地震リスク delphis manta blue

身近な地震リスク 減災を目指して

<復興を願い 2011.3.11東日本大震災>
<未曾有の巨大災害 記録>

10年後の東京

2006-12-25 | 地震リスク
東京都は12月21日に「10年後の東京 ~東京が変わる~」を公表した。
2016年の東京はオリンピック開催が実現すれば華々しい年になっているはず。しかし、その間に巨大地震が発生していれば様相が一変している可能性もある。

「10年後の東京 ~東京が変わる~」によると、建物の約4分の1は震災時に倒壊の恐れがあるとされており、建物の耐震化は喫緊の課題となっている。さらに大規模な市街地火災の恐れがある木造住宅密集地域が広く存在している。都内建物の耐震化の状況は、木造戸建住宅約159万戸のうち耐震性のない住宅が59万戸あり、共同住宅396万戸のうち耐震性のない住宅が74万戸にのぼる。学校、病院では約18千棟のうち約2.6千棟が耐震性がない。子供たち、病人が被害に巻き込まれる可能性が大きい。木造住宅密集地域は都内面積の約3分の1である23千ヘクタール。

東京都では、今後、地震により想定される被害の半減を目指し、喫緊の課題である建物の耐震化に集中的に取り組む。具体的には、①木造住宅やマンションの耐震化を強力に促進し、都内住宅の耐震化率を90%以上とする②耐震診断士の育成等により耐震診断の受診を促進するとともに、安価で信頼できる耐震改修工法を周知し、木造住宅やマンションの耐震化を促す③世界最高水準の耐震技術を活用して、建物の耐震化を促進する④法令・財政・税制等、多様な政策手段を駆使して耐震化の取組を展開する。また、震災時の木造住宅の倒壊を防ぐため、木造住宅密集地域における建物の耐震化・不燃化を加速させる。具体的には、①道路整備と一体的に進める沿道まちづくりの手法等を活用して、街並みの良好な景観を確保するとともに、延焼遮断帯の整備を推進する②老朽木造建築物の建替え、耐震改修や共同化により耐震化・不燃化を促進する③防火規制等を活用し、耐火・準耐火建築物への建替えを誘導する。等の災害に強いまちづくりを行い、首都である東京の信用を高めたいとのこと。都民、国民が一体となり取り組みたいものだ。


延期でいいのか疑問

2006-12-22 | 地震リスク
緊急地震速報、一般向けは延期…今年度末を来年9月に(読売新聞) - goo ニュース

緊急地震速報そのものがまだ十分に認知されていないとの理由で実施時期の先延ばしを決めた気象庁検討会の考えは間違っている。十分認知されるまで巨大地震は待っていてはくれない。これでは人的被害を軽減できない。

その他注目記事
帰宅難民:首都圏地震で渋滞6時間 郊外へ650万人

三菱総研の試算では全員が帰宅するまでには40時間かかるとのこと。首都直下地震の最大の課題は、サラリーマン、OLが自分の家まで歩いて帰るしか手段がない現実をどう対応するかではないだろうか。2,3日では鉄道は復旧しないことを考えると歩き、自転車、主要幹線の通行が制限されるがバス、各社営業車、タクシー等の車、海上から船くらいしか手段はなさそう。



証券取引所のBCP

2006-12-16 | 地震リスク
今朝の日本経済新聞によると、大証とジャスダックが地震災害等に備え売買システムをバックアップする体制を来春にも整備することで合意したと報じている。また、証券取引所が不測の事態にも商いを継続できるよう相互補完体制を構築する初めての例となると解説している。

これまで、東京証券取引所、ジャスダック等の各取引所はBCP(緊急時事業継続計画)を策定し公表しているが、東京証券取引所のように重度のシステム障害が発生した場合のほか、取引シェアの実績で20%を超える取引参加者が東証市場の売買に参加できない場合には、価格形成の公正性確保の観点から売買を停止する方針としている。

首都直下地震が発生した場合には、東京証券取引所が閉鎖する可能性を宣言しているようなものであるが、これではさらに東証の信頼を損なうことになるのではないだろうか。また、各証券会社のBCPもまだ見えてこない。株式市場に限らず、公社債市場、先物市場等の対策はこれからといったところか・・・・・。

