東北地方太平洋沖地震の直後から、首都圏ではJRをはじめ私鉄、地下鉄全線で運転が中止となり、首都圏では交通網が完全にマヒした。都心では震度5強や5弱の揺れであったにもかかわらず、地下鉄までもが全線停止した。
各人は会社や駅などに止まるか、自転車や歩いて帰宅するかなどの判断をそれぞれが下したわけであるが、幸いにも鉄道各線、駅舎などに被害がなく、当日夜、または翌日にはほとんどの鉄道が運転を再開した。
しかし、震度7、6強が予想される首都直下地震や立川断層、三浦半島断層群などの直下地震の際に鉄道各線、駅舎などに被害があった場合にはどうなるのだろうか。翌日どころか数カ月の間は運転再開とはならないであろう。
東京の昼間人口をみると通勤・通学で他県から約300万人が流入する。埼玉県から101万人、神奈川県から108万人、千葉県から78万人、茨城県から7万人、群馬県・栃木県で3万人などの内訳で、毎日電車、車などでこれだけの人が移動している。
普段、並行して走る路線のひとつが事故で止まると、他線に振替輸送となるが、集中しすぎてその線も止まってしまう場合がある。大震災時も全線運転再開できず、ひとつの路線の運転再開では同様のことがおこる可能性が高い。
仮に震源地が都心近くとなったら、少なくとも20kmから30kmの範囲内では徒歩で移動する方法しかない。被災のはしくれであった東京は道路も大渋滞となったことから、実際、大震災時には車の移動も不可能であり、環状線内は災害活動優先の車両しか走れない。30kmまで歩いて、それ以降の交通手段を検討する奇策も必要だ。
<国土交通省 資料より>
http://www.mlit.go.jp/common/000142505.pdf
<東京都 資料より>
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/tyukanj/2005/tj05gaiyou.pdf