女性管制官がアメリカで医者になった場合ーアメリカンドリーム

アメリカでアメリカンドリームを達成するには?
マーティンもと子(旧姓多尾もと子)の場合は?

気管挿管の新兵器

2011-10-31 03:02:03 | Weblog
毎日、仕事仕事で忙しくしております。

忙しくて商売繁盛なのはけっこうなのですが、緊張しっぱなしでどうもいけません。
子供たちが電話をかけてきても、患者さんと向き合っていると電話にも出られません。仕事にいったん入ると性格も変わってしまいます。

今日も朝早くからディレクターが何度も私を起こそうとしたようで、携帯のミスコールが何本か、そしてメールが何本も入っていました。

忙しいから、早く来て~!!

まだ起きてないの?!

早く来い!!


こんな感じでしたよ。

朝11時半に飛び起きた私でしたが、ユニフォームに着替えてあわててうちを出ました。

さて、そんな私を待っていたいたものは?

詰め所に行くと、大きな箱がおいてありました。
その箱の上には私の名前が大きく書かれてありました。



GLIDESCOPEと書かれてありますよね。

これは、最近発明された気管挿管の新兵器です。
ビデオで実際に気管の入り口を見ながら挿管するというものなんですね。



こんな感じで挿管するんですよね。



便利になったでしょう。
ほんと、医療器具も日々進歩をとげていますよね!!


秋も深まって

2011-10-28 00:43:41 | Weblog
秋というと、アメリカではハローウィーン、そして感謝祭です。

もう少しで、ハロウィーンですね。
今年の10月31日は月曜日にあたりますので、翌日に学校のある子供たちは長々と路上にたむろしてキャンディーを集められずちょっと気の毒です。

うちも、もうたくさんキャンディーを買って用意してあります。
買い置きしたキャンディーはベッドの下にすべて隠してありますよ、笑っちゃいますね。



ERでもこれこのとおり。
あちこちにかぼちゃのシールが貼ってあります。



天井にはハワイアンゴーストがぶらさがっています。
このハワイアンゴースト、私のお気に入りです。



うちの中のデコレーションも完璧です。
壁にかかったほうき、かわいいでしょう。



長男のクラスルームでぱちり!
障害児のクラスですからまるで幼稚園のクラスルームみたいですね。

ずいぶん涼しくなってジャケットが必要になりました。
みなさんも、おかぜなどおめしになりませんように。

ああ、患者さま、患者さま~ その2

2011-10-24 23:24:52 | Weblog
Patient Satisfaction Scoreを競い合う、という血みどろの競争!

患者さまを満足させることにより、病院の利益をより伸ばす!

Satisfaction Score! Satisfaction Score!


会議に出ればいつもこれです。

アメリカの病院て、どこもこんな感じ???

うちのERで一番、医師に関して患者さまの不満になることと言えば、まずは
患者に手を触れなかった、時間を取って診察しなかった、検査の結果を報告してもらえなかった、などということになります。

また、フィジシャンアシスタントが診察した患者はすべて医師が監督しなければいけないのですが、これがまたこんな具合。
フィジシャンアシスタントには診察してもらったけどドクターは全然来なかったというたぐいの文句の多いこと、多いこと。

そこで、病院側も立ち上がりました!

Satisfaction Scoreを上げて、ライバル病院に勝利を収めるには少しは投資をおしみません。でもでもほんのちょっとだけ・・・

いったいなんだと思います?
実はね・・・



ただの椅子?
これがどうした?と言いたくなりますが、実はこの椅子、ドクターチェアという代物です。
診察室の中で座ったまま動けるようにと足には車がついています。
そして背もたれには”DOCTOR”と書かれてあります。

このドクターチェア、Satisfaction Scoreを上げるための新兵器なのですが、うちのERの40近くあるお部屋のすべてに配置されました。

医師が立ったままで問診、診察するのではなく、椅子に座って患者と目線を合わせて時間を取って診察をするというのが目的で、患者さまに決して医師が急いでいるという印象を与えるべきではないという趣旨から導入されたものなのだそうです。

そこで、わたくし、こう言いました。

「だれか、私専用の椅子作ってくれないかしらん・・・」

それを聞いたパラメディックのお兄様、こんないたずらを。



スペイン語で女医は、DOCTORA=ドクトーラ と言いますので私用にAを点滴用のテープで作って貼ってくれました。

どこまで伸びるか、Satisfaction Score 見ものですね。

ああ、患者さま、患者さま~ その1

2011-10-24 02:18:46 | Weblog
「先生、お願いです。今すぐキッチンから生たまねぎを持ってきてほしいんです!」

ふと振り返りますと、そこには60代位の女性が真剣な顔をして立っています。

ドクターGは、カルテを書いていた手を休めこう答えました。

「いったいどうされましたか?」

「血圧が高くて倒れそうなんです。助けて下さい!」

よくよく話を聞いてみると、この女性 持病の高血圧症をいつも生たまねぎで治している?というすごいお話。

ドクターGはこの女性の血圧が180/100であることを確認し、コンピューターに向かってフィジシャンオーダーを入力しました。

その内容は、

「直ちにキッチンから生たまねぎを持ってきて直ちに食べさせること!STAT!!!」

これは、STATオーダーです。
STATという言葉はERではよく使いますが、直ちに、とか今すぐという意味でスタットと発音します。

夜中の病院のキッチンは閉まっています。
カフェテリアは夜7時でおしまいですからね。

そこで、オーダーを受けたナースはナースのボスのボスに連絡。
一番上のボスのナースが、鍵を開けてキッチンに侵入。
そして、YES! I FOUND AN ONION!!と喜んだそうな。