2005年11月のシステムダウンを発端に露呈した脆弱な日本の証券市場システムはBCPを見る限りまだ解決されていない。取引所を含め証券市場を開け続ける体制・対策作りがかなり遅れているように思う。平時から人員、システムが整っている各取引所、地方都市と連携したバックアップ体制を作ることが近道かも知れない。



想定宮城県沖地震

2006-12-11 | 地震リスク
地震調査研究推進本部が公表した将来30年以内に発生する確率の高い海溝型地震のトップは宮城県沖地震である。99%の確率で発生するとのことであるが、以前にも紹介した1978年宮城県沖地震から28年が経過した。発生周期が20年から40年程度と見られていることからいつきてもおかしくない。

(過去200年前からこれまでの宮城県沖地震の歴史)
1978年M7.4(前回から42年)
1936年M7.5(前回から39年)
1897年M7.4(前回から36年)
1861年M7.4(前回から26年)
1835年M7.3(前回から42年)
これ以外にも宮城県、岩手県の太平洋側での歴史地震、内陸部、断層帯での歴史地震があった。最近では2003年の5月、7月の地震、2005年8月の地震と被害をともなう地震が頻発した。

地方の防災に対する考え方の格差は、震災後の財政にも影響し兵庫県のように現在発行する地方債の国債との利回り格差にもあらわれている。宮城県の財政は財政力指数でみると0.47%と全国47都道府県中13位の実力である。しかし、公債費比率は18.4%と高く全国21位の地位であり、経常収支比率は93.8%と高く全国36位となっている。宮城県公表の『宮城県の財政事情(H18.10)』によると「企業業績の回復等に伴い,県税収入が回復傾向にあるものの,国の三位一体改革により,地方交付税等が大幅に削減された水準に止まり,行政改革推進債等の発行や基金取り崩し,県有資産の売却などで収支の均衡を図るなど,厳しい財政運営を強いられている。」と厳しい財政状態がうかがえる。

宮城県が想定した第三次地震被害想定調査結果(H16)によると宮城県沖地震(単独・連動)、長町-利府線断層帯の地震について公表している。宮城県沖地震以外にも地震があるのかと思われ方も多いと思うが、長町-利府線断層帯の地震は何万年単位で発生する地震で記録がなく、前回発生した時期が特定できないが、政令指定都市の仙台市中心地の真下に横たわり、宮城県沖地震の6倍の建物被害を予想する大災害だ。

宮城県沖地震が単独で発生した場合には、海沿いの石巻市から北上川沿いや大崎市の低地、仙台平野等の軟弱地盤が分布する地域で震度6弱から6強となり、これらの地域では被害が大きくなることが予想され、津波も地震発生から20分後には2mの津波を予想している。1978年宮城県沖地震の地震に比べると、住家建物の全半壊被害で3.5倍(約27,300棟)、死傷者で3倍強(約4,100人)となることが予想されている。

一番心配なのが我々の住む戸建住宅、マンション等であるが、宮城県の調べ(H16)では住宅は592千棟あり、うち木造住宅は549千棟、鉄筋コンクリート造住宅は9千棟、鉄骨造住宅は34千棟の構成となっている。また、事務所等の非住家を含めた木造建物は846千棟と住家・非住家合計993千棟の大半が木造である。いわゆる新耐震基準以前の建物(S56年以前の建物)は木造で65%、非木造で50%との調査結果となった。調査資料が平成10年の住宅・土地統計等であることから、現時点では住宅の更新、耐震化が図られているであろうが、それでもまだ住宅の倒壊により火災発生、人命を失うような危険性はまだ大きく残っているのではないだろうか。





沖縄の海

2006-12-10 | 地震リスク
今日の日本経済新聞朝刊にこんなタイトルの記事が載った。

「防災システム、沖縄に予備準備・経産省、地震などに備え」

これまで経済産業省は東京霞ヶ関に一元管理していた防災担当官約500人の業務システムを首都直下地震に備え来年3月までに沖縄に予備システムを設置するとの報道である。

沖縄は経済特区でもあり、来年3月まで情報通信関連産業の振興のため、情報通信産業振興地域内で設備投資等を行う情報通信関連企業に対し、投資税額控除制度や地方税の課税免除又は不均一課税を行い、特区内に進出する金融関連企業は、一定の要件を充たせば税制上の優遇措置を受けることができる。

