「生協だれでも9条ネットワーク」

日本国憲法と平和主義、民主主義を守る活動を進める生協関係者のネットワークのブログです

2016/12/17 “生協だれでも9条ネットワークのつどい”のご報告(その2)山本邦雄さん報告レジュメ

2017-01-08 23:59:59 | 参加報告
2016/12/17“生協だれでも9条ネットワークのつどい”のご報告(その1)の記事はこちら

【この間の活動を通して感じていること、そしてこれからを考える(報告者:山本 邦雄)】

「1」〝新しい民主主義のはじまり〞との出会いとカルチャーショック

イ)新しい市民運動の出発点は2011年9月の「さよなら原発6万人集会」ではないか。(一連の流れを振り返る)
 →2012年3月官邸前脱原発集会(毎週金曜日)開始
 →2012年7月「さよなら原発17万人集会」の大成功
 →2014年「特定秘密保護法」反対に多くの若者(後のシールズの卵)が参加、
 →同年、沖縄では保守・革新が合同した「オール沖縄」が結成され名護市長選・県知事選・総選挙で圧勝(自民は議席を失う)
 →2015年集団的自衛権、安保法制反対運動が、自分の頭で考え、行動する主権者としての自覚をもった一般市民、学者、学生、などを中心に盛り上がる。なかでもシールズ、「ママの会」などの活躍は特筆に値する。
 →2015年末に「市民連合」が結成され、その後押しで野党共闘が前進、市民と野党の連携などこれまでにない対決軸が作られる(野党合意は16年2月)
 →2016年参議院選、野党共闘は一定に前進したが改憲勢力に3分の2の議席を許す、都知事選は敗れたが、新潟知事選では野党共闘が大差で勝利

ロ)新しい市民運動に参加するなかで受けたカルチャーショックとはなにか
 →普通の人が観覧席から自らフィールドに立ち始めた
 ・集会の運営も市民が中心、訴えの初めは必ず福島の人、文化人(よびかけ人)
  挨拶は感動的で高い理念と人間味溢れ温かい、政党の挨拶は最後か紹介のみ
 ・参加層の広さ、個人参加(組織動員は基本的にない)、ベビーカーを押す若い女性、リタイアした夫婦、外国人などが参加、これまでとは雰囲気が違う
 →主催者の新しいリーダーシップに共感、新鮮な連帯感が広がる
 ・非暴力直接行動の意味を強調、個人の意思は尊重するが決めたルールは守る
 ・コールも具体的で分かり易く誰もが納得するもの、デモ(パレード)ドラム、トランペットなどを含めラップ調でコール、市民への配慮を忘れない、この運動は長い時間がかかる楽しくやろうと呼びかける
 ・「私達はみんなが集まり、声をあげる場所を提供しているだけ」という主催者の姿勢は新しい市民運動の在り方を語りかけている

ハ)一連の活動のなかで学んだこと
 →参加者を分析すると、ものごとをクールに懐疑的とらえる、新聞報道を鵜呑にしない、誰かに動かされることを最も嫌う、中味をよく理解し、自分の意思で判断する、嘘をついたり、騙し続けた既存政治勢力、マスコミへの怒りを持った人々が多い
 →多様な人たちが違いを認め合い、個人を尊重し、思いやる気持ちが大切、これまでの学生運動などとは違い社会で揉まれ意識の高い人も多く、変な悲壮感をもたず、諦めず継続してやり続けることの重要性をよく知っている

「2」〝自立した市民の協同の力〞は何を勝ち取ったか、問題点は何か

イ)「民主主義は国会の前で起きている」ことをアピール、国民の支持・共感を広げ、大きな世論になった
 →民主主義は「国会内」ではなく国会の前にある、変だと思ったら誰でもここに来て声をあげよう、当然の権利として定着させてきた

ロ)新しい市民運動が社会を動かし、変えていく可能性と展望を示した
 →具体的には「野党共闘」を後押しし、市民と野党の連携・共闘する対決軸を生み出したことの意義は大きい(総がかり委員会の結成は画期的なこと)
 →市民と政党間で共通政策まで踏み込んで連携し、共に行動することは戦後の政治のなかでも初めての出来事

