設計、製作の完了したダウンチルトタイプの同軸コリニアを鎌倉の140mの尾根筋で試してみた。
比較したのは現8段同軸コリニアと新型の20段、16段コリニアだ。
実は比較するにはちょっと標高が低いのだけど・・全く飛ばないとか不測の事態は確認できる。
しかし現地は15m程度の突風が吹き荒れていて比較実験には不向きか?それでも基準の8段と比較用アンテナを上げた。
【左が20段ダウンチルト同軸コリニア、右が現8段同軸コリニアだ】
いよいよ実験開始だ。まず8段で受信する。Sを確認したら20段へ切り替えてSの確認を行った。
正直、大きな差は殆どなかったが(20段なのに?と言われそうだが20段だからだ)Sが2-3違う局もあった。
偶然にも2つのアンテナの特徴を体感できる移動局と交信が出来た。
8段同軸コリニアで強風下でも安定的にS3で入感している900mの山岳移動局を見つけた。
ダウンチルトタイプ20段ではSメータは振らない(ダウンチルトでは当然)けど強風下こちらも安定的に入感。
相手局の使用しているアンテナは8ele八木、出力は100mWとアナウンスしていた。
まず8段2.5Wで声をかけると風の影響か?57-55だという。次に出力を500mWに絞る。
ここで思わぬことが風のせいか時々聞こえなくなるそうだ。
→疑問?こちらには安定的に100mWが入感しているのに、強いはずのこちらの信号が聞こえなくなるとは変だな?(相手は7dB出力が低い)
いよいよ、ダウンチルト新型アンテナに切り替えて送信すると・・・
相手からの応答がない!相手局が「聞こえてますか?」と呼んでる声が聞こえてきた。私は慌てて8段に戻した。
全く聞こえなかった?または殆ど聞こえなかったようだ。
→相手の移動地は70km先、標高は900m超え。標高差760m・・角度は0.75°なのだが。
つまり実測値通り0°を超えるローブは出てない事が確認できた。(設計通り)
→私が何度も経験した「9eleループでは聞こえない信号が同軸コリニアで聞こえた」意味が理解できた。
相手局も同軸コリニアを持っていたら間違いなく交信出来ただろう。
通常の同軸コリニアとダウンチルトタイプはこんなに違った。
【今回の比較ラインナップ左からダウンチルト型、16段→20段→15段、そして従来型8段】
結論
●ダウンチルト同軸コリニアは所定の性能を発揮しているのが分かった。しかし140mでは僅かな差だったけど上空への放射(0°以上)が確実に無いことが分かった。
(ある意味恐ろしい)
●同じコリニア研究会メンバー局が経験した山岳移動局への声かけ事件が発生した!(その時はS5の局に声をかけたが取って貰えない)今回はQRPP同士だったかつこちらの出力が7dB大きいので原因がはっきりした。
分かりやすく表現するならば
ビームアンテナは点と点で交信する(無限の大地と比較すると点)
なので点と点が受信限界点以下では交信が成立しない。
同軸コリニアは広い面と広い面で交信する。しかも面内の各点が受信限界以下でも面でかき集めて受信限界を超える電力となると復調可能なのだ。
偶然にも山岳移動局との交信で「同軸コリニア」の本性を捉える事が出来た。
かつて山岳移動で9eleループと同軸コリニアを持ち歩き毎回両者のSを確認していた。
勿論、殆どループの方が強いけど同軸コリニアで聞こえているのにループでは聞こえないことをしばしば経験した。Sが強い=良いアンテナ?は間違っている。
IQI伝搬(飯田市の谷間から3000m級のアルプスに超えの通信を同軸コリニア1本で八丈島や神津島と楽にできたこと)も全く同じ原理で説明できる。
ビームアンテナも良い面も多いが・・
最近いただいた同軸コリニアユーザの声を一部抜粋し紹介したい。
「(使用・運用の感想)
・研究会の記事にもあるように,ホイップアンテナと比較すると,強い局が必ずし
も強いわけでもなく,弱い局が必ずしも弱くない。コーリニアアンテナの傾斜に
よって指向性の円盤(レコード盤イメージ)が傾くのか,その円盤の指向性に相手局を合わせる必要があることを体感しました。
・総論的には,「UHFは難しい」先入観を打ち破って簡単に作れて,高性能であ
る。固定使用より移動運用がより良い。輪に束ねられので嵩ばらない。非常に良いアンテナである。
・頂いたV1.4マニュアルを次の方に,勝手に2次配布しています。御断りもなく御免なさい。」
それにしてもダウンチルト同軸コリニア?使える場面が非常に限られると思う。
しかし依頼のあった山岳レピータ局や全市全郡にはベストマッチ!!完全投入出来そうだ!
次は標高700m以上で追試だ。
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