そしてフレッシュなとてもいいにおいのする?生たまねぎをERで食べた患者さま、しばらくして血圧も120/80となり、無事にご帰宅となりました。

そこで、ことの一部始終を目撃していた私、あきれてこう聞きました。

「ドクターG、なんでまた生たまねぎなわけ???」

ドクターGいわく、

「これからの時代、患者の満足度を上げないと、生きていけないよ。
君も見習いたまえ。」

これが、Patient Satisfaction Score の上昇につながる秘訣なんですねぇ。

ははあ~!参りました!

女の子と男の子

2011-10-22 02:49:52 | Weblog
いったい何歳くらいから男の子と女の子の違いを意識するようになるのかというと、けっこう早い時期に子供って体の違いに気が付くものなんですね。

3歳のお誕生日の前には、男の子と女の子の体の違いに意識し始めるようです。

先週の週末のお話なのですが、エルパソシティリーグのバスケットボールの試合で、男の子のグループと女の子のグループが競い合いました。
中学の部なのですが、けっこうこれが面白い!
女の子たち、いっしょうけんめい食い下がってフリースローで得点稼ぎ。
スピードの点で男の子には負けますが、シュートはけっこううまいもんです。

女の子のチームを応援していた私でしたが、手に汗握るとはこのこと。
楽しませていただきました。

結果は60vs20で、男の子の勝ち。
でもみんなよく頑張りましたよ。

その日の午後は雪ちゃんが男の子のお誕生パーティーにお呼ばれ。
3年生ともなると、けっこう男の子、女の子かなり意識がはっきりしてきます。
でもまだまだかわいいもんです。



ここは、Peter Piper Pizzaというピザレストランですが、ゲームセンターが併設されているので、お誕生会にはもってこいの場所です。
おうちでお誕生会をするより簡単ととても人気があります。



ゲームで集めた得点で商品に換えられるというおまけつき。

ピザレストラン以外に、アメリカで人気のあるお誕生会の場所としては、ボーリング場なんかもありますね。


いったいどうなってんねん?! その2

2011-10-20 00:00:19 | Weblog
16歳女子、つきそいなし

主訴は下腹部の痛みと膣からの出血

彼女、妊娠17週だと言いました。
アメリカでは原則として18歳未満は一人では医療機関にかかれません。
でも、妊娠していると emancipated minorということで、ERにもひとりで来れるんです。

彼女、大人っぽく見えどう見ても20歳くらいに見えました。

そして、こう私に言ったのです。

「私、この赤ん坊、もう要らないんです。
だから、このまま流れてくれればいいんだけど、あんまりお腹が痛いし出血が昨日から続いているので怖くなったんです・・・」

いつもなら、そう簡単にそんなこと言わないで・・・云々と私のお説教が続くのですがこの子の場合はこんな驚きのお話が続いたんです。

「あのう私、きのうお薬入れちゃったんです。」

い、いったい何のお薬?

彼女、16歳で未成年のため中絶用のお薬を買えません。
そこで、年上の友達をメキシコへ送ってそこで膣挿入用の堕胎薬を買ってきてもらったとか。

misoprostol=Cytotecというお薬ですね。
このお薬、中絶にも使えるお薬なんです。

いったいどうなってんねん?!

この頃の子は!と怒りを通り越してほんとあきれかえるばかりです。

ところで超音波でさっそく赤ん坊を調べたんですが、17週になる胎児はなんと無事でしたよ。心拍音も1分間に145くらいで、元気そのもの。

この子、いったいこれからどうやって母親として生きていくんでしょうか。
ふと、す~っと冷たいものが私の心の中を横切りました。

いったいどうなってんねん? その1

2011-10-19 01:48:20 | Weblog
あるおかあさんが、女の子と男の子を連れてERにやってきました。

「昨日、出血があってお腹が痛むので別のERに行ったら、なんのことやらさっぱり。いったいどうしたものかはっきりさせたいので今日はここにやってきました。お願いします!」

と懇願する母親のそばで女の子と男の子が神妙な顔で私を見つめています。

12歳女子
G1P0A0


とカルテのトリアージュノートに書かれてあったのです。

とここまで書いて、うそ~!いったいどうなってんねん?
と思った方はずばり、医療関係者です。

この子、実は妊娠14週でした。

G1のGはGravidaのGのこと。この場合、妊娠したことがある回数が一回目という意味。

P0のPはParaのPのこと。まだ実際に生まれた子供がいないと言う意味ですね。

A0のAはAbortionのAのこと。流産か中絶の数が0回という意味です。

ところで先日、G15P0A14という25歳に女性に会いました。
この女性、15回目の妊娠中で、過去に14回堕胎を受けたということでした。どちらかというと境界性人格障害のような感じの若い女性でしたが。

さて、12歳の女子の妊娠事件です。
横にいっしょに座っていたのは彼女の赤ん坊のお父さん。

思わず私は彼の年を聞きました。

「13歳です。」

と答えたその子、私自身13歳の男の子を持つ母親ですのでびっくりぎょうてんしたのなのって。

いったいどうなってんねん???!!!

