ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

第19回 行政上の義務履行確保:行政上の強制執行

2021年01月20日 00時33分20秒 | 行政法講義ノート〔第7版〕

 1.行政上の強制執行

 行政上の強制執行とは、行政法上の義務を負う者がその義務を履行しない場合に、行政主体が自らその義務の履行を図る制度をいう。強制執行制度により、行政主体は、義務者に義務を履行させ、または義務があったのと同一の状態を実現することになる。

 行政主体とは、行政活動の担い手である法人のことである(京都大学系の行政法学者は行政体という表現を用いる)。具体的には、①国、②地方公共団体(地方自治法第2条第1項)、③公共組合、④特殊法人、⑤独立行政法人、⑥その他(認可法人、指定法人)を指す。行政主体における行政機関の一つが行政庁である(従って、行政庁自体は法人ではない)。

 民事法においては自力救済禁止の原則が適用されるが(例外は民法第720条)、行政法の場合は、行政権を行使して、迅速に必要な状態を実現しうるために、そして国民大衆の福利を実現するために、このような例外的権限を認めた。

 強制執行は、行政罰と異なる。強制執行は、義務違反状態を除去し、将来に向かって義務内容の実現を図るものである。これに対し、行政罰は、過去の義務違反を処罰するものである。

 

 2.歴史的変遷

 以下、とくに近年生じている問題を理解するためにも、ここで歴史的な制度の変遷を簡単に概観しておくこととしよう。

 大日本帝国憲法時代には、行政執行法という一般法が存在していた。この法律は、あらゆる場合に対応して様々な強制執行の手段を規定していた。これは、大日本帝国憲法の天皇主権主義とも関係することであり、行政権優位という国法体系の特徴の一端が行政執行法に表されていたのである。

 行政執行法第5条は、強制執行を3種類に分けている。ここで規定を紹介しておく(漢字は現代の字体に改めた)。

 同条第1項:「当該行政官庁ハ法令又ハ法令ニ基ツキテ為ス処分ニ依リ命シタル行為又ハ不行為ヲ強制スル為左ノ処分ヲ為スコトヲ得

  一 自ラ義務者ノ為スヘキ行為ヲ為シ又ハ第三者ヲシテ之ヲ為サシメ其ノ費用ヲ義務者ヨリ徴収スルコト

  二 強制スヘキ行為ニシテ他人ノ為スコト能ハサルモノナルトキ又ハ不行為ヲ強制スヘキトキハ命令ノ規定ニ依リ二十五円以下ノ過料ニ処スルコト」

 同条第2項:「前項ノ処分ハ予メ戒告スルニ非サレハ之ヲ為スコトヲ得ス但シ急迫ノ事情アル場合ニ於テ第一号ノ処分ヲ為スハ此ノ限ニ在ラス」

 同条第3項:「行政官庁ハ第一項ノ処分ニ依リ行為又ハ不行為ヲ強制スルコト能ハスト認ムルトキ又ハ急迫ノ事情アル場合ニ非サレハ直接強制ヲ為スコトヲ得ス」

 第1項第1号であげられているのが代執行であり(第2項も参照のこと)、同第2号であげられているのが執行罰である(これについても、第2項も参照のこと)。そして、第3項であげられているのが直接強制であり、これは最終手段として位置づけられていた。いずれも、具体的にいかなるものであるのかについては後述するが、ここで注意しておかなければならないのは、行政行為としての命令が法律に定められている場合には、そのまま、強制執行をすることが認められていた、すなわち、行政行為の執行力が当然に認められていたことである。命令について法律に明文の根拠を置きさえすれば、強制執行について別に法律の根拠を置く必要はなかったのである。この点は、日本国憲法下の法体系と異なる。