沖縄を日本の経済、金融、防災上のバックアップ機能センターの役割をもたす構想も必要ではないだろうか。

(画像は沖縄慶良間諸島でのダイビング時に撮影したもの)

震災による財政事情

2006-12-09 | 地震リスク
巨大地震により被災地域の財政は悪化することが予想されるが、阪神・淡路大震災による影響が未だにあることが兵庫県の地方債発行条件に表れている。

今日の日本経済新聞朝刊に「地方債の利回り上乗せ幅 兵庫県債は0.24%」の記事が掲載された。12月に10年債の8自治体個別の発行条件が決定したが、国債との格差が兵庫県が最大であったとの内容。以前9月にも述べたが、震災が地方財政に大きく影響を及ぼす場合がある。不幸中の幸いに新潟県は新潟市、長岡市に大きな被害がなかったことから巨額の復興費用を負わなくてすんだ。

地方債は今年9月から金融機関と交渉して個別に決定する方式に移行したわけであるが、市場の評価はこれまでのリスク評価とは大きく違ってきている。

今後、各地方都市では巨大地震の発生が懸念されるが、特に首都東京では直下地震が迫っており、国の財政、東京都の財政に大きく影響する可能性がある。首都圏の神奈川県、埼玉県、千葉県、各政令都市の財政を分析した上で投資したほうがよさそうだ。

国債、地方債ともに安全資産ではあるが、国債と違い地方債は社債と同様に大きく価格が変動する可能性もあり、巨大地震発生時に安全資産といえるかどうか疑問に思う方もおられるに違いない。地方財政が破綻することも否定できない。そのためにも地方自治体は防災・減災政策を真剣に取り組んで地震による財政破綻にならないよう推進してほしい。

株式市場、債券市場、為替市場ともに、巨大地震発生時にどう市場が動くかは毎日の予想と同様に思い通りにはあたらない。ほとんどが日本投売り(トリプル安)を予想しているだろうが、地震発生からいつまでのことを予想しているのかも定かではない。また、そんなに首都圏が壊滅的な被害を被るとは思わない。中央防災会議の資料をみても、官庁、上場企業が集中する首都中心部は非木造、耐火が進んでおり、火災で延焼するとか大停電になるとかの予想とはなっていない。地震発生直後は一時的なパニックになり海外市場が反応して売り、様子見になる可能性があるが、復興需要を見越して株式では災害復旧銘柄に買いが入る場合や株式から国債へ資金が流れ国債価格が上昇する可能性も否定できない。海外投資家が日本から資金を海外に引き上げることがあるとは思わない。せいぜい市場に全くインパクトのない損害保険会社が保険金支払いのため市場で資産を売却する程度で、それこそ北朝鮮による核攻撃のほうがインパクトがあり心配だ。

戦後日本となり首都圏は未だ巨大地震は経験していない。関東大震災の経験から市場を予想、比較検討できないが、市場を開け続けることが最大の日本買いになるのではないか。市場のBCP中間報告が発表されているが、日本の証券業界、金融業界の命運をかけて取り組んでほしい。

阪神・淡路大震災の教訓 2

2006-12-08 | 地震リスク
2006年も残すところ1ヶ月をきり、慌ただしく人々が行き交う。今日も数多くの忘年会が行われたことであろう。今年を振り返ると、日本では目立って大きな地震もなく平穏な年であった。このまま年を越してほしいと願っている。

年が明けると1月。その17日は1995年兵庫県南部地震が発生した日。もう10年以上前の出来事になってしまった。東京に居た小生は、朝6時のニュースで第一報を知った。「関西で強い地震が発生したが詳細はまだわからない。」とのアナウンサーが淡々と読み上げていたのを覚えている。こちらも起き掛けだったので、画面に映る大阪震度5、神戸は不明の震度分布図に違和感を覚えるでもなく、大丈夫なのかな~と遠くに住む友の顔が浮かんだ程度だった。

