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同軸コリニアの位相差給電検討

2017年11月29日 14時37分23秒 | 同軸コリニアアンテナ

最近は同軸コリニアアンテナの実験ばかりで・・・色々判明し考えるところあって「同軸コリニア」の位相差給電の実験を始めることにした。

垂直系をスタックするなんてあまり聞いたことは無いと思うが。

背景は、厚木市桜山移動運用での実験だ。14段コリニアは仰角のビーム幅が狭いので都市ノイズが10dB以上低下するとともに近距離信号も10dB低下している事が確認できた。

(ま、近距離なのでSの10dBの低下は気にしなくてもよいかも)

この解決には仰角のビーム幅はノイズ低減できる範囲かつ近距離信号を強く受信できるアンテナが必要となる。

そこで標高にもよるが500m以下では8段同軸コリニアの2列位相差給電、これを超える標高では6段同軸コリニアの2列位相差給電を考えてみた。

そこで8段コリニアで解析を行った。

赤線は8段同軸コリニアの2列位相差給電、青線が8段同軸コリニアシングル。

常用する移動地は後ろは丹沢山系で山岳反射も重要なのでF/B比の低い位相差(135°)を選択した。

(ちなみに位相差90°が一番F/Bが取れる。)

スタック間隔は200mmで利得はシングルより+2.87dB。これ16段同軸コリニアの実力で予定通り。

つまり16段の利得で8段の仰角ビーム幅だ。いい感じだ。

というわけで位相差給電用のケーブル(=スタックケーブル)の準備を始めた。

アンテナ給電部までのケーブルは左右で135°の位相差を持たせる。それを3D2V-3C2Vの1/4λのQマッチで整合を取る。

Qマッチで使う3D・3C同軸ケーブルの短縮率は0.67。435MHzで設計すると同軸の1/4λ長は116.5mmとなるはずだが。

どうかな?とminiVNAで周波数を確認しながら同軸を微妙にカットして435MHzの1/4λを製作した。

[miniVNAを使用して切り出した同軸ケーブル]

出来上がった同軸ケーブルは網線部では100mm、芯線込みで103mmで435MHzの1/4λとなった。短縮率59%だった。

(短い同軸かつフィルターとして使用すると短縮率が変わる!!ちなみに同軸コリニアでは0.67付近を使う)

また、この長さ103mmでショートして給電用同軸に取り付けるとバンドパスフィルターとして使える。

結局、本Qマッチに51Ω抵抗を付け計測すると112Ω/430MHz~120Ω/440MHzとなった。

インピーダンス変換は2.275/435MHzだ。25Ωならば56.9Ωへ変換できほぼ仕様通り。

あとは特性の揃った8段6段同軸コリニアを製作し実験する予定。

11/29 追記(質問に答えて)

位相差なしのパターンを追記します。

赤が8段同軸コリニアシングル、青が位相差なしで2列で接続した8段同軸コリニア。

位相差なしではお互いに打ち消しあって8段シングルより利得もパターンも悪かった。

比較機能(compare)を使うと歴然だった。


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
面白そうですね (JJ1XNF)
2017-11-29 12:14:36
位相差給電でマルチエレメントをドライブ興味津々です。
私は過去に、市販GPを使った同相給電=スタックの実験がしたくX6000を2本とスタックケーブルを準備しました。今もどこかにあります。
しかし、設営やその他の準備で億劫になりその後、20年経ってしまいましたf(^^;
今回、diw さんはここまで準備できているので是非同相給電との比較もして欲しいです。
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面白いですよ! (7K3DIW)
2017-11-29 13:00:58
XNFさん

20年ですか?すでにクラブ活動してましたね。
今回のきっかけは・・全市全郡。近い所が弱かったのが背景です。この時の標高は700mありました。
同相での解析ではスタック方向に対して90°方向に延びる楕円になります。
関東平野側へ主に飛ばせるように-135°を選択しました。
スタックケーブルは完成しましたよ!
週末に実験しますね。(予定)
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位相差なしを追記しました。 (7K3DIW)
2017-11-29 14:42:34
XNFさん

