女性管制官がアメリカで医者になった場合ーアメリカンドリーム

アメリカでアメリカンドリームを達成するには?
マーティンもと子(旧姓多尾もと子)の場合は?

メリークリスマス in Las Vegas

2013-12-13 02:56:52 | Weblog
2013年を振り返ります、

私にとってはとにかく最高に忙しい一年でした。
張り切って二つの病院でも仕事をこなしたのが原因でしたが、朝と夜の勤務が頻繁に12時間ひっくり返るのには完全降参!
救急の仕事の現場の実情ですね。
年齢を重ねれば重ねるほど、体内時計が狂いっぱなしではやはりきついです。

ブログもほとんど書けない、家族ともいっしょに過ごす時間なし。子供の成長を見届けてあげられない、十分な話し相手にもなれない、仕事中の家からの電話は全て待ったをかけていました。幸いなことにかろうじて誰も大きな病気一つせず過ごせたことは大きな大きな感謝です。

日本からやってきた高齢の母が今年はなんと二ヶ月も私たちと一緒に過ごしてくれました。
先月は日本から東京の病院で救急医長をされている先生が訪ねてくださり、大学病院と、私の長年勤務する病院の二ヶ所で火傷と、小児救急の秘訣に関して講演をして下さいました。
特に小児救急の講演は平日の午前中にもかかわらずほんとうにたくさんの方々が見え、ビデオや写真、音楽も盛り沢山で大好評!! 講演をアレンジさせていただいた私も鼻高々でした。病院長からもレビューが素晴らしかったと後ほど感想をいただいたほどです。
英語であれだけの講演ができ、参加者をあれだけ感動させることができる日本人医師、大きな尊敬に値します。ほんとうに短い時間でしたが、エルパソを満喫していただけたかなと思っています。
来年はどんなお客様が見えるかな。

今、ラスベガスです。
子供達とゆっくり過ごしています。
こうでもしなければ子供達とゆっくり向かい合えないというのは異常なのですが、今の私には他にチョイスがありません。おそらく仕事もこれがピーク。
医師としてのスタートが遅かった分、リタイアも早く来ます。
今のうちにしっかり救急の醍醐味を味わって、徐々に仕事を減らしていければと思っています。
手始めに先月からは二股をやめて病院を一つに戻しました。今後は大人の救急が主になります。


ラスベガスは夢とイルージョンの街。
全ての贅沢が揃っています。食料の十分ないアフリカやその他の貧乏な国々からはひんしゅくをかいそうなくらいの食料が食べても食べなくても山のようにゴミと消えてしまうようなそんな世界。
他の地域では見られないようなたくさんの有名な豪華ショーの数々。
夜は遅くまでラスベガスの街は眠りにつきません。ストリップと呼ばれる有名なストリートは夜になればなるほど混雑します。

私たちも24ー26日、三日間だけ、現実を離れて夢の世界にひたっています。
ラスベガスから、メリークリスマス!

良いお年をお迎えくださいね。


医療詐欺??

2013-12-06 19:29:44 | Weblog
医療詐欺?? その一

酔っ払いの患者さん、夜中になれば一人や二人は珍しくありません。

ある晩も、救急車で路上に倒れていたという酔っ払いのおじさんが救急車で運ばれてきました。
パラメディックによると、今でこそ少しは目を開けて話のできる状態だが発見当時はまったく意識混濁状態だったそうです。

そこで現れた救急医のA先生、

パラメディックからの報告を聞くなり、ちょこっと遠目から見ただけでまるで汚いものにでも触るかのように手袋ははめたが患者に聴診器をあてるでもなく、患者に声をかけるわけでもなく、結局くるっと身をひるがえしコンピューターに向かってなにやらオーダーを。

頭のCT、アルコールレベルを含む血液検査や尿検査、オーダーはなんと10項目以上にも渡ります。

その二時間後のことです。
オーダーされた検査項目の結果もすべてそろい、家族のお迎えも整い、患者さんはめでたくご帰宅となりました。

そこで帰宅指示のサインを担当ナースが本人にもらおうとしますと、患者さんはむっくり起き上がりこう言いました。

「ボク、まだ先生に診てもらってないんだけど。。。」

医療詐欺?? その二

日本にはないフィジシャンアシスタントという医療職。
ERでは彼らがオーダーができない麻薬系のお薬(例えばモルフィネなど)は一部ありますが、あとはほぼ医師のように医療行為はできます。
簡単な手術もできますし、縫合もいつもやっているので形成の先生顔負けにうまいアシスタントもいます。
もちろん医師の監督が必要ですが。

救急の世界でもフィジシャンアシスタントは大活躍!!

