「生協だれでも9条ネットワーク」

日本国憲法と平和主義、民主主義を守る活動を進める生協関係者のネットワークのブログです

【情報】行政へのパブリックコメントに初挑戦したが・・・「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案」に対して(後編)

2021-05-09 20:19:37 | 情報提供

<Mより発信>
 現政権は、デジタル化推進を政策の目玉にしている。行政手続きのITでの申告ができるようにするのは利便性を高めることは評価できる。しかしながら、利便性の向上やコストカット効果を最大限に享受できるのは行政側と思われ、そのためにITを利用していない人や不慣れなIT弱者を含む全ての人にIT利用を義務化して強要することは反対せざるを得ない。いろいろなトラブルで遅れなかったパブリックコメント(一部割愛あり)の後編をご紹介したい。前編はこちら
【「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案」に対する意見】(後編)
P8 第6 新たな訴訟手続き   
民事裁判手続のIT化を契機として、裁判が公正かつ適正で充実した手続の下でより迅速に行われるようにするため、訴訟手続の特則として新たな訴訟手続きの規律を設けることについて、新たな訴訟手続きの規律を設けるものとする甲案若しくは乙案(ただし、甲案及び乙案はいずれも排斥し合うのではなく、例えば、甲案及び乙案を併存させ、又はいずれか一方の規律に他方の一部を導入することもあり得る。)又は規律を設けないものとする丙案のいずれの案によるものとする。
【甲案】*第1回の口頭弁論期日から6ヶ月以内に審理を終結。即時に取り調べることができる証拠に限る。控訴できない。
【乙案】*当事者双方が共同で審理及び裁判を求める。当事者双方が6ヶ月以内で終結する審理の計画を立てる。
【丙案】新たな訴訟手続きに関する規律を設けない。
(意見)新たな訴訟手続きに関する規律を設けない「丙案」に賛成。
(理由)IT化を契機として裁判期間を6ヶ月以内に短縮を図ることに重点が置かれていることが強くうかがわれます。裁判が迅速化されることも大事ですが、丁寧な審理が保障されることも国民の権利であり、「甲案」や「乙案」のような手続き方法を設けることは公正な裁判手続のもとで平等に裁判を受ける権利が阻害されます。
P20 第11 訴訟の終了 1 判決 (2)電子判決書の送達 
(意見)「通知アドレスの届出をしたものに対する電子判決書の送達はシステム送達とする」とあるが、みなし送達には反対。
(理由)当事者が確実に判決書の内容を確認する方法をとるべきです。
P20 第11 訴訟の終了 2 和解 (3)新たな和解に代わる決定
新たな和解に代わる決定について、次のいずれかの案によるものとする。
【甲案】
ア 裁判所は、和解を試みたが和解が調わない場合において、審理及び和解に関する手続の現状、当事者の和解に関する手続の追行の状況を考慮し、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のための必要な和解条項を定める判決(以下本項において「和解に代わる決定」という。)をすることができる。
イ 和解に代わる決定に対しては、当事者は、その決定の告知を受けた日から2週間の不変期間内に、受訴裁判所に異議を申し立てることができる。
ウ イの期間内に異議の申立てがあったときは、和解に代わる決定は、その効力を失う。
エ 裁判所は、イの異議の申立てが不適法であると認めるときは、これを却下しなければならない。
オ イの期間内に異議の申立てがないときは、和解に代わる決定は裁判上の和解と同一の効力を有する。
【乙案】新たな和解に代わる決定の規律を設けない。
(意見)「甲案」に反対し、「乙案」新たな和解に代わる決定の規律を設けないことに賛成。
(理由)「新たな和解に代わる決定」の規律が設けられると、それを用いて安易な事件処理や粗雑な判断を招く恐れがあります。裁判期間の短縮とセットの提案であり、裁判所がコストカットを推進している姿勢がうかがえます。2週間以内なら異議申立てができるとはいえ、その判断も難しく、また言い出しにくいことも十分に想定され、公正な裁判手続のもとで裁判を受ける権利が阻害されます。
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【情報】行政へのパブリックコメントに初挑戦したが・・・「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案」に対して(前編)