 行政行為の執行力については「第13回 行政行為論その3:行政行為の効力」を参照し、確認しておいていただきたい。なお、行政執行法は、宇賀克也=交告尚史=山本隆司編『行政判例百選Ⅱ』〔第7版〕(2017年、有斐閣)535頁、我妻栄編集代表『旧法令集』(1968年、有斐閣)63頁などに掲載されている。

 日本国憲法の制定に伴い、行政執行法は廃止された。大日本帝国憲法時代においては、行政執行法などによって広い範囲にわたって強制執行が多用されており、重大な人権侵害を引き起こした事例も少なくなかった。法律による行政の原理の観点からしても不徹底であったと言いうる。

 そのため、強制執行の手段を制限することとなり、まずは行政代執行法を一応の一般法とし、金銭債権については国税徴収法を一般法的に扱うこととした。本来、国税徴収法は、文字通り、国税徴収に関する法律であるため、一般法そのものとは言えないが、他の多くの法律などにおいて「例による」とされているため、一般法的な扱いとなっている。

 そして、個別の法律に強制執行の規定を置くことで対応することとした。従って、日本国憲法の下においては、強制執行について当然に法律の根拠が必要であるということになる。

 また、命令(行政行為)の法律の根拠と、強制執行の法律の根拠とは異なる。すなわち、行政行為の執行力が文字通りに妥当している訳ではない。

 なお、行政代執行法は執行罰と直接強制について規定をおいていないため、執行罰と直接強制については一般法が存在しない。しかし、同第1条は「行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる」と定めており、代執行が「行政上の義務の履行確保」のための手段の一つであることから、執行罰と直接強制も「行政上の義務の履行確保」のための手段であり、同条において念頭に置かれていると考えてよい。

 

 3.行政上の強制執行と条例

 行政代執行法第1条は「行政上の義務の履行確保」のための手段は「別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる」と定める。従って、行政上の強制執行については法律の根拠が必要であることは明らかである。それでは、条例を根拠として強制執行をなしうるのであろうか。

 代執行に関する一般的規定である同第2条は「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)」と規定しているので、「法律の委任に基く」条例に代執行の法的根拠を設けることが可能であることは明らかである。逆に、「法律の委任」を受けず、条例が独自に代執行の可能な義務を作り出すことはできない。第4回 法律による行政の原理で取り上げた最二小判平成3年3月8日民集45巻3号164頁(Ⅰ―101)も参照されたい。

 もっとも、同条にいう「委任」の意味については議論がある。具体的には、地方自治法第14条を「法律の委任」によって条例が代執行の可能な義務を作り出すことの根拠とすることができるか、という問題である。現在では肯定説が一般的になりつつあるが、地方自治法第14条第1項が「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる」、同第2項が「普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない」と定め、個別的・具体的な委任規定となっていないので、疑問も残る。即時強制については法律の委任がなくとも条例によって創設することが可能であると理解されていることとの均衡を考えた見解であると考えればよいであろう。

 一方、執行罰および直接強制については、前述のように行政代執行法第1条にいう「行政上の義務の履行確保」のための手段であり、同法には他に規定が存在しない。従って、条例に執行罰および直接強制の法的根拠を設けることは許されない。同第2条と異なり、同第1条にいう「法律」には「法律の委任に基く命令、規則及び条例」が含められていないからである。同じ「法律」という文言であっても第1条と第2条とでは意味が異なることに注意をしなければならない。

 

 4.代執行

 行政執行法時代においても、代執行は行政上の強制執行の中心的手段であったと言えるが、行政代執行法は代執行のみを規定しており、後に説明する執行罰および直接強制が個別法でもほとんど規定されていないことから、強制執行で唯一に近い手段となっている。もっとも、行政実務においては代執行が利用される頻度もかなり少ない。

 代執行とはいかなるものであるのか。ここでは、行政代執行法第2条に定められた要件を概観することによって説明をしていく。

 第一に、法律により直接成立する義務、または行政庁により命じられた行為(=行政行為によって命じられた行為)の義務が存在しなければならない。ここで、行政庁により命じられた行為は、有効なものであることが必要である(行政行為の公定力と執行力が結び付けられることになる)。