ハ)混迷・暴走しながらも「強い権力」は存在する、ちょっと長い目を持とう
 →共通政策の充実が不可欠、なかでも「格差と貧困」、「脱原発」などへ積極的な提言、政治的に言えば次期政権構想のようなものを野党に求める
 →労働組合の役割を問う、かって運動の中核的存在だった労働組合運動と市民運動との率直な協議が必要(ナショナルセンターとの協議など)
 →最大の右翼グループ「日本会議」は憲法について様々な主張は在りながらも「改憲」という一点で合意し、「右翼は共闘」を実現し、地方政治、政権中枢に強い影響力を持つ、国民投票も視野に入れた肝を据えた取り組みが必要

「3」〝民主主義ってなんだ〞その答えを出すのは私たちだ、次の選挙で問われているのは政治家ではない、私たち自身だ

イ)ただ野党の政策を聞き、支持するのではなく、市民の要求・提言を野党と連携して実現していく時代だ、決めるのは主権者である私だ!の自覚
 →このことに本気で取り組まなければ野党は勝てない、旗印を明確に真剣に取り組むことだ、党利党略は必ず見抜かれる、国民の目を甘く見るな

ロ)「広く、深くデモする社会の可能性」を追求し、新しい民主主義の流れのなかで、生協運動の存在意義、果たし得る役割を考えよう
 →協同組合運動のなかで生協は事業・経営、そして自立した市民組織として活動している、今日的にどう評価されるのだろうか、足元を見つめていこう 

以上

2016/12/17 “生協だれでも9条ネットワークのつどい”のご報告(その1)

2017-01-08 23:59:30 | 参加報告
<管理人より>
昨年12/17に開催された“生協だれでも9条ネットワークのつどい”の報告の連続記事アップをさせていただきます。藤原一也さんによる全体のご報告から始めます。

 標記のつどいは2016年12月17日(土)16:00~18:00に東京・麹町の主婦会館プラザエフ5階会議室で20名の参加で開催されました。つどい開催の目的はこの間の活動についての報告、感想・意見の交流・2017年度の取り組み方向などでした。開会は世話人の太田吉泰さんが行い、進行役に亀山薫さんを選出しました。

1)山本邦雄さんの話題提供から

 最初に世話人の山本邦雄さんから「この間の活動を通じて感じていること、そしてこれからを考える」と題して報告がありました。
 山本さんは2011年9月の「さよなら原発6万人集会」が新しい市民運動の出発点ではないかと振り返りました。(レジュメ参照=次に記事アップします)
 2012年3月から官邸前集会が毎週金曜日に行われ、7月の「さよなら原発17万人集会」を成功させ、2014年からは「特定秘密保護法」に反対する数多くの若者が参加し、沖縄では「オール沖縄」が結成されて名護市長、県知事、総選挙と勝利しました。
 2015年には「集団的自衛権・安保法制」反対運動が憲法学者の意志表示が潮目となり、自分の考え、主権者として行動する一般市民、学者、若者、ママたちの行動へと広がり、市民連合の結成につながり、野党共闘が前進し、2016年2月には野党合意が実現しました。
 山本さんは、これらの新しい市民運動の流れに60年安保世代の友人らとともに自ら足を運び、カルチャーショックを覚えたそうです。集会運営が市民中心となり、「私達はみんなが集まり、声をあげる場所を提供しているだけ」との主催者の姿勢は、新しい市民運動の在り方を語りかけていると感じています。
 この‘自立した市民の協同の力’は民主主義が「国会内」ではなく「国会前」にあるとアピールし、国民の支持・共感を広げ、大きな世論となりました。新しい市民運動が「野党共闘」を後押し、総がかり行動委員会など市民と野党の連携・共闘の対決軸を生み出したことも画期的でした。
 しかし、混迷・暴走しながらも「強い権力」は依然として存在します。野党と市民連合の側に「貧困と格差」「脱原発」などでの共通政策が不可欠ではないだろうか?さらに「自衛隊」の位置づけ、「労働組合運動」の役割、「日本会議」の正体など深めた論議が求められていると思います。
 今は市民としての私たちの要求・提言を野党と提携して実現していく時代です。決めるのは主権者である私たち自身だとの自覚が重要です。協同組合運動のなかで生協は事業・経営、そして自立した市民組織として活動しています。
 これまでにも署名活動や地方議会への請願活動などを通じて食品衛生法改正や食品安全基本法の制定などを実現してきました。各生協が組合員合意のための努力を惜しまず、民主的運営の仕組みと実践を通じて、地域社会に生協の決意を示して行きましょう、とねばり強い今後の取り組みを呼びかけました。
(続く)