるらしい。
自分で採ってきた野草を食べて、唇や舌が痺れ、めまいやドキドキしてきたら、一刻も早く徹底的な胃洗浄、腸洗浄をしなくちゃならないということか。
様子を見ようなんて悠長に構えていたら、気持ちが悪くなって嘔吐、言葉は不明瞭、よだれだらだら、ついにはチアノーゼに瞳孔散大、体温低下、血圧低下、不整脈、呼吸麻痺とくるそうだ。
御伽草子か何かに、附子(ぶす)の話があったように思う。
トリカブトの毒を附子ともいう。
和尚さんが水あめを壷の中に隠し、小僧たちには中に附子という毒が入っているから決して蓋を開けないように言う。
小僧たちは、それが甘い水あめだと知って、和尚さんの留守に全部なめてしまう。
それは水あめ状の黒砂糖らしいから、色からしたら、毒に見えないこともないかもしれない。
どうしよう怒られる、と心配する小僧たちの中に機転のきくのがいて、「和尚さんの大事にしている壷を割ってしまったので、死のうと思ってなめましたが、いくらなめても死ねません」と言い訳を言う。
和尚さんは何とも言い返せなかった。
という笑い話。
狂言にもあったかな。
太郎冠者と次郎冠者が壷の中のものをなめてしまう、という筋書きだったと思う。
四谷怪談のお岩さんが盛られた毒も、附子だというし。
つまり、トリカブトの毒は、昔から有名な猛毒だということ。
それでも、あの美しい色に見せられて、ついつい切花にしたくなるのです。
あれ、トリカブトのことばかり書いてしまった。
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