仕事をはじめ小生はすっかり忘れかけていた9時すぎ、テレビをみていた人たちが「阪神電車が転がって、家々から火の手があがっている!」との大声に気づき、そばに行ってみて画面の光景に絶句した。神戸をよく知っていただけに、その光景があまりにも衝撃だった。すぐ電話をとり友に連絡をしたのだが通じなかった。

何年かして、東大の目黒教授講演の地震セミナーに行ったことがある。あまりにも衝撃的なセミナーであった。阪神・淡路大震災の建物倒壊による圧死者の検死写真を数多く見せられた。亡くなられた方はお年寄りだけでなく、子供、20代の若者が多いことを知った。家賃の安い古いアパートに住む学生たちだった。倒壊により閉じ込められた人の多くは救いだせなかったのではなく、すでにほとんどの人が即死状態だったとの説明だった。消防が、自衛隊が早く救出したらではなく、家が倒壊しなかったらが正解であったのだ。目黒教授の講演は今、トヨタホームのホームページでみることができる。
http://www.toyotahome.co.jp/toyoie/meguro/index.html

これから日本全国で起こるかもしれない巨大地震。備えるためにも当時の様子をしっかりと目にして同じようにならないようにする努力が必要だ。神戸市のホームページにも震災の様子を写した写真が多数掲載されている。巨大地震のなかった今年にもう一度振り返るべきであろう。
http://www.city.kobe.jp/cityoffice/09/010/shiryokan/earthquake/earthquake03_20.html

第26回 東南海、南海地震等に関する専門調査会

2006-12-07 | 地震リスク
近畿・中部圏直下型地震、大阪や名古屋で震度7と予想(読売新聞) - goo ニュース

中央防災会議の東南海、南海地震等に関する専門調査会が開かれ、近畿、中部圏の内陸部で直下型地震が発生した場合に推定される震度分布を初めて公表した。

次の東南海、南海地震発生にむけて中部圏、近畿圏の広い範囲で地震活動が活発化する地震活動期に入ったとされている。これは過去の例から東南海、南海地震の前後に地震活動が活発化する傾向がみられる。

今回の専門調査会では「今後、100 年程度以内に発生する可能性がほとんどない地震を除き、想定される全ての地震について、それぞれの場所での最大の地震動はどの程度の強さとなるか」を検討した。

また専門調査会では「内陸部で発生する地震はその発生間隔が長く、ほとんど歴史資料には残っていない。このことから、結果として、検討対象となる地震については、それぞれの場所において過去記録のない地震の揺れを想定することとなるが、これについては地震学的知見を踏まえ、適切に想定することとした。」としている。

今回の対象とした地震は「地殻内の浅い地震」と「海溝型地震」であるが、海溝型地震は東海地震と東南海・南海地震を想定し、「地殻内の浅い地震」は活断層によるM7以上の地震としている。

想定結果は大阪市、京都市、名古屋市でも震度7から震度6強と地震が予想されるとの内容。今後、大きな被害が予想される13地震について、死傷者数や経済的損失などの被害想定をまとめるとのこと。

活断層は何万年単位で起こる場合が多く、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)も野島断層が動いた直下型地震であった。海溝型地震に備えるだけでなく、大都市では活断層に要注意と言える。

(画像は東南海、南海地震等に関する専門調査会の公表資料)

緊急地震速報の活用 &日本橋

2006-12-03 | 地震リスク
以前紹介したマンションに緊急地震速報を導入する日本初のシステムを開発した業界最大手の三井不動産レジデンシャル。その情報誌「こんにちわ12月号」に「地震速報連動システム」について紹介されている。

三井不動産レジデンシャルでは地震発生時における二次災害軽減を図る目的で、気象庁が提供する緊急地震速報を活用したマンション地震防災システムを開発した。このシステムにより「予測震度」と「大きな揺れが到達するまでの時間」をマンション各住戸ならびに共用部で知らせるシステムだ。エレベーターを最寄階に緊急停止させ、オートロックの入り口を一時的に強制解除し避難路を確保する等に連動させる。

地震予知が難しい現状ではあるが、この緊急地震速報は地震が発生したことをいち早く伝達することでわれわれが事前にできる被害軽減策の重要なツールだ。地震のP波とS波により先に到達するP波をキャッチし後から来る大きな揺れのS波に備えることで被害を軽減できる。三井不動産レジデンシャルに続く住宅メーカーに期待したい。

