優勝し、涙を流して引き揚げる旭天鵬関(20日午後、両国国技館で)=米山要撮影
大混戦となった大相撲夏場所は千秋楽の20日、旭天鵬関(友綱部屋)が初優勝を飾った。「信じられないし、(賜杯は)重たかった。色々な人に支えられた結果。優勝した瞬間は真っ白になった」。
大相撲界で躍進するモンゴル人力士に道を開いた先駆者は、史上最年長となる37歳8か月での初優勝に、何度も涙をぬぐった。
旭天鵬関が「日本のパパ」と慕うのが、大島親方(元大関旭国)として指導した元師匠の太田武雄さん(65)だ。今春限りで定年退職した太田さんは「まさか、ここまで来るとは。コツコツやってきたからね」と、感涙にむせんだ。
1992年に元小結旭鷲山らとともに来日し、モンゴル人初の力士に。稽古の厳しさに耐えきれず、モンゴル大使館に逃げ込んだこともある。そんな時、連れ戻しに行ったのが師匠だった。1メートル91の長身に懐の深さ。「必ず大成する」と見込んだ才能が、やっと開花した。
「息子と同じような気持ちで見守った」という弟子は帰化の際、師匠の姓である太田を名乗った。この日、両国国技館を訪れた太田さんは「緊張して直視できない」と、テレビを通して見守った。優勝が決まると「おめでとう。頑張ったな」と、がっちり握手を交わした。
優勝パレードのオープンカーには横綱白鵬が旗手として同乗。「自分の優勝よりうれしい。涙が出たよ」と大先輩の偉業をたたえた。
(2012年5月21日07時59分
読売新聞)
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