昔から読んでみたかった本なのですが、なかなか手が出ずにいたところ、新訳が出たので良い機会かな、と。
ヨーロッパ激動の1848年に書かれた本です。日本はまだ江戸時代で、ペリーが黒船(1853年)でやってくる少し前の頃ですよ。
そんな時代に、あらゆる歴史は階級闘争の歴史と断じ、当時は一部の国でしか発生していなかったブルジョアとプロレタリアートの関係から、資本主義の欠陥を指摘し、新たなる共産主義 . . . 本文を読む
ばあさんが、これを読めとばかりに机の上にほっぽっていった一冊。
70歳を過ぎた人間は死ななければならない、という法律ができたときのお話です。そのタイトルからはシリアスな内容かとも思いましたが、読んでみるとコメディでした。
おそらく、ばあさんはこの本の内容に共感する部分があったのでしょう、それもひとつやふたつじゃない気がします。それを想像すると、読んでいて背筋が寒くなる一冊です^^;
現代 . . . 本文を読む
このところばあさんが明治文学を読んでいて、その中の一冊。
国木田独歩の短編集です。
上の画像はWikipediaから。銚子の出身だったんだ、武蔵野市の出身かと思ってた^^;若くして結核で亡くなった作家です。
こちら内容紹介。
目次その1。
目次その2.
特に『牛肉と馬鈴薯』、『岡本の手帳』が印象的でした。ここで登場する岡本誠夫は独歩自信の姿だそうで、独歩の思想が現わ . . . 本文を読む
本棚の隅から出てきた一冊。最初に読んだのは30代の頃かな....? この頃に読んだ本はだいたい処分したのですが、残ってるということは、もう一度読み直そうと思っていたのでしょう。そんなわけで、読み返してみました。
昭和40年代に日本を席巻した公害問題。わたしは小学生の頃でした。映画館にゴジラ対へドラを観にいきましたが、いまだ挿入歌(♪かーえせ、っての)が頭に残ってます^^;
当時の公害問題が . . . 本文を読む
先日にO先生と飲んだときに、太宰の作品は「お伽草紙」を読むべし、という話になりました。とりあえず読んでみますかと、青空文庫にもあるんだけど、読みやすい新潮文庫を購入。
お伽草紙の他にも、フォークロアをモチーフにした作品がいろいろ入っています。戦時中から終戦にかけて書かれた作品群です。
目次その1。
目次その2。
盲人独笑は、葛原匂当の日記に共感を得た太宰が、日記の抜粋によって自 . . . 本文を読む
バルザックのゴリオ爺さんがたいそう面白かったので、もう一冊読んでみよう、と選んだのがこちらの本。
1803年、フランス第一共和制における執政時代が舞台です。1800年に起こった元老院議員誘拐事件をもとに書かれた小説です。
ゴリオ爺さんはすんなりとストーリーに入れたのですが、暗黒事件はその逆、なかなか入れません。最初の登場人物が先代、先々代からの説明でどれがなにやら混乱したのと、フランス人名がわ . . . 本文を読む
ばあさんが置いて行った漱石の3冊目、門。
わたし、本読む前にはカバーかけて上のような内容紹介は見ないようにして、読み終わってから目を通すのですが、この内容紹介はあまり良い出来ではないです。「それから」の内容紹介とは対照的。
安井が登場するのは後半もだいぶ経ってからで、それまでの展開は芒洋と倦怠期の夫婦の姿が描かれて、とらえどころがない感じを受けました。
安井の登場から急な展開をみせ、前作 . . . 本文を読む
ばあさんから借りた漱石2冊目、それから。
この内容紹介は、実に的確に内容を表しています。
三四郎の文体は読みやすかったのですが、それからは一転して読みにくい、難しい本でした。
比喩的な表現や、代名詞が指すところがはっきりしないところが多く、-これはわたしの読解力の低さもありますが-、読むのに時間が掛かりました。
例えば、次のようなくだりがあります。
「彼は現代の日本に特有なる一種の不 . . . 本文を読む
どういうわけかばあさんが漱石を読んでいたので、わしも読むことに。「吾輩は猫である」、「坊っちゃん」、「こころ」は読んだことありますが、初期三部作は未読です。
裏表紙の内容紹介。
この本は高校生のときに読んでおきたかった。九州の田舎から上京した三四郎、自己形成の途中にある彼の3つの世界(実家、学問、恋愛)が描かれています。学生の頃に読んだ「青春の門」の伊吹信介を思い出しました。
三四郎が最 . . . 本文を読む
このところモーム先生による十大小説を読んでいるのですが、「白鯨」の次に手にしたのが「ゴリオ爺さん」。
バルザックは初めて読んだのですが、いやあ、面白かった。これ、もし中高生の頃に読んでたら、進路は仏文科を目指しちゃうんじゃないか、というくらい面白かったです。
父性愛の話というか、依存症の話というか、立身出世の話というか、ピカレスクの話というか、貴族社会の風刺というか、教育論の話というか、とにか . . . 本文を読む
「この世の喜びよ」の次に読んだのは同紙に掲載の「荒地の家族」。
東日本大震災(文中ではあえて「災厄」と表記)後の宮城県沿岸部が舞台です。震災によって奪われた命、震災によって変えられた生活のなかで、主人公の祐治の生きることへの真摯さと苦悩がリアルに描かれています。ここ最近読んだ芥川賞受賞作の中では、一番ではないかと思いました。
亘理や鳥の海、逢隈、岩沼など聞き慣れた地名がでてくるのにも、親近 . . . 本文を読む
第168回の芥川賞は、2人が受賞でした。文藝春秋3月号を買って読んでみました。
「この世の喜びよ」は、二人称の小説。主人公に対して、あなたと呼ぶ形式です。最初はちょっと戸惑いますが、読んでいるうちに慣れました。
主人公は子育てが終わってパートに出ている女性、その日常が淡々と綴られています。なかなかストーリーに没頭することができず、中盤になると惰性で文字を追うような感覚になっていたのですが、 . . . 本文を読む
こないだ新潮で坂口安吾の令和の発掘作「盗まれた一萬円」を読んで、ああこんな作品も書くのか、というより、坂口安吾の作品てあんまり読んでいないな、この機会に読んでみますか、と買った一冊。
ちくま日本文学は、作家の代表作がまとまってて、こういう気分のときにはぴったりの本です。うちには、10巻の三島由紀夫もあります。
こちら目次。読んだことあるのは「堕落論」、「白痴」の2編のみ、いずれも高校生の頃 . . . 本文を読む
ハーマン・メルヴィルの白鯨を読み終えました。いやぁ、時間が掛かった。カラマーゾフの兄弟を読むのより時間が掛かったと思います。
子どもの頃に児童向け本で白鯨を読んだ覚えがあるのですが、こんな話だったっけ?もしかしたら読んだのはピーターパンで、エイハブ船長とフック船長を混同してた可能性がありますが^^;
それはさておき、この本にはクジラにまつわる様々な話が登場します。小説だけでなく、博物誌のような . . . 本文を読む
かなり前に古本屋で見つけた本なのですが、ざっと拾い読みしたまま放っておいたのを年末年始で読み直してみました。
四部構成になっていて、第1部は作家論、第2部は作品論、第3部は思想論、第4部は三島由紀夫の死、という構成になっています。
上の画像は裏表紙のリストなんですが、実際にはこれ以上の評論が載っています。ドナルド・キーンなど。
三島への評価の高いものもあれば低いものもあり、賞賛あれば罵倒 . . . 本文を読む