ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

審議未了に終わってしまいましたが(3)

2019年01月16日 00時23分35秒 | 国際・政治

 今回は、2018年12月26日0時5分25秒付の「審議未了に終わってしまいましたが(2−1)」、および2018年12月28日0時0分0秒付の「審議未了に終わってしまいましたが(2−2)」の続編です。

 参議院議員提出法律案第65号に目が止まりました。「まち・ひと・しごと創生法を廃止する法律案」という名称です。

 本文はたった一箇条しかなく、「まち・ひと・しごと創生法(平成二十六年法律第百三十六号)は、廃止する。」というものです。この他、2項の附則があります。

 この提案理由なのですが、「まち・ひと・しごと創生法を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である」としか記されていません。何故に「廃止する必要がある」のかが、これでは全くわかりません。

 ほとんどの法律案には「具体的な」とまでは到底言えませんが、目的などが或る程度はわかるような理由が付せられます。たとえば、やはり参議院議員提出法律案の第74号で、参議院→衆議院の順で審議され、法律として成立した「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律」の理由は、次のように記されています。

 「造血幹細胞移植に用いられる臍帯血の提供について臍帯血供給事業者以外の者による不適切な事案が生じている状況に鑑み、移植に用いる臍帯血の適切な提供の推進を図るため、臍帯血供給事業者が移植に用いる臍帯血について行う場合等を除き、移植に用いる臍帯血の採取、保存、引渡し等及び造血幹細胞移植に用いることができるものとしての臍帯血の取引を業として行うことを禁止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 また、審議未了に終わった参議院議員提出法律案第68号の「都市計画法の一部を改正する法律案」の理由は、次のようなものです。

 「政府は、都市計画等の見直しが定期的に行われるよう必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとするとともに、都市計画が決定された後においても当該都市計画に係る住民の意見を反映させるために必要な措置、都市計画に係る不服申立て及び訴訟の制度の在り方並びに都市計画法第五十三条の規定による都市計画施設の区域等内における建築物の建築の制限を受ける者の当該制限により生ずる経済上の不利益に対応するための措置の必要性の有無について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 第197回国会で「法律を廃止する法律」の案が出されたのは第65号のみですが、過去には、例えば第195回国会の衆議院議員提出法律案第7号「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律を廃止する法律案」の提案理由が、やはり「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である」としか記されていないのを見ることができます。

 「法律を廃止する法律」の案の提出理由は、ただ「廃止する必要がある」と書くだけでよいというのが流儀なのかもしれませんが、これではまるで反対のための反対、よく表現しても(?)「駄目なものは駄目」を超えていないとしか思えません。誰が見ても、廃止すべきとする理由がわからないでしょう。「箇条書きにせよ」などとは申しませんが、端的であれ、もう少しわかりやすく理由を記すべきではないか、などと考えてしまいます。


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