
このところモーム先生による十大小説を読んでいるのですが、「白鯨」の次に手にしたのが「ゴリオ爺さん」。
バルザックは初めて読んだのですが、いやあ、面白かった。
これ、もし中高生の頃に読んでたら、進路は仏文科を目指しちゃうんじゃないか、というくらい面白かったです。
父性愛の話というか、依存症の話というか、立身出世の話というか、ピカレスクの話というか、貴族社会の風刺というか、教育論の話というか、とにかくいろいろなプロットがあって、それらの絡みが適度な緊張感があって、頭の中にすいすい入ってきます。
そしてなにより、登場人物が個性的、今風にいえばキャラが立ってる、というところ。
バルザックは、「人間喜劇」として、人物を複数の小説に渡り登場させているとのこと。ゴリオ爺さんの登場人物、ラスティニャックの未来や、ボートランの未来や過去とか、ポーセアン夫人の過去とか、がまた別の小説になっているそうですが、それも読んでみたい。
ひとつ難点があって、文章自体は読みやすいのだけど、登場人物の姓と名が不規則に出てくるのが、かなり読みにくさを作っています。例えば、ウージェーヌ・ド・ラスティニャックという登場人物は、ウージェーヌと表記されたり、ラスティニャックと表記されたり、ひどいときには隣同士の行で姓と名で表記されたりしています。フランスの人名は聞き慣れていない私にとって、これは非常に読みにくかった。読み進めると、なんとか姓と名をくっつけて覚えられましたが、序盤はこのせいで何度もページを戻って確認したりしました。
登場人物一覧、をつけてもらえると有難かったかな。(光文社版 戦争と平和、ではしおりに主な登場人物一覧が付いててかなり助かった)
ともあれ今は、もっと作品を読んでみたい、という気分です。
こちら下巻。
バルザックさんの写真。
フランスでの発表は1935年、岩波文庫からは1997年の発刊。
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