2021-05-09 20:18:38 | 情報提供

<Mより発信>
 昨年より主婦連合会の会員としても活動を始めたが、法制審議会で審議中の標題に関するパブリックコメント募集に主婦連合会とは別に何人かの会員でパブリックコメントをしようということになり、私も初挑戦した。しかしながら、パブリックコメントの画面から送ろうとしたら、「環境依存文字がある」ことでエラーになってしまい、入力内容確認画面にまで進めなかった。お役人は正確性を期すためという言い訳をすることが予想されるが、受け付けを厳格にしすぎて多くの声を拾えるようにすることは後回しにしたようなシステムになってしまっている。時間ギリギリにメールで送ろうとしたら、自動で候補に挙がるメルアドが1文字違っていて、結局は締め切り時間内に送信することもできなかった。パブコメを邪魔するような引っかけメルアドが流布しているのではないかと勘繰りたくもなった。
 会員仲間の方にお聞きしてみると、昨年11月にパブリックコメントの画面がリニューアルし、「環境依存文字がある」ことくらいでエラーになるようになったとのこと。お役人は正確性を期すためと言い訳をしそうだが、意見の理由が長くなる場合は正確にくみ取れないことを防ぐために自分で要旨も作成して冒頭に入れろということも書いてある。パブリックコメントのまとめもおそらくどこかに外注して作らせるのだろうが、責任を取らないですむようにということしか考えていないように思える。こんな状態では行政手続きのITでの申告なんて対応できるレベルにない。以下で送れなかったパブリックコメント(一部割愛あり)の前編をご紹介したい。
【「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案」に対する意見】(前編)
P1 第1 総論 1 インターネットを用いてする申立て等によらなければならない場合
(意見)「甲案」「乙案」に反対し、「丙案」に賛成。※【丙案】電子情報処理組織を用いてしなければならない場合を設けない(電子情報処理組織を用いてする申立て等と書面等による申立て等とを任意に選択することができる。)。
(理由)
・インターネット(以下IT)を用いて民事裁判の申立てをできるようにすることは、申し立てをしやすくする選択肢が増えると思われるので賛成です。しかしながら、利便性の向上やコストカット効果を最も享受できるのは国(裁判所)と思われ、そのためにITを利用していない人や不慣れなIT弱者を含む全ての人にIT利用を義務化して強要することは反対です。
・IT弱者にとって、IT利用を強要されることは、公正な裁判手続のもとで平等に裁判を受ける権利が阻害されるということである。「民事裁判は下々の者の係争をお上が裁定してやることだから、行政側の負担を減らしたい」という意識があるのではないかと思えてしまいます。行政の利益のために国民に行政手続のIT利用の強要の端緒を開くことになるのではないかと危惧します。
・コロナ禍による在宅勤務が進まない要因の一つとして、日本ではIT環境の社会的インフラが整っていないことを露呈させました。突発的なシステムダウンだけでなく、リモートワークをしていても自宅近くのWi-Fi基地局のキャパを超えるアクセスがあれば、途中からつながらなくなることも多いです。また、年金データの流出など行政側にもセキュリティ対策が万全とは言えない問題も多く発生しており、IT環境への信頼感が十分に醸成されているとは言い難いです。
P3〜4 第1 総論 3 訴訟記録の電子化 
(意見)書面を用いた申立てをする当事者から手数料の徴収をするべきではない。
(理由)
・ 訴訟記録のデジタルデータ化は社会全体の利便性を高めるものであることは理解し、推進されることには賛成します。しかしながら、そのための費用はIT化を推進する国=裁判所が負担すべきで、書面を用いた申立てをする当事者に負担を発生させるべきではありません。費用負担が増えることで公正で公平な裁判を受ける権利が阻害されることがあってはなりません。
・ 訴訟記録も歴史の検証を受けられるよう公的なアーカイブズの中で後世に遺すべき史資料であり、その保存方法はデジタルデータだけに限定すべきではないです。世界におけるアーカイブズにおいては現物史資料の重要性が共通認識になっています。また、日本の国立国会図書館は国会議員の国政調査権を保障するために設立されていますが、日本における発行物の悉皆収集の上で、デジタルデータ化にあたっては国の責任で取り組んでいます。行政が必要とするデジタルデータ化について整合性がとれないことをすべきではありません。
P4 第3 送達 1 システム送達
(意見)通知が発出された日から1週間を経過する日までに送達すべき電子書類の閲覧または複製をしないときは、その日が経過した時にその電子書類の閲覧をしたものとみなすことに反対。
(理由)裁判所からの重要な連絡である送達は、裁判所側がその到達を確認することが必要です。ITを用いることに同意して通知アドレスの届け出を行っていても、何らかの事情でメールが届かなかったり閲覧できなかったり気づかなかったりする場合も十分にあり、それを一定期間の経過で「閲覧したものとみなす」ことは、その当事者にとっては不利益が大きすぎると考えます。
P4 第3 送達 1 システム送達
(意見)送達すべき電子書類を通知アドレスの届出をしていない当事者等に送達する場合は、これまでの書面での取扱い同様に、紙媒体(書面)に出力して、送付(または郵送)することが基本で、送達は裁判所(国)が費用を負担して行うべきと考える。
(理由)IT化を推進するのは国であり、IT利用をしない=通知アドレスの届出をしていない当事者へは従来通り、書面を送付することが必須。裁判による解決を求めることは国民の権利であり、IT化の推進という国の政策のために国民の負担がこれまでより大きくなることがあってはならないと考えます。
P7 第5 口頭弁論 1 ウェブ会議等を用いて行う口頭弁論の期日における手続
(意見)裁判所に出頭して口頭弁論の期日における手続きを行うことが原則と考えるべきです。ウェブ会議等を用いることができるようにすることは利便性が向上するという面もありますが、本人確認や当事者の発言等に影響を及ぼすようなことも想定されるので慎重に環境整備を進めるべきです。
(理由)ウェブ会議の開催をするには十分な環境整備と、危機管理が必要です。
後編へ続く
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【参加の呼びかけ】2021平和といのちと人権を!5・3憲法大行動( #0503憲法大行動 )