 第二に、代替的作為義務、すなわち、他人が本人に代わって履行しうる作為義務でなければならない。代執行は、行政庁自らが、または第三者がこの代替的作為義務の内容を実現し、本来の義務者から費用を徴収する手段である、とされる。作為義務であっても、他人が本人に代わってなすことのできない義務は非代替的作為義務であるから、代執行を行うことはできない。

 大阪高決昭和40年10月5日行裁例集16巻10号1756頁は、市庁舎内の組合事務所の明け渡し・立ち退きの義務に付随する組合事務所存置物件の搬出について、この搬出が独立した義務内容でなく、法律が直接命じ、または法律に基づく行政行為により命じられた義務でないことを理由として、代執行の対象にならないとしている。組合事務所存置物件の搬出そのものは代替的作為義務であるが、明け渡しおよび立ち退きの義務は非代替的作為義務であることからして、この判決は妥当であろう。

 第三に「他の手段によつてその履行を確保することが困難で」なければならない。もっとも、「他の手段」とは何かが明白とは言い切れず、問題を残している。

 第四に「その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められ」なければならない。義務の不履行が直ちに代執行の要件を充たす訳ではないのである。

 以上の要件が揃った上で、代執行の権限の行使については効果裁量が認められる。

 次に、行政代執行法第3条以下に定められる代執行の手続を概観しておく。

 まず、戒告(第3条第1項)がなされる。これは、代替的作為義務の履行期限を定めた上で、その期限までに履行がなされない場合に代執行をなす旨の予告であり、文書でなされなければならない。この戒告によって代替的作為義務が履行されなければ、代執行令書による通知がなされる(同第2項)。代執行令書には、代執行の時期、執行責任者、費用の概算が示されることとなっている。戒告および代執行令書の手続をとることができない場合については、同第3項に定めがある。

 戒告および代執行令書による通知は、いずれも事実行為にすぎないが、手続上で重要であり、要件を認定するものでもあるため、取消訴訟の対象となると理解されている。但し、代執行が終了すると、戒告や代執行令書による通知についての取消訴訟の訴えの利益は消滅してしまうので、その場合にはこれらについての取消訴訟を提起することはできず、国家賠償請求訴訟によって適法性を争うこととなる。また、代替的作為義務を課する行為→代執行手続中の行為という形で違法性の承継は認められない。 

 代執行にあたる執行責任者については、第4条による義務が課される。身分証明のための証票を携帯する義務と、要求が出た場合の呈示義務である。

 代執行は、行政庁自らが、または第三者がこの代替的作為義務の内容を実現し、本来の義務者から費用を徴収する手段である。費用を徴収することが公平の理念に合致するからであるが、その徴収方法については第5条の規定がある。また、第6条第1項は、費用納付がなされない場合の強制徴収を定めている(「国税滞納処分の例によ」ることとなっている)。

 なお、代執行自体には義務者の身体に対する強制力がないが、物理的排除(義務者による抵抗などの排除)については、代執行への随伴機能として一定の実力行使を認める見解がある。また、警察官職務執行法が適用されることもありうる。

 ●最一小決平成14年9月30日刑集56巻7号395頁(Ⅰ—102)

 事案:新宿駅西口周辺では、かねてから段ボールによる簡易な小屋などにおいて起居し生活する者(路上生活者)が多く(およそ200名に達したともいう)、苦情も多く寄せられていた。東京都は、平成7年12月8日、同駅から東京都庁方面に伸びる東京都道新宿副都心4号線の地下通路に水平エスカレーター(動く歩道)を設置し、同地下通路の利用の正常化を図る旨を公表した。同年12月15日、同月25日および平成8年1月13日に、東京都は路上生活者に対して段ボールの撤去および清掃などを内容とする周知文書の配布などを行おうとしたが、路上生活者および支援者からの妨害を受けた。また、同月24日、東京都は道路環境整備工事を実施しようとしたが、路上生活者および支援者はバリケードを構築するなどして工事現場への東京都職員の侵入を阻止した。そのため、東京都の要請を受けて警察官などが出動し、座り込みを続けるとともに卵や花火などを投げつけ、消化剤を噴射するなどした路上生活者および支援者を現場から排除していったが、当日の工事開始は午前6時30分から8時20分頃にずれこみ、工事に伴う交通規制は翌日の19時頃まで続いた。

