女性管制官がアメリカで医者になった場合ーアメリカンドリーム

アメリカでアメリカンドリームを達成するには?
マーティンもと子(旧姓多尾もと子)の場合は?

新年早々のご褒美 その2

2012-01-07 00:20:14 | Weblog
元旦の日の診療は続きました。

息をつく暇もない?と言えばうそになりますか。
だけど、トイレに行く暇はないです、ほんと。

シフトも終わりに近づいた夜中の12時ごろ。

咳と発熱のひどい二人のお子さんを連れてやってきた若い夫婦に出会いました。

ひとりひとりの既往を聞きだそうとしていると、お父さんがいきなり、

「先生、ぼくたちのこと、おぼえていらっしゃいませんか?」

そう言えば。。。

そう言えば。。。

シフトも終わりかけで、頭もほとんど使い切り、最後の力を振り絞って?脳のメモリー機能のボタンを押します。

「ほら先生、赤ん坊が髄膜炎でね、そんでもって次の日娘が。。。」

そこまで言いかけて、思い出した、思い出した!!

目の前にいる子供たちはもうかなり大きくなっていますが、赤ん坊の方は生後2週間で髄膜炎にかかりました。
私が腰椎穿刺をして、診断をつけました。
髄膜炎と診断がついたとたん、この夫婦、声を上げて泣き出しました。
それが、ER中に響き渡るような叫び声に近い泣き声で、私には手に追えず、担当のナースにも慰めきれず、看護師長も出てきて、その上のスーパバイザーも出てきて、ガードマンまで。

ところがその次の日のことでした。
赤ん坊が入院していて母親が付き添っている間に、上のお姉ちゃんがなんと犬に顔を咬まれるという事件がおきたのでした。

父親は、泣きわめく娘の血だらけの顔を見ながら、ERの壁をたたきながら悔し泣き。またまた大勢の人がやってきて父親を慰めましたが、かわいい娘の顔がだいなしになったのは僕のせいだと、今度は自分の頭を握りこぶしでたたき始めました。

ほんとうに大変な親子だったのですが、赤ん坊は一月もの入院治療を経て、すっかりよくなり、娘さんはその日私が顔の縫合を何針もし、後に形成外科医が傷口を整えて、残っている傷はわずかにほっぺたの小さな傷が2箇所だけ。

めでたしめでたし、というお話で、これもやはりわたしにとっては新年早々のご褒美でしたね。

ほんと、今年はついているかも!!

新年早々のご褒美 その1

2012-01-05 22:46:59 | Weblog
2012年は元旦からお仕事でした。

シフトはディレクターの采配で決まるのですが、感謝祭、クリスマスとお休みをいただいてしまった私がお正月もお休みになるということはありえなく、当然のことながらの出勤です。

けっこう新年を病で迎える人たちは、多いんですよねぇ。
ほんと、お気の毒ですがこちらとしてはできる限りのことをするのみ。

単なるかぜかと思いきや、けっこう大きな肺炎だったり。
お正月早々心筋梗塞や脳卒中。
大晦日の晩は、夜勤だったドクターによるとかなりの高度な外傷患者が次々と運び込まれてきたそうですよ。
さすがに、銃弾に倒れた患者はいなかったようですが、あちこちナイフで刺された人が多かったとか。

そんな中、ある2歳近くの男の子を連れたお母さんがERにやってきました。
主訴は、4日間の発熱と咳。そして。。。

トリアージュのナースがその男の子の件で私を呼び止めました。

「この子ね、赤ん坊の時、心肺停止になったんですって。それで、今晩、咳をしたら、閉じていた気管切開の穴がぽっかり開いちゃったんですよ。」

それはたいへん、とばかりにその子の喉を見ますと、昔カニューレが入っていた気管切開のあとが、開いて何か粘液のようなものが漏れています。

さっそくきれいに拭いて空気が漏れないように特別なガーゼを小さく切ってテープで止めてあげました。

「咳が強すぎて、その圧力で穴がまた開いちゃったんでしょうね。」

そう言いながら、熱っぽいお顔をなでました。

するとお母さんがこう言いました。

「先生、この子のこと覚えていらっしゃいませんか。
この子、先生とドクターPが助けてくださったんですよ。」

ドクターPと私が?
もしかして、もしかしてあの時の・・・

ええ、そうなんです。この子は、生後間もない時に原因不明の心肺停止で担ぎ込まれてきた患者でした。
ERでなんとか蘇生したあと、NICUに送り込まれ、ドクターPの指示でクールキャップセラピーが行われました。
クールキャップと言うのは、頭に特別なヘルメットをかぶせて頭を低音に保ち脳のダメージが広がらないようにするというすばらしい治療法です。

ええ、もちろんですとも。
あの時のこと、今でもはっきり覚えていますよ。
特にERでの新生児の蘇生はめずらしいですから。

この子、4ヶ月も新生児集中治療室にて治療を受け、その間に気管切開や一時的に胃ろうもつけていたそうですが、今はなんと健康そのもの!
発達度も同じ年齢の子供より進んでいるそうですからうれしいお話ではありませんか。

新年早々、こんなすばらしい出会いは大きなご褒美でした。

そして同じ日。。。