ところで、三井不動産といえば日本橋地区。現在の日本橋は首都高速がかかり重苦しい。小泉前首相の提唱した首都高の移設には大賛成だ。地震防災面からしても阪神高速のような光景が首都高速で起こる可能性もある。耐震補強をしているというが震度6強に耐えられるかどうか。「日本橋は橋が落ちないように地震対策はしていない。」と東京都防災関係者が言っているのを聞いたことがある。日本橋は国か東京都の管理なのか定かではないが、日本を代表する橋が落ちていいものだろうか。

東京タワーが完成する昭和33年の様子を描いた「ALWAYS三丁目の夕日」は非常に感動した映画だった。映画館でみたのだが1日金曜日にテレビで放映されたのでまたみてしまった。何度みても涙が自然と流れる。この映画の続編が首都高のかかっていない日本橋を舞台に来年11月に「ALWAYS 続・三丁目の夕日」として公開される。「昭和34年、日本の空は広かった。」とのメッセージはわれわれがしっかりと受け止めたい。

防災対策・啓蒙の行政格差

2006-12-02 | 地震リスク
30年以内に70%の確率で発生が予想される首都直下地震。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県を中心に経済被害は112兆円の規模に及ぶ。

想定される建物被害は85万棟に及ぶ。風速15メートル、夕方18時の条件で発生した場合には最悪65万棟の建物が焼失する。揺れによる倒壊より、火災による焼失が全体の77%を占めるのが特徴だ。

環状6,7号線沿いに火災旋風が発生するとのことであるが、密集市街地を中心に火の海になるのは確実だ。恐怖を煽るつもりはないが、地域住民のことを思うと早く密集市街地の解消と防火、防災対策をすすめるべきだ。すすめるのは行政が中心となるだけでなく、地域住民がもっとも先頭にたつべきである。

首都直下地震の火災焼失予想図をみてふとある地域に注目した。
(画像は政府中央防災会議公表資料より)

焼失地域は東京都だけでなく近隣地域まで広がっている。今年9月に輝かしくオープンしたラゾーナ川崎のある川崎市。工業都市からチネチッタ、ミューザ川崎、ラゾーナ川崎とさまざまな注目施設を建設し、高層マンションが建ち並ぶ住む街へと変貌している。その川崎市のある一角は東京都と同様にメッシュが真っ赤に塗りつぶされている地域があった。

国道15号線の東南側の川崎区小田2,3丁目地区。この周辺はグーグル・アースの地図上でみるとくもの巣のような狭い道に木造住宅がひしめきたっている。いわゆる密集市街地で川崎市では平成5年より「密集住宅市街地整備促進事業」を導入し、道路・公園などの公共施設整備や燃えにくい建物への建替えを支援している。面積は約25.8ヘクタールと広範囲にわたるが、全国ワースト1位の大阪市、2位の横浜市ほどではない。しかし、なかなか解消されないようだ。

全国の自治体では、地震対策として同様の施策により減災を目指しているが、地域により防災格差が広がっている感じがする。各自治体のホームページ上でも、東京都、千葉県は地震被害想定を地盤、建物の危険度等を市区町村、丁目単位で公表している。一方、神奈川県、埼玉県では地震被害想定が国の想定結果より古く、地域の危険度も公表されていない。この2県は首都直下地震では震度6弱以上の揺れに見舞われる県である。地域住民への防災啓蒙活動もホームページを見る限り、「防災」という言葉があまり見つからない。

市町村単位でも同様だ。横浜市の場合、ホームページで地震に関する情報がすぐ見つけやすい。危機管理室をクリックすると危険度を表示した地震マップを見つけることができた。一方、さいたま市、川崎市、千葉市では地震マップが掲載されていない。

自治体にとって被害軽減は地震発生後の財政面での負担軽減にもつながるはずだ。地域住民も「自分の家は大丈夫」とか「どうせ火事になるし壊れるから」とか無責任さによって地域の被害を拡大し、自分に負担がかえってくることになる。

わが家の耐震化はもちろん、地域の危険な建物、道路等をなくす活動を行うべきである。防災訓練のみでは被害は軽減しない。