と思わず心の中で叫んでおりました。

ある日のエルパソの顔

2011-10-17 23:42:19 | Weblog
今年のエルパソの降雨量はほんとうに少ないです。
雨が降っても全然たいしたことがなく、例年は大雨が少なくとも一度は降ってプールの掃除におおわらわになるのですが、そんなこともなく終わりそうです。

少し前ですが、ほんの少し雨が降って虹が出ていました。



虹はほんとうに夢を誘います。
虹をわたって、日本まで行けたらなあ、なんて。

ここは、ダウンタウンの近くですね。



高速道路の10号線から撮りました。
私は運転しているので、撮ったのは子供たちです。

貨物列車が見えますでしょうか。
アメリカの貨物列車、車より遅いんですよ。
鉄道の発達していない国、アメリカ。
ほんと、残念ですね。

今週の初めにエアコンを閉じて、ヒーターに切り替えました。
ここアメリカでは、いちいちエアコンとヒーターを季節の変わり目に切り替えるためサービスをたのまなければなりません。
今月はエアコンはいらなくて、ヒーターもつけることのないので、電気代が一年のうちで一番安くつきます。

ふつう電気代は250ドルくらい。
水道代もやはり同じくらい。
光熱費、エルパソ高いかもしれませんね。



これは、エルパソ空港の管制塔。
登ってみたいです。



インフルエンザの予防注射、お早めに!

2011-10-15 23:42:37 | Weblog
いつもは、職場でインフルエンザの注射を受けられるのですが、今年はなんと、病院の駐車場でドライブスルーの注射を受けるとかで、それも日程が二日間しか設けられていません。

お達しによると当日のドライブスルーは、袖のまくりやすい服装で来ること、そして車のまどから腕を差し出して次々と注射を受けるというようなことでした。

そこで、日程の合わない私。そして家族全員が乗れる車がない・・・
困ったなあ、と思っていたところ広告が目に入り、今年はドラッグストアでのインフルエンザの予防注射に挑戦することにしました。



WALGREENS ですね。
私のうちのすぐそばです。歩いて3分。

あのう、おいくらでしょうか。

31ドル99セントです。

すると家族全員でいったいおいくら?????

ところが、うれしいことに保険が効きまして、御代はただでした。

さて、いったい誰が注射するのかと興味津々だったのですが、な、なんとドラッグストアの薬剤師さんが!!

私は薬剤師さんが注射をするのを知らなかったのでびっくりぎょうてんしました。インフルエンザの予防注射の他に、破傷風や、肺炎球菌ワクチンなどなど、薬剤師さんが予防注射をうてるそうで、2009年にメイン州が最後に承認。現在ではアメリカ全50州で、薬剤師による注射が認められているそうですよ。

WALGREENS、いいですね。
私もこんなお店、やってみたいな。

皆様、インフルエンザの予防接種、お早めに!!

縫合の裏話

2011-10-14 03:35:54 | Weblog
35歳男性

左の前腕に10cmくらいの深い切り傷を作ってERにやってきました。

よく見ると、その前腕に所狭しと刺青がばっちり入っています。
うちで、キッチンのカウンターを修理しようとしていて電気のこぎりで木を切っていた時に手が滑ってしまったということでした。

問題はこの刺青です。

刺青の傑作をだいなしにしてはいけません。
私は、刺青の絵をつじつまの合うようにきれいに縫い合わせなければと切れたはしっことはしっこをうまく合わせていきました。

ふつうの切り傷を縫合する何倍かの努力と時間が必要でした。

実は切り傷で一番気を使うのは刺青ではありません。
それは、唇の赤唇縁を切った患者の唇のラインをきれいに再現するように縫い上げることです。
難しいので、患者への医療請求も一番高価なんです。

でもこの刺青の縫合、どんなに努力してもふつう料金でしか請求できませんね。

さて、この患者の職業なのですが、
実はやしの木のシェービングなんですって。
つまり、やしの木の葉っぱが枯れてしまったときにその葉っぱをそぎ取るのがお仕事なんです。
エルパソにはたくさんのやしの木がありますから、こういう職業も成り立つんですね。

この患者の反対側の右上腕にはケロイドの醜い大きな長い傷跡がありました。
シェービングをしていて、やしの木で腱までひどく切ってしまったそうで手術をうけたとか。



これはうちの自慢のやしの木です。
干ばつで枯れてしまったかに思えたやしの木もやっとこれこのとおり。



とてもきれいでしょう。
青空にとても映えますよね!