 X1およびX2は上記の路上生活者および支援者のうちの2名であり、威力業務妨害罪(刑法第234条)にあたるとして起訴されたが、一審判決(東京地判平成9年3月6日判時1599号41頁)はX1およびX2を無罪とした。検察官が控訴し、控訴審判決(東京高判平成10年11月27日高刑集51巻3号485頁)はX1を懲役1年6か月、執行猶予5年、X2を懲役1年6か月、執行猶予3年とした。X1およびX2は上告したが、最高裁判所第一小法廷は上告を棄却した。

 判旨:①「本件において妨害の対象となった職務は、動く歩道を設置するため、本件通路上に起居する路上生活者に対して自主的に退去するよう説得し、これらの者が自主的に退去した後、本件通路上に残された段ボール小屋等を撤去することなどを内容とする環境整備工事であって、強制力を行使する権力的公務ではないから、刑法234条にいう『業務』に当たる」(最一小決昭和62年3月12日刑集41巻2号140頁、最二小決平成12年2月17日刑集54巻2号38頁を参照)。

 ②「本件工事は、公共目的に基づくものであるのに対し、本件通路上に起居していた路上生活者は、これを不法に占拠していた者であって、これらの者が段ボール小屋の撤去によって被る財産的不利益はごくわずかであり、居住上の不利益についても、行政的に一応の対策が立てられていた上、事前の周知活動により、路上生活者が本件工事の着手によって不意打ちを受けることがないよう配慮されていたということができる。しかも、東京都が道路法32条1項又は43条2号に違反する物件であるとして、段ボール小屋を撤去するため、同法71条1項に基づき除却命令を発した上、行政代執行の手続を採る場合には、除却命令及び代執行の戒告等の相手方や目的物の特定等の点で困難を来し、実効性が期し難かったものと認められる。そうすると、道路管理者である東京都が本件工事により段ボール小屋を撤去したことは、やむを得ない事情に基づくものであって、業務妨害罪としての要保護性を失わせるような法的瑕疵があったとは認められない」。

 

 5.執行罰

 執行罰は、民事執行法第172条第1項において定められている執行方法と同じ性質のものであり、一定額の過料を課すことを通告して間接的に義務の履行を促し、それでも義務の履行がない場合に過料を強制的に徴収する、というものである(繰り返すことも可能である)。

 行政執行法第5条第1項第2号は、執行罰の対象を非代替的作為義務または不作為義務(の不履行)としていた。しかし、これは必ずしも論理的な制度設計によるものではないと思われる。代替的作為義務についても執行罰は可能であると考えてよいであろう。

  櫻井敬子・橋本博之『行政法』〔第6版〕(2019年、弘文堂)174頁も「代替的作為義務についても執行罰によることは可能である」と述べ、執行罰がいかなる性質の義務に対しても実行可能であることを示している。

 現在の行政代執行法は、執行罰に関する規定を置かず、前述のように、同第1条にいう「法律」には条例を含まないと解されるから、個別の法律に根拠規定が存在しなければ、執行罰を行いえない。従って、条例に執行罰の根拠を置くことは許されない。なお、現在、執行罰の根拠規定は砂防法第36条のみであるが、そこに定められる過料が500円と低額であるため、効果は薄いとされる〈砂防法第36条にのみ執行罰が規定されているのは、整備漏れのためであるとも言われる〉

