当然のことながら、気温がゆるんできたのを感じたとき、春は実感できる。
それと同時に、身を小さくして寒風をやり過ごしていた植物が、むくむく育ち始める。
色合いでは、こんなのが春のイメジかと思う。
このビオラ、冬の間、水を切らせてしおれたこともあった。
花柄摘みもさほど熱心にしたわけではない。
それでも、4月になればこのように咲く。
健気なことよ。
われわれ人間は、体温を一定に保つ恒温動物だから、気温やら日の出時刻やらで春を感じればよい。
3月には、Tシャツで過ごせる初夏の陽気の翌日が、コートを着込んでまだ寒いということもあったような気がするが。
三寒四温に文句をいいつつも、衣服で調節すればすむ。
では、変温動物の昆虫はどうなっているのか。
1日だけ気温が上がったからといって、冬越しサナギが羽化しても、蜜をたくわえた花はない。
翌日気温が下がれば、自由に動き回ることもままならないだろう。
そんな不都合をなくすため、昆虫は気温を積算しているのだという。
それもただの積算ではない。
ある一定温度より低い、極端に寒い日には、その温度は数えない。
この一定の温度は、発育限界温度と呼ばれている。
日本に棲む多くの虫では、この発育限界温度はだいたい5℃から10℃の間だという。
発育限界温度を5℃とすると、8℃の日が2日あると、3℃×2日が積算されるというわけだ。
そうやって積算された、有効温度の量が一定値を超えると、卵から小さい幼虫が出てきたり、サナギがチョウになったりするのだ。
なるほど、それなら、間違って、冬のさなかのたまたま暖かい日に、羽化する危険は避けられる。
では、その5℃という気温は、何時間続いたら認識されるのだろう。
1日の気温は、常に変化する。
例えば、3時間以上8℃が続いて初めて3℃×1日となるのか。
それとも、平均値をとるのか。
どの時点での平均値か。
う~ん、世の中、疑問だらけ、不思議だらけ。
クリーピングタイムの中に紛れこんだ、タンポポ一株。
こういうのもいいな、と思う。
(もちろん種は飛ばさないけれど。)
今シーズンの庭を、どうぞごらんください。ちょっと恥ずかしいけれど。