女性管制官がアメリカで医者になった場合ーアメリカンドリーム

アメリカでアメリカンドリームを達成するには?
マーティンもと子(旧姓多尾もと子)の場合は?

デンタルエマージェンシー

2010-09-13 05:20:56 | Weblog

先日 47歳の健康なメキシコ人の女性が夜10時ごろ 抜歯後の出血が止まらないとERにやってきました。

ERに来られるなり、大きな吐血が2度も・・・
血のにおいは嘔気をもよおしますからねぇ。

診るとガーゼをあてているのですが、それを取り除くと下の奥歯の抜歯したところからゆっくりゆっくりですが出血しているのが見えました。

よく事情を聞いてみると彼女、国境向かいのメキシコの町、フアレスで20ドル支払って抜歯してもらったそうです。
ところが、午後1時から9時間も経っているのに出血がまだ止まらないということ。

もともとかなり虫歯が進んでいて根管治療を、と言われたそうなんですが、お金が都合できなくて 痛みに耐えられなくなってフアレスの安価な歯医者さんに抜いてもらったんだそうな。

止血にはこのSURGICELという特別な止血ガーゼを使用し、うまく止血することができました。

http://www.ethicon360.com/products/surgicel-family-absorbable-hemostats


よかったよかった!
でも結局 根管治療(約600-700ドル)をする以上のお金が、ER訪問をすることで飛んでしまってお気の毒でしたが・・・

あと、こんな場合皆様によく覚えていただきたいことがあります。
先日もあったケースなんですが ティーンエージャーが自転車から転倒。
顔から真っ先に落っこちたそうで永久歯が3本抜けました。
そのうちの1本は完全に抜け落ちた状態で 再殖が可能な状態でしたがこの家族、車がありませんでした。
やっと友人の車の都合がついてERにやってきた時はもうすでに2-3時間経っていて しかも落ちた歯にドロがついていたとかで母親がブラシで磨いてタオルにくるんできました。

あ~あ、最悪!!

こういう場合はすぐに抜け落ちた歯を口の中に、たとえば舌の下とか、歯肉と頬の間とかにキープするか、牛乳に入れて保存し、ERに来ないといけません。
そしてブラシで磨くというのはもってのほか。
抜け落ちてから30分以内がベスト。
そして抜け落ちた歯が乾燥しないように保存しなければいけないんですよ。

こういうシナリオってスポーツなんかやっているお子さんをお持ちの皆さまには実際に起こりうるお話ですから ぜひ覚えていただきたいと思います。


さて、アメリカの歯医者さんですが 現金商売、大歓迎だそうですよ。
もともと歯科の保険に入っている人がアメリカでは極端に少ないので ふつうの内科のクリニックのように保険に入っていないと診てもらえないという感覚ではないそうです。
歯医者さんにとっては返って歯科保険の請求をする方がずっとややこしいので 歯医者さんは患者さんを現金で扱う方がよっぽどうれしいんですって。
これは私も知りませんでした。

ERに歯痛で来られる患者さんが口をそろえておっしゃるフレーズ、

「歯科保険に入っていないので、歯医者さんに行けませ~ん。」

というのは 現実は違うみたいですね。
歯科保険に入っていない患者さん、歯医者さんはてぐすね引いて待っているわけですから。

うちの彼がこう申しておりました。
歯医者になった方がよっぽどQOLがあっていいよなあ。
当直の多い内科を選んで貧乏くじ引いたかなあ。
確かに歯医者さんは当直なくてエマージェンシーも少ないですしね。

さて 日本は歯科医が過剰でこういうことになっているそうですね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E9%81%8E%E5%89%B0%E5%95%8F%E9%A1%8C