 ただ、最近、行政法学において、執行罰の復権を主張する見解が出されている。私も、過料の額次第では有効な手段たりうると考えている。とくに、市町村レヴェルにおいては義務の性質の如何を問わずに執行罰を活用しうるであろう。法律の改正などによって条例に執行罰の根拠規定を置きうるようにすべきではないだろうか。

 なお、 執行罰は「罰」という文字が使用されているが、処罰ではない。このため、行政罰と併科することも可能である。

 

 6.直接強制

 直接強制は、義務者が義務(内容を問わない)を履行しない場合に、直接、義務者の身体または財産に実力を加え、義務の履行があったのと同じ状態を実現するものである。権力的な事実行為である点において即時強制と共通しており、適用しうる場面についても直接強制と即時強制にはも共通するところが少なくないが、義務の履行を前提とするのが直接強制であり、そうでないのが即時強制である、と一応は区別することができる。

 直接強制を認める個別法の規定は少ないが、例として、学校施設の確保に関する政令第21条、成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法第3条第8項がある。なお、前述のように、行政代執行法第1条の解釈から、直接強制の根拠を条例(など)に置くことは許されない。現在、個別法の規定の例として、学校施設の確保に関する政令第21条、成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法第3条第8項がある。

 

 7.強制徴収

 強制徴収は、義務者が租税などの金銭債務を履行しない場合に、義務者の財産に実力を加えることをいう。直接強制の一種または変種であるといってよい。具体的には差押などが該当する。

 強制徴収は行政代執行法でなく、国税徴収法およびに国税通則法により定められるものである。また、他の法律により、租税債権以外の国または地方公共団体の金銭債権で、特別の徴収手続を必要とするものについて、国税徴収法に定められる滞納処分の例によって徴収することとされる。

 強制徴収が認められるのは、租税債権(かつては公法上の金銭債権とされていた)などの特別なもので、おおよその基準は、大量に発生し、迅速かつ効率的に債権を満足させる必要があるというものである。このようなものに該当しなければ、民事執行法に定められる強制執行手続によることとなる。

 国税の納税請求は、国税通則法第36条による「納税の通知」から始まる。これを行わなければ、具体的な納税義務が発生しないということになる(但し、申告納税方式の場合は同第35条による)。「納税の通知」は、税務署長が、賦課課税方式による国税の他、源泉徴収による国税、自動車重量税および登録免許税で法定納期限までに納付されなかったものについて、納付すべき税額、納期限および納付場所を記載した納税告知書を送達することによって行う。

 納税者が国税を納期限(同第35条および同第36条)までに完納しない場合には、税務署長が督促状を発して納付を督促する(同第37条)。督促状発布の日から起算して10日を経過した日までに国税が完納されない場合など、国税徴収法に定められる場合には、徴収職員〈税務署長その他国税の徴収に従事する職員をいう(国税徴収法第2条第11号)〉が滞納処分を行い、滞納者の財産を差し押さえる(国税通則法第40条、国税徴収法第47条)。差し押さえた滞納者の財産は、原則として公売の方法(国税徴収法第94条以下)、例外として随意契約(同第109条)により売却され、金銭に換えられる(換価。同第89条以下)。こうして得られた金銭は、租税その他の債権に配分される。この配分を配当といい、国税徴収法第128条以下に定められるところによる。配当の順位は滞納処分費→国税→地方税→公課など、となっている。残余金は滞納者に返還する。地方税については、例えば地方税法第66条第6項、また、その他の行政上の公課・費用については、行政代執行法第6条第1項、土地収用法第128条第5項などを参照されたい。

 

 ▲第7版における履歴:2021年1月20日掲載。

 ▲第6版における履歴:2015年10月20日掲載(「第19回 行政上の義務履行確保、行政罰、即時強制」として)

                                    2017年10月26日修正。

            2017年12月20日修正。

            2018年7月23日修正。


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