1991(平成3)年に救急救命士制度 が法律化されました。これは日本の救急医療の歴史上 画期的なことで、この救急救命士法のもと、一定の医療行為(ラリンゲルマスクなどによる気道確保、除細動(心室細動の際に電気 ショックをかけること)、血管確保、気管内挿管や薬剤投与)が「医師の指示」の もと、はじめて行なうことができるようになりました。そして2003(平成15) 年4月以降は 除細動は「医師の指示」なしに行えるようになりました。
日本では、「医師の指示」によらない医療行為は、たとえそれが緊急非常事態で、生死に関わることであったとしても、すべて違法となり、刑事罰が与えられます。例外は お産や緊急の除細動などだけです。そういう意味では日本の医師は絶対的な位置に君臨しているといえます。
救急救命士はもちろん、特別に訓練された救急のプロですから、緊急の救急の設定に強いわけで、心肺停止の患者を目の前に動転して蘇生の仕方もよく思い出せないような医師も当然いるわけで、それでも救急救命士はその「医師の指示」に従わなければならないというのはちょっとおもしろいですよね。
それに対してアメリカでは、パラメディックと呼ばれる特別な救急医療のトレーニングを受けた人たちが、現場(病院外)で医師とほぼ同等の医療行為をす ることができます。パラメディックは救急の現場で、気管内挿管、血管確保、薬剤使用、除細動など「医師の指示」なしで行なうことができます。ERに到着する心肺停止の患者の、気管にはもうちゃんと人工呼吸の管が通っていて、点滴のラインもちゃんと機能していて、ERのスタッフにバトンタッチするまで心臓マッサージもすべて「医師の指示」なしで行われているところは日本とは大きく違います。
「医師の指示」なしです!!