ばあさんがこれ読めと机の上に置いてった一冊。
こないだ読んだ「やっさもっさ」は古き時代の横浜が描かれていて面白かった。
作者は慶應の宿舎で学んでいましたが、横浜の実家へ帰るときには、ちんちん電車を利用していました。学生の頃、浅草へ遊びに出るときにも、ちんちん電車を利用していたことをもとに、古き時代の東京(品川~浅草の都電沿い)の風景、文化が描かれています。
横浜育ちのわしにも面白く読 . . . 本文を読む
ふとしたことから野島秀勝の三島についての評論を読み、「拒まれた者の美学(1959年)」で、「仮面の告白」や「金閣寺」について作品の根底に流れている、拒まれた存在がその存在のままいることを望むというアンチテシスについてはなるほどと納得したのですが、その評論の最後では「潮騒」が失敗作と触れていました。そういえば「潮騒」って三島文学の中では特異な小説だよな、と思い、何十年かぶりに読み直してみました。
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電車の中で何か読もうと、駅前の本屋をぶらついていて目に留まった一冊。
泉鏡花はすでに著作権が消滅しているので、青空文庫で読める作品が多いのですが、紙の方が読みやすいし、買ってみますか。
裏表紙の内容説明。低解像度でスキャンしたのでいい味でてます^^;
こちら目次。いずれの作品も初めて読みます。現在、青空文庫で読めるのは、「菊あわせ」、「霰ふる」、「甲乙」、「黒壁」、「幼い頃の記憶」の . . . 本文を読む
ばあさんが「これ読むか?」と机の上に置いていった一冊。
裏表紙の内容紹介。
前に読んだ、「むらさきのスカートの女」の作者で、これがデビュー作とのこと。
主人公のあみ子の視点で見られる世の中は、わしらが生きている現実の世の中であり、その世の中の日常に、やりきれない哀しみを感じて、重苦しい気持ちになる小説でした。普通、優しさ、幸せ、この3つの単語についての多様性を考えさせられました。
これ . . . 本文を読む
高校生の頃に古文や漢文の授業をなおざりにしていたのが祟ったか、この歳まで日本の古典はほとんど読んだことがありません。日本には優れた文学作品がたくさんあるのだから、今からでもなるたけ読んでおこうと思いたち、先日、(国文科に進んだ)同級生にその旨を伝え、何がお勧めかと尋ねたところ、「それなら徒然草が良かろう」との答えを得たので、さっそく読み始めました。
こちら裏表紙の内容紹介。
作者と訳者 . . . 本文を読む
ばあさんが「これ読んでみろ」と机の上に置いていった一冊。
なにやら崎陽軒のしうまいみたいな本ですよ。作者も書名も初耳なので、予備知識無しで読んでみました。
すると、なんと、これが面白い。
戦後GHQに占領されていた時代の横浜を舞台にした話ですが、これほどまでに横浜を描いた小説は読んだことがない。幼少の頃から横浜に暮らしていて、地元にそれなりに愛着はあるのだけど、この本を読み終えるとその愛着が . . . 本文を読む
ばあさんが「これ読め」と置いていった一冊。
芦沢央の短編集です。こちらがB面の紹介文。
創元推理文庫って初めて読むかも。
5つの短編から成っています。この作者の作品には、読むたびに「あ、してやられた!」となっているので、今回も警戒態勢レヴェル5で読み進めますが、推理というよりも恐怖感を覚える内容でした。お化けが出るから怖いとか、そういう怖さでは無くて、人間の内面の見てはいけないものを . . . 本文を読む
流行に振り回されるのは嫌いでそういう生き方は避けてきたのですが、年を取ってくると流行に置いてかれる寂しさを多少は感じるようになったので、せめて芥川賞の受賞作品くらいは読んでおこうと思って、近年の受賞作は読むようにしています。
で、芥川賞受賞作って文藝春秋で掲載してたんですね、こないだ気づいた^^;
単行本を買うよりもお得です。
キニナルお値段だけでなく、受賞の言葉や受賞者インタビュー . . . 本文を読む
安部公房で未読だった一冊。
安部公房ワールド全開の作品。「他人の顔」と「密会」を合わせたような、危機感と緊張感を含む展開で、面白く読めました。
描きおろし作品、初出は昭和42年。
文庫化は昭和55年。昔は文庫化までの期間は今より長かったのかな?
また未読の安部作品を探して読もう。しかし、昔の文庫本は字が小さいので目が疲れる^^;
※※※ 追記 2024/11/4
本作の元に . . . 本文を読む
本屋で時間潰しをしている時、文庫本コーナーでふと目に入った一冊。あれ?こんな本あったっけ?新潮文庫の三島作品は学生時代にほとんど読んでいるのですが、この書名には覚えがない。
新潮文庫で未収録だった短編を集めたもののようです。このうち、家族合わせ、切符、英霊の聲の3編は読んでいます。未読6編のうち、手長姫は読んでみたかった、こりゃ買いですね、とレジへ。
「酸模」は13歳のときの作品。いまにな . . . 本文を読む
ばあさんが、たまにはこの手の本でも読め、とばかりに机の上に置いてった一冊。
バス事故をきっかけに、娘の体に妻の人格が現れる、という入れ替わり系のお話。なんか少年漫画でよくありそうな設定で、笑いあり泣きあり、コメディと人情話が混ざった娯楽作品というところでしょうか。
映画化されているとのことですが、その映画は知らなかった。
東野圭吾の作品は初めてで、読みやすい文体で一気に読み終えました . . . 本文を読む
ばあさんが持ってきた一冊。最近、わたしもこの作者の小説が好きになりました。
帯の宣伝文。
これまで読んだのは推理小説だったのですが、これは怪談です。
怖いです、しょっぱなから怖さ全開の話です。6編からなるオムニバスと思いきや、これらには共通する謎がありました。6編ともそれぞれ秘めた謎があって十分に怖いのですが、最後の「禁忌」により、恐怖が180%アップ(当社比)します。どうです?怖いでし . . . 本文を読む
ばあさんが、これを読んでみろとばかりに机の上に置いていった本。
上巻の裏表紙に書かれた内容紹介。
作者プロファイル。
初めて読む作家で、どんな小説を書くのかの前提知識が全くないまま読み始めました。最初は、ん?これは日本版の若草物語か?と思い、読み進めていくうちに、ん?これは富裕層版のサザエさんか?と感じました。
時代をが進んだと思えば遡ったり、背景を変えながらそれぞれの家族の物語が . . . 本文を読む
ある中高年の会社員が、いま自分が会社のためにもっとも役に立つことはなんだろう?と熟考を重ねて得た結論が「それは自分が会社を去ることである。」であった、という笑えない笑い話をどこかでみたことがあるのですが、いまや日本企業では業績向上の名の元に、当たり前のようにリストラが行われています。なにを隠そう私も早期退職ですし^^;
生産性が低く給与が高い中高年社員に退職金を上乗せしてでも辞めてもらうことは、 . . . 本文を読む
芦沢央の「神の悪手」を読み終えました。
5編からなる短編集です。いずれも将棋を題材にしてあります。これまでこの2作品、「許されようとは思いません」「悪いものが、きませんように」では見事にトリックに引っかかってしまいました。今度は警戒態勢100%で読み進めましょう。
1編めは「弱い者」。東日本大震災の被災地へ慰安のために向かったプロ棋士の話です。被災地の将棋大会で優勝した少年が、プロとの二枚落ち . . . 本文を読む