「私はフィジシャンアシスタントのナンシーです。今日はどうされました?」

患者さんの間でもフィジシャンアシスタントではなく医師をよこせ!とおっしゃる方はおられませんねぇ。
それぐらいこの医療職、アメリカでは認められているんですね。

そこでその日のフィジシャンアシスタントの監督をしているB医師。
患者を一度も自分の手で診ないまま、まるで診たかのようにカルテに記入し医療費の請求をします。
フィジシャンアシスタントだけが診た場合は医師が診た場合の7割の請求しかできないということを知っているのに、です。
これ、へたすると監獄行きですよ。。。

患者さんがあとで請求書の内容を確かめないことを祈ります。B先生、グッドラック!

医療詐欺?? その三

息子の通っているデンティスト。
何しろ重度の身障者ですので歯科検診もとても難しいです。
まず注射がきらいなのでなかなかじっとしてくれません。

数年前の歯科治療も病院の手術室で麻酔をかけられて行ったくらいでした。
手術室から逃げようとするのでこれまた麻酔医がKetamineというお薬を隠し持って太ももにいきなり筋注!
おとなしくなったところをやっとテーブルにのせて点滴を取って本格的に麻酔を。。。

すべてがそんな感じですので歯科検診も楽ではありません。

数日前もある歯科クリニックにて歯科検診をやってもらいました。
ただし、やってもらったことは歯科衛生士に歯磨きをしてもらっただけ。

「きれいな歯しているじゃないの。」

この歯科クリニックは今回二回目でしたが二度とも歯科医に会うことなく帰宅しました。
歯科医はどんなお方なのか私はまったく知りません。

こういうの、究極のメディケイド(身障者/低所得者用医療保険)詐欺ですね。。。





コードブルーよりもっとブルーになる瞬間

2013-12-01 23:52:53 | Weblog
コードブルーよりもっとブルーになる瞬間、それはもしそれが今までに診たことのある患者さんだった場合でしょうか。

つまり先にERから帰宅させた患者さんが、その数時間後にコードブルーで自宅からERに舞い戻ってきた時など。
例えばこんなシナリオです。

パラメディックのお兄様たちが胸骨圧迫しながら救急車から降りてきて救急車専用入り口から小走りにストレッチャーを押しながら入ってきます。
そして自分が帰宅させた患者さんがこんな形でERに戻ってきたことを悟った瞬間、も、もちろん担当救急医の顔面は蒼白!
医師の顔色はコードブルーの患者さんより真っ青になります。

頭の中で走馬灯のようにいろいろな疑問が駆け巡ります。
いったいどんな見落としがあったんだろうか。
帰宅させないで入院させるべきだったのだろうか。
いったいなんで?なんで?

そして最後はやっぱりこれ、

医療訴訟の四つの漢字が頭をよぎるわけです。

ましてや不幸な結果に終わった場合はまさしく、戦線恐々ですね。

こんなこともありました。
集中治療室で急に容態が悪化した患者さんの気管挿管をたのまれたときのことです。
集中治療室に集中治療専門医がいないときにはよくお声がかかります。

「先生、こちらです!早く早く」

ICUに到着するなりたくさんのスタッフがバタバタと挿管の準備をしていました。

「マックですか?ミラーですか? チューブにジェリーつけますか?」

矢継ぎ早に質問攻めです。

「ドラッグは何を?」

まだ意識のある患者さんの場合そのままでは気管に管を通せません。まず薬で眠らせて、それから別の薬を使って筋肉を弛緩させてから挿管します。
入れ歯もはずします。

敗血症のショックからその患者さんの顔はとても青ざめていて触るととても冷たかったです。うっすら冷たい汗がべっとりと手袋をした私の手にも感じられました。
患者さんはご高齢のおじいちゃま?に見えるがほんとうはまだ若い人なのかも。。。
実は挿管を頼まれただけなので細かい情報はもらっていませんでした。

管を気管に通し終わってICUを後にしかけてやはりいったい誰なのかちょいと気になりカルテをのぞきますと。。。

な、なんとそれはわ、わたしの患者さんでした。
シフト始めに入院していただいたおじいちゃま。
救急室から入院病棟に移されたあと容態が急変したそうです。
その時はまだお元気にお話ができ、「もうこれでお呼びが来たのかなあ」と泣いておられたおじいちゃま。

こんなに変わり果てた姿になってまたこんなところで会うなんて。
ほんの数時間の間に急激に悪化されたようでした。
挿管している間にまったく誰なのか気がつかずじまいだったわけは、あまりにも容態が悪化していたためにお顔がまったく変わってしまっていたから。

コードブルーからは縁の切れない毎日を送っています。