2021-05-02 23:32:07 | 参加のよびかけ

<2021年4月27日 「生協だれでも9条ネットワーク」世話人会>
 コロナ禍は変異種による第4波が到来し、東京は4月25日から5月11日までの「緊急事態宣言」が発出されています。すでに国内のコロナ感染者数は57万人を超え、死者数も1万人を超えました。(2021年4月26日現在)
 政府のコロナ禍対応策はこの間後手に廻り、大阪での医療対応のひっ迫、社会的PCR検査の不足、緊急事態宣言下での営業・雇用の問題への不十分な対応など菅政権の無策ぶりが際立ちます。頼みのワクチンも素早い数量確保が儘なりません。
 5月3日の憲法記念日はコロナ変異種対応の最中でのことになります。難しい時期の行動となりますが、私たちは「感染防止」を最優先にします。無理をせずにオンライン参加や各自地元での参加を工夫いただくようにお願いします。
 なお、5月3日の新聞意見広告には私たち「生協だれでも9条ネットワーク」の名前が掲載予定です。また、「生協だれでも9条ネットワーク」の幟旗は国会周辺で掲げます。条件の許す方のみ感染防止を徹底して、国会正門前に集合しましょう。
【参加の呼びかけ】2021平和といのちと人権を!5・3憲法大行動( #0503憲法大行動 )
日時:5月3日(月・休)13:30~オンライン中継
場所:国会議事堂正門前&オンライン中継
 12:00~13:00 集会賛同オンライン企画
 13:30~14:45 集会
※オンライン中継は、こちらのURLで配信されます。
主催:平和といのちと人権を!5.3憲法集会実行委員会
共催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
   安倍9条改憲NO!全国市民アクション
※「生協だれでも9条ネットワーク」の幟旗はいつもの位置、いつもの位置、国会正門前を前方に見て右手側の通路に13:00頃から立てます。何かの際の連絡は藤原携帯までお願いします。
国会周辺図

※総がかり行動実行委員会の案内の記事は→こちらです。その記事から以下をご案内します。
■2021平和といのちと人権を!5・3憲法大行動 国会議事堂正門前&オンライン中継開催にあたってのお願い
 新型コロナウィルスの感染を極力回避するため、当日はオンライン中継からの視聴を積極的に活用していただくとともに、現場では以下の諸点についてのご協力をお願い致します。
1.熱のある方や体調の良くない方の御参加は御遠慮ください。
2.マスクの着用をお願い致します。
3.密集を避けるため、スタッフがお願いするフィジカルディスタンス(物理的な距離)の確保にご協力ください。
4.その他、安全の確保のため、スタッフからのお願いにご協力ください。
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