位相差なしを追記しました
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エレメント間隔も (JJ1XNF)
2017-11-30 08:39:41
早速シミュレーションありがとうございます。
間隔200mmだと同相は良くないですね。
八木のスタックの場合、1/2λから2λ位の間隔で使います。多段コリニアや多段GPの場合も同相給電なら1λから3/2λ程度の間隔があると利得上がると思います。間隔はQマッチのケーブルで200mm かと思いますが、対応は可能です。
なぜ、同相?は後程
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色々 (7K3DIW)
2017-11-30 11:04:18
XNFさん

色々提案ありがとうございます。
手元に検討した結果を残してあります。
同相ならば利得は1/2λが一番でした。
その時は八の字パターンです。
同相かつ1/2λを超えるスタック間隔ではパターンが分裂し利得も低下するようです。
山岳移動をイメージしていますので眼下の関東平野180°にくまなく飛ばしてバックの丹沢反射も使えるパターンを選んだので-135°、200mmでした。
同相、位相差の給電はお互いの運用形態の違いでしょうかね?
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ついでに数値も (7K3DIW)
2017-11-30 11:53:37
XNFさん

同相1/2λ間隔のとき+3.5dB以上の利得増になります。但し八の字パターン。
同相1λ間隔では+2.75dBで四葉のクローバ形状。
(これ以上の間隔ではローブが更に分割していく)
位相給電-135では+2.87dBでブログ中のパターンです。
数値的には以上です。
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数値の提示TKSです (JJ1XNF)
2017-11-30 12:23:44
多段でもハーフラムダ=1/2λが最大になるんですね。ビームパターンは8の字で希望どおり!
同相は、
山の上でのコンテスト時、強力な局の抑圧を受ける事も多く、8の字のnulポイントで回避が可能です。また、シングルより利得が稼げればより遠くとの交信機会が増えます。
さらに八木と違ってバックの概念がないので双方向に広く対応が出来て局数アップ出来そうに考えていました。
山を背にしても双方向のパターンは活用できると思います。
それと他の局がやって無さそうで面白そうと構想を温めてました。
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了解です (7K3DIW)
2017-11-30 15:32:47
XNFさん

私もコンテスト&通常QSOのCQステーションの立場で考えています。
関東Uや東京Uは基本的に関東平野が相手ですので丹沢山系から位相差給電を使います。
山岳移動で八の字特性ではアンテナを回せないので・・
XNFさんもスタックを考えていたとは!
今は地上の抑圧を逃げる&利得アップには多段(16段以上)のコリニアを使います。
これまではそうでした。
それが全市全郡のXNFさんとの交信でした。標高700mありましたので確実に10dB以上抑圧されていました。なのでヨワーーでした。
アンテナも適材適所を考える必要があります。
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言い訳 (JJ1XNF)
2017-12-01 12:08:21
DIWさん
確かに回すのが難点です。
機材あるのに出来ていない言い訳は、当時6mの移動運用で2度ほど4ele x 2 スタックを1/2λ間隔でオバケポールを作って設営しました、
重量を考慮して4ele にしたのですが、それでも重く設営に苦労しました。
その割りに6ele シングルとの違いがあまり実感できませんでした。
また、GP スタックは2mで企画しましたが、設営方法と回す構造が決まらない‼まま、設営の苦労も記憶に有って、時間だけ経ってしまいました。
430だとまた違った構想だったと思います。
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いえいえ (7K3DIW)
2017-12-01 12:27:19
XNFさん

アンテナ性能をアマチュア局相手に確認するのは時間をかけないと非常に難しいです。
同じ地域でもロケ、設備、出力も違いますし。
もしAIS局(アンテナも出力も、海の上なのでロケもみな同じ・・)へのアンテナ提供をしてなかったら定量的な検証へは至らなかったです。
430MHzはアンテナも短く反射や回折も弱いので山ではアンテナ性能を確認しやすいです。
144MHzはアンテナが揺れてもQSBになりませんが・・430MHzではモロにQSBです。
430MHzの実験結果次第で144MHzもスタックにします。
あと同軸コリニアはアンテナをグラスポールに貼り付けるだけなので実験も簡単です。
次はポール3本を使い、2本をスタック、1本は基準アンテナとして比較します。
それをハンディスペアナで計測します。
お互い無線生活が長いのでマニアックですね。
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