女性管制官がアメリカで医者になった場合ーアメリカンドリーム

アメリカでアメリカンドリームを達成するには?
マーティンもと子(旧姓多尾もと子)の場合は?

忍者の弱点 その2

2009-08-01 14:55:01 | Weblog
この段階で、もちろん便秘を解消すれば、彼女の腹痛を緩和できるかどうか
それはまだわかりませんが、とにかく触診で下腹に便の塊のようなものに触れますし、2週間も便秘していれば何とかしてあげなければいけませんしね。

ところが、浣腸をする前に一応腹部をレントゲンで単純撮影しましたところそれほど便がたまっているようにも見えない・・・不思議です。

私の説得というより、母親の説得に応じざるをえなくて しぶしぶ母親とトイレに行った彼女でしたが、浣腸の結果は、???

その間、とても忙しい夜の救急でしたので、他の患者さんを診察することにして
あとで戻ることにしました。

30分ほどおいて、8番の彼女のお部屋に戻り、様子を伺うことにしました。

「どう?調子は、いかかが?ウンチは出たの?」

「はい、たくさん、おかげさまで。」

 とうれしそうなお母さん。

 私は、その結果、腹痛がどうなっているかそのほうが心配。

「おなかは? まだ痛い?それともよくなった?」

 彼女、相変わらず下を向いたままで、

 「まだ痛いです。」と答えました。

 私は、手早く彼女をベッドに横に寝かして、触診をしました。

 あれ? これは・・・硬いもの、まだある。触るとまだ痛むらしく彼女は顔を少ししかめました。

「おかあさん、便秘が原因の腹痛ではなさそうですね。CTを撮らせて下さい。
 長年の勘なのですが、どうやら何か他に原因があるような
 気がするもんですから。」

おかあさんは、笑い転げてこういいました。

「先生、馬鹿なことをおっしゃっちゃいけません。便秘、便秘が原因なんですよ。
CTなんか撮ったって、無駄無駄。ウンチ、たくさん出たことは出たけど、まだまだ詰まってるからですよ。ご心配無用。便秘薬の強いやつ処方してくだされば、それでOK.ねぇ、いいでしょう?先生。」

私は、笑い転げている母親と、下を向いてうつむいているこのかわいそうな14歳の女の子を二、三度、見比べながら CTの必要性を誠心誠意説きました。

ついに母親は、父親にも説得される形となり、CTは、行われることになりました。

夜中の2時38分、USTeleradiologyというところから、この患者のCTの結果がファックスで送られてきました。

1.There is a mass located superiorly in the bladder and anterior to the uterus. This is likely ovarian in origin. But may potentially originate in the mesentary. This measures approximately 11.7x9.2cm. This appears largely solid, and contains considerable internal vascularity.
As the right ovary is seen in the right posterior pelvis, the left ovary is the likely site of origin for this lesion.

2.Normal appendix.

3.left lower lobe subpleural nodule, image 1, 1.0cm

4.right middle lobe subpleural nodule, image 2, 0.3cm

5.right lower lobe nodule image 5, 0.6cm

6.right lower lobe subpleural nodule image 7, 0.4cm

7.right lower lobe subpleural nodule image 11, 0.5cm
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なんと、あの硬いものは、便ではなく、大きな腫瘍だったのです。
CTでは、どうやら左の卵巣が原発のようです。
ただ、レポートの#3以降に示されているように、肺にたくさんの小さいノジュールといわれる転移?かと思われるかたまりがいっしょに発見されました。

本当になんと言うことなのでしょう!
私のいやな勘は、当たってしまったのです。

問題は、これをどうやってあの14歳の患者と両親に告知するか、です。

それで、とりあえず母親だけを別室に呼んで告知することに・・・

母親は大声を上げて私に泣きすがりました。

「先生、あの子 助かりますよね。ねぇ、どうか、助けてやってください!」

私は、エルパソの町で一番腕のいいといわれている小児ガンの認定医を起こしました。彼は、快くその患者の受け入れを引き受けてくれました。

そしてまもなく、彼女は救急車で小児ガン病棟のある病院にへと搬送されて行きました。



ブログを、しばらくの間、お休みすることにします。 まだまだ書きたいことが山とある中、このようにお休みをするのはとても 寂しいのですが、人生の新たな大きなチャレンジをすることにしましたので、 それが成功しだいまたブログを再開したいと思います。 皆様、ご支援ほんとうにありがとうございました。